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『 雪国 』 川端康成

2006年08月18日 | 小説
 
夏目漱石の記事に、生徒を含め、思った以上に多くの方からコメントいただけましたので、せっかくですから、急きょ予定変更しまして、もう一つ続けましょう。生徒に、文学作品に興味を持ってもらうために…。

こちらも日本文学の代表的な一冊、何と言っても、ノーベル文学賞を受賞した大作家で、本書も、歴史に残る名作ですね。

とりわけ名文として知られる、その書き出し

『 国境(くにざかえ)の長いトンネルを抜けると雪国であった 』の一節。

“こっきょう” と読んでしまっては、名文のリズムが生きないそうです。へぇ~そうですかね、難しいですね。

ところで、この文には主語がありません。国境を通り抜けたのは、人のようでもでもあり、列車でもあり、時間、空間でもあり、主客合一というか、それを超越した形で対象を描くのが川端氏の特徴だと、何かで読みました。

さて、この一文だけとっても、日本人でもよく説明できないような芸術性を、外国人がどうして理解し、ノーベル賞を与えたのでしょうか。当然、英語に翻訳されていますが、この名文は、以下のように訳されています。

“ The train came out of the long tunnel into the snow country. ”

直訳してしまうと 「その列車はその長いトンネルを出て、その雪国へ入っていった」 と急に小学生レベルの日本語になりますが、上の英文と川端康成の名文とをよく見比べて下さい。

この英文、もとの川端の日本語には主語がなかったのに、 The train  を“勝手に” 付け足してますよ、みんな! それだけでなく、逆に、日本文の重要なポイントであったはずの “国境の” の部分を、何と、何と大胆にも無視しているではありませんか!受験生では、絶対できない英作文ですね。確実に怒られます。でもこれが名訳なんですね。

これを翻訳したのは、エドワード・サイデンステッカーという人物。戦後24歳の若き外交官として来日し、アメリカきっての日本文学通で、古典を含め、数多くの日本文学を英訳しています。短歌などの英訳なんかもすごいんです。

川端康成がノーベル文学賞を取ることができたのは、サイデンステッカーの格調高い英訳があったからだとも言われています。


生徒諸君へ。本の楽しみ方はいろいろあります。もちろん合う、合わないもあります。先生は英語が専門なので、雪国について書くとこうなります(笑)。いずれにせよ、なんでこれが名文なのか、なんでこの本が(自分ではちっともおもしろくなくても) ずっと読まれ続けるのか、そんなことに関心を向けてくれたらうれしい。

夏休みも後半です。たまたま見たこのブログから、何か一冊でも、気になる本を見つけて、休み中に読んでいてくれたら最高。そして、なるべくなら、信頼できる国語の先生にも意見を聞くと良いですね。


http://tokkun.net/jump.htm


『雪国』 川端康成
新潮社:208P:380円

P.S. 小論文を書く人には一つ注意。このブログで、先生は、【 ! 】や【 ? 】などを頻繁に使っていますが、論文の試験では決して使ってはいけません。【!!!】
いいかい。【???】 英語とは違いますから、注意。本当ですよ。


雪国

新潮社

詳細



■■ たまにはランキングの経過報告です。■■

ところで仲間が、夏休み中にもかかわらず、わざわざ 『毎日ちゃんと押してますよ!』とメールで連絡をくれました。ちゃんと『読んでますよ』 じゃないんだ(笑)。まぁ、ありがたいことです。  

にほんブログ村 本ブログへ  おかげさまでずっと1位にさせていただいております。が、ちょっと危ないかも。お力を。

 今日は6位で、過去最高5位です。まだパワー不足です。努力いたします。

  気分転換で…。
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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
くにざかい (ごまめ)
2006-08-18 17:59:41
いつも楽しんで読ませていただいております。揚げ足をとるようで申し訳ないのですが、「国境」は「くにざかい」と読みます。
サイデンステッカーの本 (tani)
2006-08-18 18:13:03
先日は小ブログにコメントを賜り有難うございました。

