本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

『履修漏れ、公教育軽視の背景(総合的学習に異議)』 未履修とゆとり教育

2006年11月14日 | コラム・備忘録
 
■ここ二日間で拙ブログにいろいろなご意見を頂戴しました。未履修問題に関し、“学校をかばう”気は毛頭ありませんが、高校がここまで多く、そういう行為に出た背景の一つには、間違いなく“ゆとり教育”の問題があると信じています。

また、いじめ、自殺報道に関して、学校や校長などのシステムを取り上げるより、家庭や社会のしつけの問題だというご指摘もあります。ただ、やはり現実的に行政機関がまず手を付けられるのは、学校教育の制度問題だと思います。


行政が、愛国心などを含め、心やしつけの問題に手を突っ込むのは極めて難しいので、できるのは制度を改革することではないでしょうか。いじめを許す、あるいは見逃している親や地域の意識に問題があっても、法律で、すぐに何かを改善するのは困難です。


そこで、予定を変更し、特に履修漏れの背景になっている高校の指導要領の一部について、こういうことにつながるのではないかと危惧した拙文を掲載させていただきます。


これは、2003年、今から3年半前の3月、私が公立高校の学力低下問題などを含め、当教室 の発行するメルマガに寄稿したものです。お読みいただければ幸いです■



■■■

 4月から公立高校で総合的な学習の時間が始まります。この制度により、教科学習の授業時間は一層減ることになるわけですが、広島県では既に10年ほど前から、高校進学希望者全入などの政策とともに、総合学科を先行実施していたのをご存知でしょうか。学習の強制や受験競争の徹底排除のためです。


 広島県教職員組合とともにその旗振り役となったのは、新聞、テレビなどに頻繁に登場している文部科学省の寺脇研氏です。当時は広島県教育長でした。


「広島県の公立高校の授業数は日本一少ない、それ以上を望むのならどうぞ私立へ」と言い放ったのでした。


 そしてその結果…、かつて教育県と言われた広島の教育に関するデータは悲惨な状況を映し出しています。大学入試センター試験の県別の成績は平成元年以降全国15位前後だったものが、平成8年には45位(10年にはついに最下位という報告も:広島市議会議事録)、人口300万人近い大都市であるにもかかわらず、平成11年、100校を超えるすべての広島県立高校を合わせても、東大合格者はわずか2名、京大は3名です。地元の名門広島大学においてさえ、広島県立高校出身の合格者数が激減してしまいました。


 それ以上に深刻な問題は青少年の非行です。いじめ、校内暴力は急増し、少年犯罪率は全国1位。ここでは細かな経緯は省きますが、広島の教育改革の思想と顛末、すなわち「強制の排除」から「学力差の拡大と全体的低下」その後「犯罪の増加」という流れは米、英で行われた改革のそれと酷似しています。

 寺脇氏はこの広島の惨状を反省するどころか、「総合学習は着々と成果を上げている」と述べ、現在はさっさと文化庁に異動してしまい、氏の大好きな映画等が「心を豊かにする」などとアピールしている始末です。絶対に自らの非を認めないこの文部官僚の体質こそ改革の最優先にすべきです。

 同じく「ゆとり教育」に失敗し、子供の非行や公立校の学力低下問題に悩むイギリスでは、昨年モリス教育相が子供の学力を上げると公言し、テストで目標点に達しなかったという理由だけで潔く辞任しました。彼我の教育行政の差はいったい何なのでしょう。

 一方すっかり教育荒廃のシンボルとされてしまった広島では、県議会、市議会でも学力、非行問題がたびたび取り上げられました。今、小中全校での学力テスト実施、学力向上対策重点校の指定など、これまでとは全く逆の競争原理の導入政策で必死に教育の立て直しを図っているところです。


 ゆとり教育推進の日教組でさえ、研修会で「総合的な学習の時間」には多くの教員が不慣れで困惑している現状が報告されました。

 「自分の専門外の指導を求められ、何を教えたらいいか分からず時間をつぶしていて、大半の学校が困っている」「総合的学習は“お荷物”で、結局、生徒の希望より教諭のやりやすい内容を押し付けてしまう」と告白しているのです。


 高校教師に対する最近のアンケートでそれが裏付けられました。何と7割近くの先生方は 「やり方が分からない」 と答え、6割は 「不必要」 とまで考えているのです。にもかかわらず、このまま日本中の公立高校で、この4月から総合的学習の授業が展開されてしまうのです。


 先生方、本当にそれで良いのでしょうか。現場を知らない官僚や大臣とは異なり、既に先生方は日頃の授業で、学力低下を肌で感じていらっしゃるはずです。

 綿密に練られた、熱意あふれる授業であれば、たとえそれが受験に関係はなくとも、子供たちにとって一生の財産になる可能性がありますが、教師が 「半信半疑」 で組み立てた授業など、双方にとって苦痛以外の何ものでもありません。このままでは子供たちはますます学習から遠ざかってしまいます。

