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井の頭公園のボート

2008-11-17 11:58:50 | 東京写真日記
井の頭公園を初めて知ったのは十年以上も前のことだ。桜の季節で、雑誌の表紙に載っていた咲き誇る桜の下で寄り添う恋人たちの写真に、「カップルで花見をするのに一番の場所」というタイトルがつけられ、日本に来たばかりの私は、何ともいえない憧れを感じたものだ。その後、井の頭公園には何度も心ひかれる思いを味わった。ドラマ「愛していると言ってくれ」では、豊川悦司と常盤貴子がここで出会った。森山直太朗はかつてここでギターを弾きながら歌い、後に「さくら」が大ヒットした。三鷹の森ジブリ美術館付近では、えくぼの可愛い愛ちゃんが手作りの玄米ワッフルを売っているという。

今年になって、ようやく実際に訪れる機会を得た。それはやや曇りがちな午後だった。楓の葉はまだ色づいていないが、冷たい風が秋の訪れを暗示している。平日だったからだろうか。広い園内にはお年寄りが三々五々歩いているだけで、ときおり池のほとりのベンチで本を読みふける若者を見かける程度だった。大道芸人を取り囲む観衆の声もなく、園内では禁じられている呼び売りの声も聞かれない。井の頭公園の第一印象は、忙しい現代都市の中の俗世を離れた別世界のようであり、ここでは時間もゆっくり流れているように感じられた。

見ていて楽しかったのは、池に浮かぶボートである。小さな船着場に60~70艘が集まっている!その形もいろいろだ。「白鳥」たちは首をもたげて胸を張り、意気軒昂な様子である。色とりどりのサイクルボートも負けじとばかり、身支度を整えて出発を待っている。最もすばらしいのは、二つのオールを備えた青と赤のローボート(手漕ぎボート)で、まるで磁石に引かれたように船着場を中心に整然と集められている。富士五湖、鎌倉、伊豆、上野の不忍池、九段下の千鳥ヶ淵などでボートに乗ったことがあるが、このような壮観な停泊風景は見たことがない。

しかしながら、井の頭公園のボートは園内の桜のように好運をもたらしてくれるわけではない。「カップルが井の頭公園のボートに乗ると、別れることになる」という伝説が昔から伝わっているのだ。その理由も有名である。池の中に祀られている弁財天が、仲のよいカップルにやきもちを焼いて無理やり別れさせるのだという。本来はロマンチックなボートも、このような根拠のない流言のために冷たい目で見られているのだ。

井の頭公園に行ってきて、憧れでいっぱいだった心の中に、なぜかちょっと失望感が残ってしまった。秋が次第に深まり、やがて紅葉が静かな水面に漂う季節が来るのだろうか。たくさんの人々、たくさんのカップルがここで思う存分ボートを漕いで、楽しい笑い声がつまらない言い伝えを払拭してくれることを願っている。
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きいて!きいて!
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2 コメント

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Unknown (こぐま)
2008-11-18 18:00:46
トラックバックありがとうございました。
「こぐまの多摩あるき武蔵野あるき」のこぐまです。
http://koguma.tamaliver.jp/

「吉ろぐ」というブログもやっているので、トラックバックさせて頂きました。
http://kichi.tamaliver.jp/

井の頭公園のボート…、カップルで乗ると~っていう噂が一人歩きしていますね。
せっかく井の頭公園に遊びに来たのなら、ぜひ池からの眺めも楽しんでもらいたいけど、
どうしてもこの迷信が気になって乗れないという方たちも多いかもしれませんね。
でも、乗る前に弁天様にご挨拶をしてからボートに乗れば大丈夫という話も…。
どうなんでしょうね~
本当です (JUNKO)
2009-11-11 22:22:27
不思議な力がある公園です。私は今から42年前、井の頭公園の近くに住み、小学生でした。父親の転勤でその後大阪で過ごしましたが、大学生入学と同時にまた父親の転勤があり、関東に住むこととなったため、高校生活を共にした彼と遠距離恋愛の生活が始まりました、高校を卒業したばかりの春休み、二人で井の頭公園へ行きました。「都市伝説」など知るはずもない二人・・・・その後、別れることとなり、数年が経ちました。彼は、大学卒業後、東京勤務時代に社内結婚しました・・・・・私のの小学生時代の同級生の妹と・・・・偶然というのは怖いものです。大阪で、知り合った彼が、私が知っている女の子と結婚するなんてね。その後、また、数十年経ち、共通の友人の突然の訃報によって再会した私たち、彼は今、井の頭公園の近くに住んでいます。「ガラスの靴」を彼に預けたままの私は数年前に離婚しています。井の頭公園には、不思議は力があります。

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