D・キーンの本は文庫本などでも簡単に入手できますが、何故かエドワード・D・サイデンステッカーの本は見掛ません。青空文庫で調べたいと思います。

小生は

「湯島の宿にて」サイデンステッカー安西徹雄訳蝸牛社刊のエッセー集を一冊持っているだけです。時々読み返して大切にしています。<「源氏」を完訳し、川端康成のノーベル文学賞の立役者である著者が、日本人の微妙な心情まで鋭く洞察した友情溢れるエッセー集>と本の帯に書かれています。「雪国」の『国境』を無視なされた点のご指摘。さすがV先生です。因みにこの本では、「川端康成の死」については書かれていますが、雪国の英訳についてはふれていません。

ご指摘に肯きながら、英訳は英文和訳より難しいんだなぁと思いました。

ごまめさん (VIVA)
2006-08-18 18:23:05
大変恐縮です。ご指摘、まことに、ありがとうございます。実は私もそう思ったのですが、また、辞書も引いて、くにざかえ は無かったのですが、何かの本(今度探してみます)に くにざかえ と書いてあったことと、ネットで検索して、くにざかえ と くにざかい と両方あったので、そのままにしておきました。



また、こっきょう と くにざかい の論争があることも存じておりましたが…。



とりあえず、みなさんがこのコメントをお読みいただけると良いのですが…。
tani先輩 (VIVA)
2006-08-18 18:36:37
いや、とんでもございません。先輩がいつお越しいただけるかと心待ちにしておりました。

かなり前ですが、サイデンステッカーの自伝『流れゆく日々』を読みました。いつか取り上げたいと思います。また、TBいただいた真島先生のご著書もすぐにアップする予定でおります。確かに名著でした。ありがとうございます。
Unknown (通り)
2006-08-18 19:07:47
私は「こっきょう」と発音しますね。

その方が「長い」にきれいに繋がる感じがしますし、一文目の冒頭から炳然と言葉を意識できます。

何処かでルビは振られていないのですかね。



特に『雪国』は書いてみるとその文章の美しさがより際立ちます。



ところで、今後の世代は古典を率先して読んでくれるかもしれません

http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2006081801003506
Unknown (haruママ)
2006-08-18 21:36:05
私は、ずっと「こっきょう」だと思ってました。(←夫に「バカ丸出しじゃん!」と言われてしまった)自分の故郷が題材なのに・・・(私の生まれは雪国なんです)大人になってから、やはり自分の故郷ということもあり、読みました。あまり日本文学は読んでなかった私ですが、故郷を離れると急に「雪国」とつくものに関心が出てきました。(単純ですが)何でもいいので、読むキッカケが私には大事ですね~
すごーい (ひからびた胎児)
2006-08-18 22:23:16
ブログ村から来ました。

ずっと1位だなんて尊敬しちゃいます。1位ということ以前に「ずっと」という継続性に感服。



雪国はきれいな小説ですよね。

長いトンネルを抜けると…っていう描写が圧巻です
こんばんは^^ (シン@偽哲学者)
2006-08-19 00:13:06
昨日に引き続き日本文学みたいですね^^

興味深く記事を読まさせていただきましたm(_ _)m

何気にちょこちょこ覗かせてもらっえます♪

と、コメントしたときはポチッと応援させてもらってます。

私も上位目指して頑張りたいものです(^д^)
夜の底が白くなった (tani)
2006-08-19 10:01:20
V先生虎皮下

TBを覗いてしまいました。

小生は英語はまったく判りませんが、

<「夜の底が白くなつた」をどう英語にしたかのほうが興味があります。>に共感を覚えました。

10年ぐらい前、グループの落書き広報誌「□□瓦版」に、英語の副題を入れようと思って、英語の先生に瓦版をなんと訳すか相談したことがあります。「Tile block~」と訳してくれましたが気に入らず、詩人であり、フランス語堪能の畏友の仏訳で納得しました。なんと訳したか、いま散逸して見つかりません。直訳でなく、そんなセンスを盛り込んだ仏語だったことは確かです。

国境は〝くにざかひ〟なので、現代語では"くにざかい"だっぺと思います。

旧仮名に固執する作家も尠くなりました。
通りさん (VIVA)
2006-08-19 11:07:11
またまた、貴重なアドバイスと情報ありがとうございます。国語を教えていらっしゃるのでしょうか。