 学校が週休二日になった上、この制度で科目学習が減らされるわけです。公立高校はただでさえ3割削減した学習内容しか身に付けていない中3生を受け入れなければならないはず。

 さらに国公立大学の入試科目は来年から7科目に増えるという状況で一体何にどう対処できるというのでしょうか。“好ましくない” という表現を通り越して、“無謀でリスキー” な改革が続いていると申し上げなければなりません。

■■■



虚偽の申告をした高校は、もちろん許せませんし、いまだ知らん顔というのは信じがたいのですが、それとは別問題として、私が、いじめや履修漏れ問題の背景に、どうしても現場では受け入れがたいような、文部科学省の指導要領の問題があることを認めるのは以上のような認識があったからです。


当時、これほどのことがわかっていたのに、ゆとり教育を導入してしまったツケが、前代未聞の履修漏れと関連していると考えております。

また、これほど現場が反対していても、表立って、教育委員会や文科省に異を唱えることの難しい、中間管理職としての校長という立場、今になって責任を感じて自殺に及んでしまうその立場に同情を禁じえないのです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。政治活動などとまったく関係なく、単に生徒の学力向上や精神的安定を願うのみです。こういう声が理解されるかどうかわかりませんが、多少なりとも賛同していただけましたら、テキストバナーにクリックをいただけると大変ありがたいです。どうかよろしくお願いします

人気blogランキングへ  にほんブログ村 本ブログ 
ジャンル:
学校
コメント (6)   トラックバック (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 『速読英単語(必修編)』 風... | トップ | 馬事公苑の花 ブバルディア ... »
最近の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
同感です (PCU広報)
2006-11-14 18:38:52
VIVA様
本日のブログ記事で『教育格差』を取り上げ
ゆとり教育の問題についてもまとめさせて頂きました。
私も履修不足問題の原因が小中のゆとり教育と
高校での学習量集中にあると思っています。
(虚偽報告を容認するわけではありませんが)
構造上の問題を抱えたまま教育行政は違う方向へ進んでいくのでは無いか不安に感じています。
寺脇氏のように、原因分析を正確に行わないまま
うやむやにするような文科省の官僚の方がいるようでは周囲も不安が増すばかりかと思います。
国公立大学が7科目受験が実施されればさらに歪んだ構造になって行くのでしょうね。
学習指導要領で小中高の履修バランスの悪さを是正した上で新たな施策を考えて欲しいものです。

Unknown (未履修問題に無関係の高校教師)
2006-11-14 22:42:38
総合学習について、
 そうはおっしゃっても、実際自分に興味の無いことについては5分で寝てしまう40人の高校生相手に、専門外のことから教材を探し出し、専門並に深く教材研究し、50分持たせるというのは本当に大変なことです。私も今年度初めて担当しましたが、「時間」というトピック一つとっても本当に大変でした。話だけでは持たないので作業をさせるのですが、「もっと増やしたい時間は?」という問に対し、「遊ぶ時間」「寝る時間」「のんびりする時間」という答え・・・(今でも家庭学習はほとんどしていません)これをどう広げればいいのでしょう?
 それと履修漏れ問題についてですが、現場の教師としてひとつ申し上げたいことがあります。それは、「その学校が何をしていても、中学生は進路実績で高校を選ぶ」ということです。つまり大学進学の実績が今ひとつの高校には、いかにきちんとルールを守っていたとしても、やっぱり勉強があまり好きではない中学生が集まるということです。その学校は当然、当たり前の規律を指導することから大変困難なことになってしまいます。
 そりゃあ、「先生は教育のプロであるのだから、目の前の子供がどんな子供でもきちんとさせてあたりまえだ」といわれれば、それまでです。しかし実際は、そこまできちんとできる教師の多くは進学校に集まり、指導困難校には指導力不足の教師が集まります。そういう学校で普通に授業をすることは難しいのが現状です。教師を責めることは簡単ですし、本校の生徒でもきちんと話をすればちゃんと聞くことが出来ます。でも、今の大人、とくにどれくらいの親があたりまえのしつけができているでしょう。「お母さんが海外出張に行って、家事をしなくちゃいけなくて、疲れたから学校を休んだ」と平気で言う生徒がいます。(もちろんお父さんは毎日仕事から帰宅しています)授業料が払えないような大人は責められず、ひたすら教師ばかりを責めて何か解決策があるでしょうか。
 未履修の問題にしても、決めたのはほとんどが校長なり教務部長なりといったそれ相当の地位を持った教師です。ほんの一部の力を持った教師がしたことで、その他の、言い分を本当に聞いてもらえない、そして生徒のために少しでもいい授業をしようと奮闘している大半の教師が世間に責められ、教育が行いづらい状況を作り出しているのだ、ということにいつになったら気づいてもらえるのでしょうか。
 大切なことは、少しでも多くの時間を生徒とともにすごすことなのではないのでしょうか。その時間を世間は教師からあまりに奪いすぎです。教師は24時間起きているわけではありません。24時間起きていたとしても今世間が教師に求めていることを全て行うのは無理です。その状況にせめてVIVAさんだけでも気づいて欲しいです。
私も同感 (bucky)
2006-11-14 22:49:41
今日は真面目に?。
いろいろな意味で、公立の学校が萎縮している、実際に子どもを通して肌で感じます。
でも、これはこうならざるを得ない事情がやはりあり、先生方とのコミュニケーションもどことなくぎこちない。
こういう空気の中で、十分な教育が行われるわけがない。
VIVAさんのおっしゃるように現場で大きなひずみが生じているに違いありません。
満足に授業がしきれない事を自覚し、塾にその後が委ねられる事を諦めている。それでは何のための公立学校なのか。
もっと直接子供達と接する学校が元気であって欲しい。
自由裁量と責任、それを現場レベルに引き戻す事は出来ないのでしょうか、と考えてしまいます。
PCU広報さん (VIVA)
2006-11-15 13:02:45
TBとコメントありがとうございました。お読みになっている本や、コメントや記事を拝見しておりますと、大変共感を覚えます。塾講師としても、また子を持つ親としても、現在の教育問題は深刻に感じます。

