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人と共に成長する腕時計

2009-07-13 12:31:08 | 電:家電製品・IT情報
六本木の東京ミッドタウンにある独特な造形の美術館、「21_21 DESIGN SIGHT」でデザインの本質に迫る「骨」展が開催され、大きな話題になっている。この個性的な展覧会のディレクターを務めているのは、「SUICA」の改札機や、親指で操作するキーボード、8輪乗用車などを開発し、国際的にも高く評価されている工業デザイナー、山中俊治さんである。

山中さんとの出会いは、小さな腕時計「OVO(オーヴォ)」であった。「OVO」とはポルトガル語で「卵」という意味で、生命体と生命を育む源を意味している。この命名によって、生命体の成長過程における異様な形の美を示しているのである。金属製の「卵」(時計本体)から延伸し、まるで生命体が成長しているように見える四本の細長い足が、静けさの中で生命の力強さを表現しており、その湾曲部分が我々の腕にぴたりとはまる。この時計を身に付けていると、時計と人が一体化して共に成長していくのだ。

「OVO」の独特な外観に対する好奇心が徐々に鎮まった後、我々の心には生物工学のもたらす衝撃が残される。山中さんは、現代は科学技術が生命から学ぶ段階に入っており、そのことを意識したデザイナーだけが、物事の本質を複雑かつ柔軟に表現することができると考えている。「自分の作品が歴史の中でどういう位置にいるのかを考えることはとても大切です。」

球体のガラスで覆われたダイアルは、不思議な表情をしている。まるでルーペで生命体を観察しているようだ。その下では「Gene(遺伝子)」と呼ばれる振り子が、静寂の中で一秒一秒時を刻んでいる。文字盤の構造は前例のないものだ。針は見られず、時針に当たる部分は宙に浮かび、分針はスリットになり、この立体的な形で表現される時間は流れ去る人生でもあり、それが人々を物思いにふけさせる。

一般に、デザインは芸術の一つの分野と考えられているが、山中さんは、それをむしろ科学に近いものとして捉えている。「デザイナーが目指すべきよいデザインとは、かっこよさと機能が絶妙のバランスで両立している状態のことです。『デザイン優先』という言葉がありますが、見た目を優先して機能を損なっている商品の状態を表しているとすれば、それはむしろ『悪いデザイン』でしょう。」山中さんはこのように語る。「デザイナー」、「エンジニア」などの枠に束縛されないことを大切にしているのである。

そして、山中さんはデザインを行うときに、しばしば構造と骨格から全体を考える。二年の歳月を費やしてついに成功を収めたこの「骨」展にしても、人々の心をつかむ腕時計「OVO」にしても、それらを貫く無形の何かがその背後にあるのを感じる。それこそ、山中俊治さんのデザインの「魂」なのである。
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