快読日記

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「楳図かずお論 マンガ表現と想像力の恐怖」高橋明彦

2015年09月10日 | 漫画とそれに関するもの
《☆☆☆ 8/26読了 青弓社 2015年刊 【漫画研究 楳図かずお】 たかはし・あきひこ(1964~)》

楳図かずおとその作品に対する“愛”と“批評精神”のバランスが絶妙で、これがこの本の勝因。
「あら探し」的なテキスト論を乗り越えて、楳図作品をどう読むか、という真っ正面からの挑戦に満ちていてワクワクします。

本作は、愛読者にとっては“あるある”なテーマ、例えば「わたしは真悟」の「…といいます」という不思議なナレーションや、「洗礼」のすごいオチ(わたしは読後2、3日はボーっとしてました。あんなショックを受けたのは他に「日出処の天子」(山岸凉子)だけ)とも真っ向から格闘し、粘り強く結論まで導きます。

作品が抱える矛盾をどこまで信じるか。
そう。この本がいいのは「楳図作品への信頼」が根底にあるところ。

だから、タマミちゃんのことだってこの筆者になら託せます。
(楳図かずおが書いたという「タマミは女の子です」には胸を撃ち抜かれました)
本当は葉子がタマミをいじめてたんだ、ってことは、あの時代に読んでた子供はみんなわかってたと思う。
この本のおかげでタマミちゃんは成仏できたはずです。

「イアラ」の分析もよかったです。
あのラスト、正直なところ「え?どういうこと?」なままだったんですが、「あー、そういうことか~」と膝を打つと同時に自分の読解力のなさを痛感。

それにしても、漫画を論ずるって、考えてみればとてつもなく難しいことですよね。
ネームやストーリーだけだって大変なのに「絵」まで読み解かなきゃならない。
厚くて重くて(寝転んで読んでたら、本を支えた腕が筋肉痛)高い(3600円+税)本だけど、読めば安いとすら思ってしまうこの仕事。
今後、楳図作品を論ずる人が必ずふまえる本になると思いました。

著者のサイト「半漁文庫 hangyo's archives」

/「楳図かずお論 マンガ表現と想像力の恐怖」高橋明彦
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