また、いろいろ教えて下さい。
未履修問題に無関係の高校教師さん (VIVA)
2006-11-15 13:23:39
本音での率直なご意見、大変感謝しております。どこからお答えしようか昨日の晩からずっと考えておりましたが、いまだにまとまりません。

思いつくままで、申し訳ないのですが…

私も塾で生徒たちに聞きますと、総合的学習はまったく身になっていないし、時間の無駄であると大半が言います。

またご指摘のように、いわゆる指導困難校などと呼ばれる学校の授業の様子は信じられません。お茶やジュース、携帯電話まで机の上に置いたまま授業をしているとか、寝ているとか…。いったいどうやって先生方は授業をしているのだろうと。

教えていただいたような家庭のエピソードはよく聞きます。今日は早く帰らないと、お母さんが家でマージャンをするからお手伝いをするんだとか、わけわかりません。

いろんな問題がありますし、学校に情報や家庭科や、マナーまで教えろというのはそもそもムリがありますね。教員の精神疾患も度々報道されます。

日教組と文部科学省が歴史的和解をしたのは、もう10年ほど前でしょうか。当時、それに期待したのですが、逆に教育環境は悪化しているように思います。

教員の方々のお仕事の大変さは、日々痛感しておりますし、お察し申し上げます。

ただ、塾講師は授業に問題があって何もしなければクビで、即失業者です。塾全体でそんなことをすれば倒産です。勝手な言い分で申し訳ありません。学校にはそれがないだけ、リスクをとって改革ができないかと思っております。

また教員をひとくくりに論ずる方法に、苛立ちを覚えていらっしゃるかと思いますが、一人一人の先生に、できる範囲で改善していただくしかないと思っております。

現場を知らずに、勝手な言い分ですみません。先生、もしよろしければ、これからも率直なご意見をお聞かせ下さい。非常に勉強になります。
buckyさん (VIVA)
2006-11-15 13:38:15
おっしゃるとおりですね。教育というものを、国全体の重点政策として掲げるのは良いのですが、どうもシステムがうまく機能していないようです。

家庭の問題、地域の問題もありましょう。

どこから手を付けてよいのかわからないような状況です。ですから、まず、他の政策と同じように、教育の目標、学校の役割を明確にしなければなりませんね。

生きる力とか、ゆとりなどの不明確な、しかも誰も反対できないような目標ではなく、ちゃんと後から検証可能なもの。学力をつけるというのを基本にしていただきたいです。でも学力とは、という議論がまた出てくるんですけどね…。

現在の数値目標もいろいろありますが、実効性はどうなんでしょう。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

2 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
第318話≪図書紹介:「タイゾー化する子供たち」(光文社)≫ (HageOyaji通信)
 高校生のみなさん、(^◇^)ノ お~ぃ~ゲンキか!  {/fuki_osusume/}時間がある時は、下記もクリックして見てください。  ≪他の教育・学校に関するプログも参考にしてください≫  みなさん、教育問題に関し、多くの問題が山積してますね。  文部科学省で ...
教育格差 (プラウドシティ梅島自治会)
『教育格差は改善するのか』 最近の教育問題。 いろいろと語られていますが、問題の根源として ゆとり教育があげられることが多いかと思います。 「最近の学校問題ははゆとり教育による・・・」という具合です。 考え方としては間違いないのですが、一部誤解もあ ...