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『「大人」がいない…』清水義範

2006年03月03日 | 新書教養
 
実に興味深い切り口で、日本社会や大人を分析しています。日本人が大人になっていないからこそ、生み出せるキュートなアニメやキャラクター文化、あるいはオタクの輸出などができるのではないかという主張です。前書きに代えて、のっけから、決断できない“子ども”の家康が、経験豊かな大人の家来たちにあれこれ相談する場面が、方言丸出しで出てきます。それを材料に、大人とは、子どもとはどういうものを指すかを考察し、日本には大人が少ないのではないかと続くわけです。

また、漱石の『坊ちゃん』の読み方を解説して見せます。坊ちゃんは、イヤなことはしないし、すぐに怒ってしまうし、家を継ぐ責任のない二男で、最後はさっさと学校を辞めてしまう。“子ども”だというわけです。なるほど確かに『坊ちゃん』は責任を取っていない。大人ではない主人公が大人の悪い面を描いていて人気がある。日本独特だという指摘です。

日本には氏が定義(イメージ)する大人が少なく、このままでは、これから迎える少子高齢化社会がもたらす未知の諸問題にうまく対処できないのではないかという危機感があります。考えたこともないのですが、単純に言えば、無責任社会、他律国家ということになるのでしょうか。

なるほど日本社会が子ども的なものに惹かれるというのはわかりましたが、残念なのは、激動する現代に対処するための理想像や具体的対策などが述べられていない点です。筆者自身が述べているように、ご自分が社会学者でも心理学者でもなく、小説家なので学術的に論考はできないということですが、筆者の頭の中には、トルコやイランなど、筆者が“子どものすばらしい国”としているところを参考に理想像があると推察します。

非常に興味深い一冊でした。続けて清水氏の本を読んでみようと思います。
「大人」がいない…

筑摩書房

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『「大人」がいない…』清水義範
筑摩新書:206p:714円
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2 コメント

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おもしろい本 (ぜん)
2006-03-04 13:40:43
TBありがとうございました。

おもしろい本ですね。

大人が大人にならなければいけませんね。
作家の想像力 (VIVA)
2006-03-04 17:54:10
ぜんさん、コメントありがとうございます。



何人かの作家が教育問題に関して発言していますが、

作家の想像力は、中途半端な学者の想像力を凌駕し

ています。



本書もそんな風に感じさせる一冊でした。



これからもよろしくお願いします。

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