過労死予備群の「食から笑顔になる生活」

夜討ち朝駆けで仕事する日々。忙しくとも自分なりの手間をかけて、美味しく笑顔になる生活を志します。

徳山鮓、師走1:清浄な香気に胸打たれる

2016-12-13 17:17:00 | 日いづる国の伝統食
★飛び込み記事です★

瓶から片口に移すことで、お酒は空気にふれて、表情をおこし始めるものです。
紫霞の湖(しがのうみ)は、辛口の強さと堅さがある特徴のあるお酒と、最初に一嘗めした時に、まず思いました。



■最初のお皿、ひんやり盛りが届く
■紫霞の湖

茶色のグラデーションが静かに並ぶお皿が、置かれました。
きれいな香りがします。杉葉の青い香りの中に、胡麻をあたった香りがし、ごくわずかな甘酸っぱい香りがわかりました。

森に囲まれたお社に、祭の次の朝に訪れたような気持ち。お供物があった気配を残す杉林の存在感、といえば、伝わるでしょうか。
美しい空気感……熟鮓(なれずし)が続くのか、ジビエなのか?と想像していた私に、きれいな森が与えられました(ニッコリ)。

お料理について、奥さまが順に説明してくださる。最後のお魚の名前が、ふいっとでてこず、別席に説明しているお嬢さんに、「早く次の説明をして!」と話す、お茶目さんでした(ニッコリ)。
…丁寧ななかに、柔らかい人がらが浮かぶ。権高さが微塵もない。今日の食は、きっと良い形になる! まだ一口も食していなくても、直観したのです(笑)。

さて、皿鉢をどう表記しようか迷いましたが、単純に順番に数字だけで、かきます。独自の形に成立した献立であろうから、既存の形に当てはめるのは違うと、私は思いました。



■一ノ膳 (ひんやり五品)
左手、奥から
○琵琶鱒の卵
○琵琶鱒の胡麻和え、鮒鮓の飯(いい)を添えて (パテに見えるのが胡麻和え、パテの上の黄色の芥子に見えるものが飯から作られている)

右手、奥から
○花豆の煮物
○すっぽんの煮凝り
○岩魚の燻製

お話を聞いたときから、不思議に思った(笑)、パテに見える胡麻和えに、まず箸をつけました。
あっ! ムースのような、ふわりっとした触感。胡麻のよい香りがして、口にすると、むちゅんとつぶれて、お魚と胡麻の味が立ち上がってきました。確かに、魚の解し身を胡麻和えにしたものから始まった料理であろうけれども、それを越えた豊かさがありました。黄色の芥子のように見える、鮒寿司の飯を延ばしたものには、深いコクがあって、全体に重さをプラスすると、舌をまきました。

紫霞の湖をゴクリッ…わっ、独特な琵琶鱒や飯の風味に、お酒のきっぱりした堅さが合わさった時に、きれいな旨味がたちます! いってみれば、アルコール抽出によって透明感が増す、といえば、伝わるでしょうか。

何て面白い料理の考え方だろう! ワクワク心が跳ね上がります。(ニッコリ)

ちょい落ち着こうと(笑)、柔らかな橙色に染まる、琵琶鱒の卵に匙をつけました。ぷちぷちっと弾くような卵胞。小粒であること、旨味よりは野趣を感じる卵味であることが、日頃、知る、魚卵とは違って、楽しい驚きでした。

岩魚の薫製は、柔らかい冷燻と思われ、魚の身の香ばしさを味わうような楽しみがありました。
これに紫霞の湖を合わせると、岩魚が孵ってくるように感じました。ゾクッとする感覚…料理には、こんな遣り方もあるのか! 再び、目を閉じました。

気持ちの一休みは、花豆で(笑)。斜め半割りにして、立ち盛りにすることで、動きのある盛り付けになっていました。これはお正月の盛り付けに、取り入れようと思います(ニッコリ)。

すっぽんの煮凝りは、金色の液体に黒波が立つままに固まったような趣きでした。あぁ、琵琶湖の鼈の味! 強く清潔な味は大津で食した味です。すっぽんの濃厚な旨スープに皮筋を活かして得られる、美しい味でした。

一ノ膳の小さな5口、きれいな存在感のある品を、選んで下さった日本酒は、さらに豊かにさせる力がありました。口中を洗うような方向性を取り勝ちな日本酒が多いなかで、野趣あるものに添う、この日本酒との出会いもまた、楽しいものでした。

途中で、ご当主がご挨拶にでてくださいました。野山を歩く人のような身軽さと、杜氏のような頑固さと、深山のぽっかり拡がる木漏れ日の広場みたいな、不思議な風格のある、腰の低い方でした。嬉しくなりました(ニッコリ)。

今まで体験したことのない「清浄な香気がある熟れ(なれ)」への関心が深まります。ワクワク心が次のお皿を迎えます(笑)。

★追記:なれずしの表記を、徳山鮓さんのwebにしたがって、「熟鮓」に統一しました。動詞も「熟れる」を使います。(20161214)


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