特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

脱出(公開コメント版)

2014-02-19 09:03:01 | 特殊清掃 消臭消毒
14日、関東に再び大雪が降った。
まさか、一週間のうち二度も大雪に見舞われるなんて・・・
翌15日も予定が入っていたのだが、それも延期。
駐車場から車を出せなくなったら困るので、前回の雪かきの筋肉痛も癒えぬまま、再び、雪かきに汗を流したのだった。

そんな冬季、朝の起床はかなりツラい。
一日のうち、憂鬱のピークは朝。
気温が低いせいもあるけど、気持ちの温度が低いせいもある。
「このまま夜が明けなければいいのに・・・」
布団を頭からスッポリかぶり、毎朝のようにそう思う。

それでも、起き上がらなければならない。
精神的なことを理由に仕事を休むようになったら、私は終わり。
そのぬるま湯から脱け出せなくなり、坂道を転げ落ちていくのみ。
だから、どんなに憂鬱でも倦怠感に襲われても、布団から這い出る。
そして、決められた労働環境に身を投じる。

私は、引きこもりの経験を持つ。
もう20年以上も前の話だが、この仕事に就く前の数ヶ月間、実家の一室に引きこもったことがある。
それは、労働なき生活。ある意味で堕落した生活。
身体は楽をしているのに、精神は極度の欝状態。
罪悪感・劣等感・虚無感・失望感・倦怠感・疲労感・恐怖感・・・
そういったものにヒドく苛まれていた。
そして、
「誰か俺を殺してくれないかな・・・」

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雪どけ(公開コメント版)

2014-02-12 13:29:20 | 特殊清掃 消臭消毒
今月の8日、大雪が降った。
何日か前から、天気予報では、大雪が降る可能性が大きいことを伝え、注意を呼びかけていた。
だから、ある程度の覚悟はできていた。
しかし、実際は、その覚悟を超えた量が降るものだから、大雪を喜ぶ子供心と仕事を心配する大人心が交錯して、私のテンションは妙に上がった。

当日の8日、私は、外での作業予定をもっていた。
休むことはもちろん、遅刻することも許されない状況にあった。
そこで、私は、大雪で出社が阻まれる可能性があることを考え、会社に泊まることに。
一度、帰宅し、夜になって再出社。
その日は、事務所で眠れない夜を過ごした。

予報の通り、8日の大雪。
早朝(夜中?)から降り始めた雪は、ひたすら降り続いた。
それでも、湿気の多い雪は、降る量に比して積もらず。
「何とか行けるか?」という期待感をもたせた。
しかし、時間が経つごとに雪は降るペースを上げ、周囲はみるみるうちに真っ白に。
とても外で作業できるような状況ではなくなり、会社に前泊した努力もむなしく、結局、予定していた作業は中止(延期)となった。

雪は、その日の夜まで降り続いた。
積雪量は、私の中で伝説になっていた昨年1月の大雪のときをはるかに超え、私の記憶の中では最大。
私は、甦った童心に動かされて、用もないのに外にでた。
そして、普段は気にも留めない当り前の景色を白い雪が覆う様をしみじみと眺め、季節の機微と夢幻を味わった。

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壁彩(公開コメント版)

2014-02-05 09:01:37 | ゴミ屋敷 ゴミ部屋
「鍵は開けておくから、勝手に入って下さい」
依頼者の男性は、電話でそう言った。
依頼の内容はゴミの片付け。
男性は、ゴミ部屋の主だった。

百聞は一見にしかず。
原則として、作業には、事前の現地調査が必要。
口頭での説明や写真からは、十分な情報が得られないからだ。
私は、本件でも、現地調査の必要性を説明。
そして、他人の部屋に勝手に上がりこむことも躊躇われるので、男性にも、立ち会ってくれるよう依頼した。
しかし、男性は、仕事が忙しくてそれが無理の様子。
平日は帰宅が遅く、土日も予定が入っているとのこと。
私は、家財の毀損や貴重品の滅失等のクレームは受け付けないことを了承してもらい、単独で現地調査を行うことにした

訪れた現場は、古い小規模マンション。
男性の部屋は一階の一室。
私は、部屋番号に間違いがないかを慎重に確認し、ドアノブをゆっくり握った。
そして、ゆっくりドアを引き、片足を一歩前に出しかけた。

それまで、幾多のゴミ部屋を見てきた私。
少々のことでは驚かない。
しかし、ここは少し事情が違った。
玄関ドアを開けると、すぐに壁。
ゴミがきれいに積み上げられ、それが垂直の壁を形成。
それは、まるで、古来の地層のようにみえ、「美しい」といえば語弊があるけど、感心してしまうくらいの光景だった。

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