情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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朝日・東京新聞の共謀罪スクープに関する解説~その5

2006-10-06 02:49:42 | 共謀罪
前回,国際組織犯罪防止条約における「行為への参加罪」の規定は,国内法で十分カバーできており,共謀罪・参加罪の新設をすることなく,批准することができるのではないかと指摘した。今回は,この点を補足したい。

そもそも,国際組織犯罪防止条約とは何を目的とした条約なのか?名称どおり,組織犯罪,つまり,マフィアあるいは暴力団の犯罪を防止するための条約である。

では,日本に組織犯罪対策法は,あるのか?もちろんある。1991年には,「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(いわゆる暴対法)が成立され,寄付金の要求行為など経済的利得をはかる15類型の行為(←クリック)が禁止されたほか,①暴力団への加入強要、離脱の妨害,②暴力団事務所について,組の看板や提灯を掲げ、付近の住民や通行人に不安を与えることなども禁止された。

そして,もう一つ,重要な法律がある。「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(いわゆる組織犯罪処罰法)(←クリック)である。この法律は,「組織的に行われた殺人等の行為に対する処罰を強化し、犯罪による収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰するとともに、犯罪による収益に係る没収及び追徴の特例並びに疑わしい取引の届出等について定めることを目的」としている。このうち,犯罪収益の収受は,たとえば,暴力団に事務所を貸して家賃をとったり,暴力団に出前をもっていって代金をもらったりすることすら取り締まることができる条項になっている。

   【第十一条  情を知って、犯罪収益等を収受した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者又は契約(債権者において相当の財産上の利益を提供すべきものに限る。)の時に当該契約に係る債務の履行が犯罪収益等によって行われることの情を知らないでした当該契約に係る債務の履行として提供されたものを収受した者は、この限りでない。】


これは非常に重要だ。この法律によって,暴力団との間で取引をした全ての者が処罰されうる。なぜなら,暴力団が持っているお金には犯罪収益が含まれているから,そのお金を受け取ることが犯罪となるのだ。つまり,暴力団であることを知ったら,パンを売ることすらできなくなりうるわけだ。もちろん,現在はそのような運用はされていないが,当局がその気になれば,そのような運用をすることも可能な法律なのだ。

そして,注目すべきは,この法律が成立した日付だ…平成11年8月18日。この日は,日本が第3のオプションを提案した1999年1月の第1回会合と日本が第3のオプションのうち参加罪オプション(共犯理論で対応できるもの)を撤回した2000年1月の中間なのだ。つまり,日本が参加罪オプションを提案したときは,暴力団のあらゆる活動を防ぐ法律はなかったが,撤回したときには,あった。つまり,日本政府は,行為への参加罪は,暴力団処罰法がつくられたことでクリアできると考えたのではないか?

法務省の定訳によると,参加罪の定義はこうだ。

(ii)組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図を認識しながら、次の活動に積極的に参加する個人の行為
a 組織的な犯罪集団の犯罪活動
b 組織的な犯罪集団のその他の活動(当該個人が、自己の参加が当該犯罪集団の目的の達成に寄与することを知っているときに限る。)

aは,日本でも当然処罰される。
問題はbだが,「その他の活動」には当然,対価が伴うわけだから,「その他の活動」を行った者については,組織犯罪処罰法の犯罪収益収受罪が適用されることになる。

つまり,日本には行為への参加罪がすでに犯罪化されているのだ。


そして,実は,条約そのものに,この考え方を裏付け条項がある…。





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