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『美人論』 井上章一

2007年01月17日 | 教養


美人論.JPG


ジェンダーフリーフェミニスト運動はやや下火とはいえ、男女差別に対し、かなりの力や正当性を持つ時代に、美人論とは何ごとか。このような題名の本をご紹介すると、眉をひそめる方もいらっしゃるでしょうが、お許し下さい。


これは、確か、小谷野敦氏が薦めていた本で、とてもおもしろく、学問的な一冊です。“美人とは” という顔の美醜や振る舞いの良し悪しの定義などを論ずるのではありません。ましてジェンダーフリーなどを攻撃するようなものでもありません。

実際、本書の解説は、フェミニスト運動のチャンピオンである、上野千鶴子氏がなさっているのです。(しかも出版は朝日新聞社(笑))。実は上野氏と井上氏はかなり親しい様子で、解説も抜群におもしろかったです。


歴史的にどのように美人が扱われてきたか、その政策や世相などを研究、考察したまじめな一冊です。誰も手を付けなかった分野の研究ではないでしょうか。 


本書を読みますと、“美人” というカテゴリーを表社会から消したことによって救われたのは、そうでない人々ではなく、美人たちだとわかります。歴史を見ると、アメリカの黒人は差別が少なくなって社会的地位が上がりましたが、美人はカテゴリーがなくなって救われた側です。

つまりそれまで、美人とされていた人々は、もてはやされていたどころか、差別を受けていたとすら言える事実がたくさんあり、驚きました。


アメリカの学校の現場では、黒人というカテゴリーがないように、日本でも現代では、教育上、建前上、顔の美醜は存在しません。個性があるのだということになっています。今となっては当たり前の話です。


私が高校生の頃、国語の先生が授業中に 『松坂慶子さんを美人だと思う人?そうではないと思う人?』 と我々生徒に挙手を求めました。美人ではないと手を挙げた数人の生徒がおり、先生は、『あんな美人はめったにいないと思うが、実際にはそうでないと言う人もこうしているだろう。このように美人がどうかは、人によって異なる、主観的なものなので、他人にそれを押し付けてはいけない』 と言われました。なるほど、その通りだと思ったものです。


しかし現実の社会では、テレビのアナウンサー、モデル、レースクイーンでもやはり、多くの人から見て美人のカテゴリーに入りそうな女性がほとんどですね。


本書は美人の存在そのものが否定されている今日までの、美人の歴史などを紹介しておりますが、上野氏は、美人とは何かが出てこないので、“中途半端”だと批評し、上野氏らを井上氏の側に巻き込もうとしても、“その手は桑名の焼きハマグリ” とおどけていました(笑)。


目次だけを書きます。


1・受難の美人

2・美貌と悪徳

3・自由恋愛の誕生

4・容貌における民主主義

5・資本と美貌

6・管理される審美眼

7・拡散される美貌感

8・努力する美人たち

9・禁忌と沈黙

10・美「人」論の近未来


以上です。


決して試験には出ないでしょうが、読んでいて昔の日本の、知られざる世相が興味深いです。よろしければどうぞ。


以前、ご紹介した、『なぜ美人ばかりが得をするのか(ナンシーエトコフ)』。書名はダメですが、こちらもハーバード大学の心理学博士が書いた、非常におもしろい一冊で、“美”や“美人” というものを扱います。本書と同様、お薦めできます。




美人論

朝日新聞社

詳  細



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『美人論』井上章一
朝日新聞社:314P:861円


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10 コメント

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高校の先生のお言葉 (bucky)
2007-01-17 13:41:31
「そうあって欲しい」と思うばかりかな。「女らしい人=美しい」と言われたら、困るしな??

前の職場で「美人はそうじゃない人の100倍得する。」と言っていた自称?美人先輩がいました(得してたんだな、きっと)。
う-ん、美人論を格調高いものにするのは難しいであろう、と思う次第。でも、面白そうですね。
buckyさん (VIVA)
2007-01-17 14:35:44
それにしても、大胆な先輩というか、いやなやつと付き合っておられたんですね~(笑)。きっと美人どうしだから、わかるでしょって話したんでしょう。

ボクは男らしい女性も好きですよ、もちろん!なんのこっちゃ(笑)。

それはともかく…、これは本当にまじめな本で、格調高いというよりも、論文ですね。明治・大正時代の世の中でどう扱われてきたかという研究です。

最初に修身の教科書の抜粋があるのですが、びっくりしますよ。ほんのちょっとだけ抜粋しましょうか。明治36年女学生向けの修身の教科書、『中等教科・明治女大学』第6章『容姿』