英語ならまだしも、雪国を『書く』というようなことは、私なんぞでは、到底思いつきません。新聞記事のことも全く知りませんでした。これからも折に触れて、ご指導下さい。
haruママさん (VIVA)
2006-08-19 11:12:51
お元気ですか?娘さん、暑くても、朝ごはんちゃんと食べてますか(笑)。



みなさまのコメントをお読みになっていただければ、おわかりのように、コッキョウ でも良いのですね。 私も勉強になりました。



暑い盛りです。お体気をつけてください。
ひからびた胎児さん (VIVA)
2006-08-19 11:27:22
はじめまして。コメントいただきありがとうございます。ハンドルネームからして、文学的というか、芸術的で、ビビリました(笑)。



こうして、いろいろな方から、いろいろなことを教えていただけるのが、続けられる原動力です。特にこうした、純文学となりますと、本当はかなりの無教養で恥ずかしくてしょうがないのですが、生徒たちの手前もあって(笑)、がんばらねば!と勇気をふりしぼってUPしておる次第です。



どうかこれからもよろしくお願いします。







シンさん (VIVA)
2006-08-19 11:31:52
今も、私以外の家族は、コンビニへアイスを買いに出かけました(笑)。家内と長男がシンさんのブログ、チェックしておるかもしれません(笑)。



仕事も、ブログランキングも大変ですよね。
先輩! (VIVA)
2006-08-19 11:40:13
先輩がそうおっしゃるなら、絶対です。私の知性は記事に書いたまでが限界ですから、人のせいにしておきます(笑)。



もう少し勉強して、俳句でもわかるようになりましたら、生徒に、『あじさい』と『あぢさゐ』は違うんだよ、な~んて言ってみたいです。



今言っても、“先生、なに気取ってんの?”って言われそうですから(笑)。
私も・・・ (キムタツ)
2006-08-19 11:58:52
灘高の木村です。VIVAさん、僕も毎日押しています。もちろん読んだ後に(笑)

国境は本当に綺麗だった (kazu4502)
2006-08-19 12:19:12
vibaさん、いつもお付き合いありがとうございます。夏休みはいかがでしたか。

国境(くにざかえ)の長いトンネルを抜けると雪国であった みなさんこんな経験がありますか、我々戦後の動乱期に政府の産めや・増せやの時代で生まれた富山の人間ならば大半は知っていると思います、今は東京から富山に帰ってくるには上越新幹線を利用するようになってしまい経験は出来なくなりましたが碓氷峠(トンネル)を境に本当に雪国になるんですよ、すべての景色が真っ白になります、昔は急行の白山(もしかすると信越線だったかも)そして特急ははくたかが走っていました、帰郷するときお金がなくて巣鴨の駅で15円の入場料金を買い、我が中央大学の友人と二人で上野から特急列車に飛び乗り、長野駅の近くで検札中トイレ隠れていたことがばれて課金されたことが思い出です、そんな時でも車掌さんは「はい残念でした、おつかれさん、シャバはそんなに甘くないよ あはははは」簡単な注意だけでしたね、のんびりした時代だったと思います、キセルは絶対だめです!!!(爆笑)
キムタツ先生 (VIVA)
2006-08-19 17:41:09
お帰りなさいませ。ブログの写真、拝見しました。クーラーなしで…。ご苦労さまでした。ライティングの原稿は仕上がったのでしょうか?

ブログから離れていても、トップ維持すばらしいですね。私は目が離せません(笑)。



先生のお人柄でしょうね。見習います。
kazuさん (VIVA)
2006-08-19 17:45:19
中央OBだったんですね。学生時代もやんちゃだったんだ(笑)。これだけ暑いと、雪を見てみたいなんて思いますが、実際の雪国の生活は大変でしょうね。それを知っている人が読むのと、そうでない人が読むのとでは、違う感想が出てくるんでしょうね。



いつもありがとうございます。

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 川端康成の雪国の冒頭の文「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」が、サイ