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『兎の眼』 灰谷健次郎

2006年11月24日 | 児童文学・ライトノベル・子供向け


兎の眼 灰谷健次郎.jpg


小説家の灰谷健次郎氏が、お亡くなりになりました。大変残念です。灰谷氏の作品は 入試にもよく出題される ことで、このブログでもご紹介したことがあります。今日は、氏の代表作、“兎の眼” を取り上げます。


“真の教育とは何なのか” と帯に書かれたこの一冊。涙なくして読めない、多くの感動を与えてくれる名著だと思いますが、灰谷氏自身が “欠点の多い作品” とも述べています。書き足りないところがあったのでしょう。


灰谷氏を語る上で、象徴的なできごとは、神戸連続児童殺傷事件で、「フォーカス」が、当時中学3年生であった少年Aの写真を公開したことに対し、出版社に抗議の執筆拒否を宣言したことです。同時に、ご自分の代表作を含む全ての著作権を引き揚げてしまいました。非常に過激な行動ですね。


世間は、あまりに続いた少年事件の残忍さに対し、少年法 を改正し、厳罰化を求めていく流れでしたが、この行動に灰谷氏の思想を見て取れますね。“子どもに甘い” ということで、激しい批判が時として、灰谷氏に浴びせられる要因です。


陳腐な表現ですが、氏にとって、子どもは神聖なもの、あるいは天使と言ったら良いのでしょうか。そして教師はどこまでも、生徒を理解しようと努め、ともに生きていく使命を帯びているというお考えのような感じがします。


本書では、問題児、鉄三のいるクラスの担任となり、孤軍奮闘の新任教師、小谷先生を描きます。結婚したばかりの小谷先生が、戸惑いながら、時に失神するようなできごとに悩みながらも、苦心に苦心を重ね、鉄三の心を開こうとします。

次第に、人生を深く考えはじめ、まるで成長しない夫とどことなくすれ違いも生じてきてしまいますが、一教師として成長していく中で、クラスは一歩一歩確実に成長していきます。


言葉の一つ一つに子どもたちへの温かい眼差しを感じる作品で、単に美化された子どもたちの純粋さを楽観的に描くのではなく、葛藤の中から弱い立場におかれた者への愛情があふれ出てくるところに灰谷氏の豊富な経験を感じます。

表現方法は小学校の中学年程度から読めるように工夫されており、内容的には大人の心も強く突き動かすものがあります。ぜひお読みください。



灰谷氏のご冥福をお祈りいたします。



http://tokkun.net/jump.htm (当教室HPへ)




 子どもは社会の宝です。健やかに育って欲しい。
灰谷さんの作品に救われた先生や生徒も多いはず。
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兎の眼

角川書店

詳   細

『兎の眼』灰谷健次郎 
角川書店:339P:600円


P.S.  私の思い違いかもしれませんが、灰谷さんのお子さんに関する新聞記事などをご記憶の方がいらっしゃっいましたら、教えていただけるとありがたいです。お願いします。

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8 コメント

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何というか (bucky)
2006-11-24 15:14:36
”子どもを厳しく「飼い馴らす」必要があることを国民にアピールして覚悟してもらう”というどこかの国の教育改革案、この視点で子供を見ることと、灰谷氏の視点で見ることと、どれほど違うのだろうと思うばかり。
buckyさん (VIVA)
2006-11-24 18:45:03
こんにちは、今日のコメントは強烈ですねぇ。これ読みました?私も含めて一般の人の評判はかなりいいんですが、きっとご本人が“欠点がある”とおっしゃったためか、専門家の中では、いろいろな意見があっておもしろいですよ。
おどろきました。 (ひな)
2006-11-25 19:46:30
灰谷健次郎さんの死について、新聞で読み驚きました。
私自身も教職に興味があり、一人の尊敬する師を失ったような気持ちです。
残念でなりません。

「兎の目」を彼が生きているうちに読むべきでした。
今からでもおそくないことを祈って・・・。
ひなさん (VIVA)
2006-11-25 23:40:13
はじめまして、VIVAと申します。

まぁ残念ですが、立派な仕事をされましたから。亡くなっても、多くの方の心の中に生きていると思いますよ。お読みになったら、またご感想をお聞かせください。
コメントしようか迷いましたが (milesta)
2006-11-26 11:03:21
小学生の頃、「兎の目」と「太陽の子」を読んだのですが、私の好みとは違っていたのか「この人の本はもういいや。」と思ったのを覚えています。子供の頃は、もっと楽しかったり、ワクワクしたり、感動があったりする本を欲していた気がします。
VIVAさんとは違う見方で恐縮ですが、子供の視点に立った作品というふうにはあまり感じませんでした。
milestaさん (VIVA)
2006-11-27 12:54:21
いえいえ、こうして違う意見をおっしゃっていただける方は本当に貴重です。感謝しております。灰谷さんの作品は、確かに賛否両論あるんですね。私は、特に理由はないのですが、教育問題にかかわる人はみな傾聴に値する意見をお持ちだと感じるのですが、政治的な活動をする作家の方々はあまり好きになれないのです。頭が良過ぎるのでしょう。極論が多すぎますから。

灰谷さんの作品は好きですが、政治活動はちょっとと思っているのです。P.S.のところお読みになっていただけました?
Unknown (milesta)
2006-11-27 19:41:04
P.S.のところ読んでいましたが、何のことかわかりませんでした。すみません。

灰谷さんの政治活動については全然知りませんでしたが、訃報の記事に「沖縄の渡嘉敷島に移り住み漁師として暮らしていた時期がある。」と書かれていて、渡嘉敷島と言ったら先日私も記事に書いた政治色の強い島なので、どういう意図で?とちょっと気になりました。

お忙しいでしょうから、お返事はいりませんよ。
pochi先生お大事に。(お会いしたことありませんが。)それから、他の先生方もお体にお気を付けください。
milestaさん (VIVA)
2006-11-28 12:01:04
本当にお心遣い恐縮いたします。

これから、受験期に入りますので、あわてました。ありがとうございます。

milesatさんもご自愛下さい。

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