『美人は往往、気驕り心緩みて、却って、人間高尚の徳を失ふに至るものなきにあらず…
之に反して、醜女には、従順・謙遜・勤勉等、種種の才徳生じ易き傾あり。』
良くわかっていらっしゃる (bucky)
2007-01-17 15:14:48
『従順(?)・謙遜・勤勉等、種種の才徳生じ易き傾あり。』これって私?(なーんてね)失礼しました!




buckyさん (VIVA)
2007-01-17 17:29:11
どうコメントしてもカドが立ちそうでこわいんですが…(笑)。

明治、大正の人たちはストレートに言葉を使っていたんですね。これに反論する投稿や、さまざまな事象、データなどを取り上げて論じています。本書のことが頭にあったので、昨日、美人云々と言っていたわけですわ(笑)。
美人の垣根 (ysbee)
2007-01-17 17:35:45
VIVAさん、コメントかたじけのうございました!

つい最近ある方のブログにご本人の写真が載りました。
それまではかなりシニカルなジョークを利かす面白い人という印象で、こちらも冗句返ししていたのですが、実は弥勒菩薩のような美貌……というのを見てから、こちらのジョークの度合いに少しブレーキがかかったような気がします。
逆を言えば、美人には見えない垣根が存在するようで、損なのか得なのか?
ysbeeさん (VIVA)
2007-01-17 19:08:23
ysbeeさんの写真も見せてやればよかったのに!

そうですか、垣根ねぇ。ありますかね、あるかもしれないな。ボクの写真も出てますよ、灘高のキムタツ先生が、のっけてくれました。
あの方は、マスコミにも登場する有名人だから良いけど…、私はねぇ~。

まぁ、はずかしいけど、ysbeeさんにブレーキかかんないと思いますから(笑)、お知らせしちゃいます。
 ↓  です。

http://juken.alc.co.jp/kimutatsu/archives/2007/01/post_466.html

それはともかく、本書はなかなかおもしろいし、下で紹介したナンシーエトコフもお薦めです。ysbeeさんだとマーケティングか何かでご存知の内容かもしれませんが。
城壁! (ysbee)
2007-01-18 08:09:32
Wow, wow! +!!!

VIVAさん、やっばいですよ。一見セレブ評論家ですよ。
これは垣根なんて生易しいもんじゃなくて「城壁」です!
(でも男性だから、ジョークの手綱ゆるめませんけどね)

私のは絶対載せられません。記事の信憑性がうすれるから。
ブログからだけだと、よく男性と間違えられるんですが、それは目指していたところでもあるので、「今日はどっちかなぁ~?」ととぼけて返してます。
ysbeeさん (VIVA)
2007-01-18 13:56:40
セレブって最近覚えました。ラッセルの記事で使ってみました(笑)。私の場合は本当は全く関係ないんですがね、残念ながら。それにしてもありがとうございます。素直に木に登っておきます。

それはそうと私もysbeeさんのこと、ずっと男性だと思ってましたよ。目指していたと、ほ~。

それで【日本共産党】の記事の学生運動の時の思い出話の中で、女子のリーダー???あれ???学生運動ってヤツは、女子高の体育の授業のように男性が指導するのか???なんて考えて、何度も読み直しましたよ。 

やっぱり素で書いているようではまだまだ子どもですね、私なんぞ(笑)。これからはちょっと女性のふりでもして書いてみるわ。 げっ!
年齢性別不詳 (ysbee)
2007-01-18 15:06:09
>書いてみるわ……ウケました (^o;;)v

サイトの一番上のイメージもIDのアイコンも「女の子」を使ってるし、ハワイのページの方にはしょっちゅう「うちのダンナが」って書いてたんですが、呼んだ方はどう解釈されてたんでしょうか? 世の中おもろいもんです。

学生運動のところで気がつきました?手遅れの段階ですなぁ。
それだったら、かなり女性っぽいやっつー、とか思われてたんでしょうね。あーユカイ!
英語でブログるとカンペキ13才です。(実力でそれ以上書けない)
この手の融通無碍の書き手の天才には、我が愛する橋本治センセがいらっしゃいます。影響受けちゃったかな?
ysbeeさん (VIVA)
2007-01-18 20:03:00
んなことやってっから、29歳なのか(笑)。

まぁいいや。

師匠、修行を続けます。

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