頑張れ 輪島塗職人、涙の年季明け式「歴史の一端になれた」

2010-12-13 19:16:49 | 暮らし
石川県の伝統工芸・輪島塗の職人の独り立ちを祝う「年季明け式」が12日、輪島市内であった。不況で生産額はピークだったバブル期の3分の1、業界としての年季明け式は10年前に途絶え、現在は数年に一度、工房で個別に開かれる程度だ。久しぶりの若い職人の門出を、業界再興の祈りを込めて、師匠らが祝い唄「輪島まだら」で祝った。
 独立したのは、重要無形文化財保持者(人間国宝)の小森邦衞(くにえ)さん(65)のもとに、2007年に弟子入りした須田麻美さん(31)=広島県福山市出身。両親と兄弟子ら約20人に見守られ、紋付き袴(はかま)・色留め袖姿の小森さん夫妻と親子固めの盃(さかずき)をかわした。
 須田さんは大学3年生だった10年前、進路探しの旅で輪島を訪れ輪島塗と出合った。「何千人もの職人さんが、横につながって生きている」町の魅力にひかれて、卒業後に移り住んだ。アルバイトで生計をたてながら勉強を続け、弟子入り後も、07年3月の能登半島地震で借家が全壊するなどの苦労を重ねた。
 「こんな時代だからこそ、祝ってやりたかった」と小森さん。まな弟子に「独立すれば荒波の中。泳ぎ切るのは大変だが、しっかりこいでいけば泳ぎ着く」との言葉を贈った。須田さんは「町の歴史の一端になれた」と涙をぬぐった。(矢代正晶) (asahi.com(朝日新聞社):輪島塗職人、涙の年季明け式「歴史の一端になれた」 - 社会)


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