情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

東京新聞特報部が共謀罪特集でJCJ大賞受賞!

2006-07-27 23:23:33 | メディア(知るための手段のあり方)
共同によると,【日本ジャーナリスト会議(JCJ)は27日、優れたジャーナリズム活動に贈る今年の「JCJ大賞」に、共謀罪に関するキャンペーンを展開した東京新聞特別報道部の「こちら特報部」を選んだ、と発表した。】という。

【「こちら特報部」は見開きで掲載される特集記事。2004年8月に初めて共謀罪について触れ、今年だけで19回取り上げた。「立法の危険な意図にいち早く反応した」(JCJ)ことなどが評価された。】というがもっともだ。

東京特報部の書きっぷりはある意味独走状態だった。途中,多くの新聞・テレビが取り上げるようになったが,その機運をつくった東京特報部の記事は高く評価されるべきだ。

メディアを目指している人はぜひ特報部で頑張っている人の話を聞きに行って欲しい!(もちろん,ほかにも頑張っている人はいますが…)


2006年(第49回)JCJ賞(←クリック)
《JCJ大賞》

受賞作 〈新聞報道〉『共謀罪キャンペーン』など一連の「こちら特報部」報道
             (東京新聞)
受賞者 東京新聞特別報道部
受賞理由 「こちら特報部」の報道は、「共謀罪」立法の危険な意図にいち早く反応し、04年8月から随時キャペーンを張った。同法案が国会にかかった06年5月にはほぼ連日のように警鐘を鳴らした。そのほか他紙が見逃しがちな多くのテーマに正面から取り組み、世論をリードした。

《JCJ賞》

受賞作  〈新聞報道〉『沖縄返還密約/元外務省高官証言スクープ』
              (北海道新聞06年2月8日付)
受賞者 北海道新聞記者・往住嘉文(とこすみ よしふみ)
受賞理由  沖縄返還にかかわる日米密約については、政府は1972年に記者を逮捕するなど、否定を続けてきた。往住記者は遠隔の地から綿密な調査をし、当時の直接の当事者だった外務省元高官の事実証言を得て発表した。他の報道機関もフォローしたので、折からの在日米軍再編に関する不合理な国費負担の企てにも影響する可能性のあるスクープとなった。

《JCJ賞》

受賞作〈書籍〉『明仁さん、美智子さん、皇族やめませんか
         元宮内庁記者から愛をこめて』(大月書店)
受賞者 著者 板垣恭介(いたがき きょうすけ)
受賞理由 著者は元共同通信記者として宮内庁詰めが長く、皇太子時代の現天皇夫妻など、皇族に間近から接し、人間性の観察を続けてきた。また昭和天皇の戦争責任を、さまざまな角度から論考するなど、戦後皇室を考える貴重な情報を平易で魅力のある著作にまとめた。

《JCJ賞》

受賞作 〈テレビ報道〉シリーズ・言論は大丈夫か/第1回『ビラ配りと公安警察』
                    第2回『「共謀罪」とはなにか』(テレビ朝日系)
受賞者 テレビ朝日・朝日放送『サンデープロジェクト』取材班
受賞理由 制作班は、言論・表現の自由に対する権力の抑圧傾向が強まる中、公安警察の不当な捜査、逮捕などの実態を視覚的に明らかにし、また「共謀罪」の危険な企図を具体的に映像で示した。報道機関として、時流に警告を発する果断な企画である。



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人権擁護法案からマスコミ規制を外してはどうか~杉浦法務大臣

2006-07-27 01:24:53 | 人権擁護法案(原則必要派)
少し古い話だが,【杉浦法相は24日、日本記者クラブで会見し、今年の通常国会への提出を断念した人権擁護法案のメディア規制条項について「再度出す以上、凍結ではみっともない。外すなど、何らかの形ですっきりした形で出したい」と語った。】(読売)という。メディアに対し,公的権力が圧力をかけることには賛成しかねるので,杉浦法務大臣発言には賛同する。ただし,メディア規制を外すことで,ほかの問題点(独立性の確保など)を棚ざらしにしようという意図があるのかもしれないと危惧はしている。メディア側にはその辺りをきっちりフォローしてもらいたいが…。

読売の【同法案は2002年の通常国会に提出されたが、03年の衆院解散で廃案となった。法務省は同条項を「凍結」した上で再提出を目指したが、人権侵害の定義や人権擁護委員の国籍条項などにも反対が強く、提出できないままになっている 】という解説には,最も重要な独立性の問題が欠落している。


なお,杉浦法務大臣は,【現在の保釈制度について「刑事訴訟法上、保釈は(被告の)権利だが、裁判所はなかなか(拘置所の外に)出したがらない。例外と原則が逆転している」と批判。「人質司法と言われた雪を溶かすためにも、体制整備が必要だ」と述べた。】【法相は、具体策として、拘置所の外に出しても証人に働きかけるなどの証拠隠滅を図らないようにするため、自宅拘禁や海外渡航禁止といった制度の導入を挙げた】(朝日)という。具体的方法には異論もあろうが,人質司法を改善したら,歴史に残る法務大臣になるのだが…。


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排除の国からの脱皮へ~刑事施設視察委員向け講演にて

2006-07-27 01:10:35 | 適正手続(裁判員・可視化など)
今年新設された刑事施設視察委員会(刑務所を視察し,被収容者と面談するなどして適正運営に向けた意見を述べる委員会)の市民・弁護士委員を対象にした講演会に資格外で参加して,びっくりする話を2つ聞いた。

一つは,ドイツでは犯罪を犯して有罪判決を下されてもそれだけでは解雇理由にならないということ。ゆえに,外部通勤が充実しているのだそうだ。確かにネットで調べた限り,犯罪をして有罪判決を下したことを解雇理由にはできないようだ。

もう一つは,聖書に書かれた天国に行くための条件の一つに,牢獄にいる人を訪問したかどうかと書かれており,ゆえにキリスト教圏では,刑務所訪問をする人が多いというのだ。調べたところ,確かに,①飢えていたときに食べさせたか、②のどが渇いたときに飲ませてくれたか、③旅の宿を貸してくれたか、④裸のときに着せ、⑤病気のとき、⑥牢にいたときに、訪ねてくれたかどうかという6条件が書かれているらしい。

新設された刑事施設視察委員会が,日本でも,排除するのではなく,共生することによって矯正することを目指すシステムを確立する方向で活躍されるよう期待しています。


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