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『自壊する帝国』佐藤優

2006年12月29日 | ノンフィクション

 

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今年もブログを振り返れば、いろんな本を読んだなぁ~という気がします。本当は、2006年、心に残ったこの1冊などと選んでみたいところですが、じっくり考える時間がありませんし、あれも良い、これも捨てがたいなんて、結局、決められそうにありませんね。


そうはいっても印象深い本がありまして、本書は今年読んだ中でもっとも印象に残った本の中の一冊であることには間違いありません。ノンフィクションの中なら確実に今年の3冊に入れることができそうです。


佐藤優氏の著作は、 国策捜査を告発し、その評価をめぐり藤原正彦氏と櫻井よし子氏の論争にまで発展した『国家の罠』、 その続編で、逮捕当時、鈴木宗男、佐藤批判一色の中、堂々と佐藤擁護の論陣を張った産経新聞の斎藤勉記者が佐藤氏にインタビューした『国家の自縛』を取り上げました。


いずれもショッキングな内容で、印象深い本ですが、本書はその要素にプラス、スパイ小説なみの劇的展開や緊張感が加わって、前二作以上に高い評価を与えても良いのではないかと考えています。


一人の日本人外交官が、ありとあらゆる知恵と行動力を駆使して、ソビエト社会の指導者層の間を綱渡りで情報収集に当たる様は圧巻ですし、大物とのコミュニケーションを可能にする、その桁違いの知性にも驚嘆させられます。


ロシア人相手にウオトカ(ウオッカ)を浴びるほど飲み、駆け引きはしてもだますことはせず、むしろ立場を超えて共感を惜しまず、万全の準備や根回しをしたあとは、常に緊迫感あふれるソビエト幹部や他の実力者たちとの真剣勝負で情報を引き出します。

ソ連解体に際して繰り広げられる権力闘争やさまざまなグループの凄まじい利権確保の争いの間を、見事な読みと、そこまで築き上げた人脈を駆使して日本の役に立てようと行動している訳です。接触する相手は、学生から大統領側近まで、実に幅広く、レストランから本屋さんまで将来役立ちそうなところには、前もっていろんな種がまいてあるのです。本当かと思うほど、気配りは行き届いています。


ロシアおよびその周辺諸国社会の激しさは、歴史を見ても、最近の動きを見てもわかりますし、KGBなど諜報機関の冷酷さは、『プーチニズム』を読んでも、その著者アンナ・ポリトコフスカヤ氏が殺されてしまった事実からも痛感させられます。


その『プーチニズム』 の中で、中心的に取り上げられている、チェチェンで起きた、ロシア軍幹部による少女暴行殺人事件。プーチン政権に致命的打撃になりかねなかった問題でしたが、佐藤氏はプーチン政権とつながる、裁判官や政治家の人脈や人柄までも解説してみせます。

 

本書を読む限り、佐藤氏はソビエト社会に完全に溶け込んでいますし、情報が混乱していた当時、最後はソビエト社会の指導層たちから、逆に頼りにされるほどの情報網と人間的な信頼を勝ち得ているように思えるのです。

つまり、日本外交にとって余人をもって代え難い人材に育っていたのに、それを国策捜査によって、逮捕にまで追い込んでしまった、日本外務省の官僚体質、あるいは政府の不明が悔やまれます。


彼が鈴木宗男氏と同時期に逮捕されたおり、我々日本人が、やっと悪い奴が排除された などと思わされていた一方で、佐藤氏のロシアなどの友人たちが支援をしたいと申し出たというのは、何とも皮肉で、象徴的な現象です。


最近は、こうした意欲的な本の執筆活動だけでなく、ラジオや雑誌などでも、佐藤優という名前を、頻繁に目にしたり、耳にするようになりました。やはり世間が放っておかない洞察力と経験や情報を持っているのでしょう。

今後、大きな成果をあげてきたロシア外交の前線に、佐藤氏が戻ることはないのでしょうが、そこで築いた内外の信頼が、今こうして別の形で活躍の場を与えているのだなと思った次第です。


 

P.S.そういえば佐藤氏がラジオで、森政権末期、加藤の乱の加藤紘一氏は何と外務省を通じて、ロシアに “森はもうダメだ” というメッセージを送らせたという信じがたいエピソードを暴露していました。 

さすがに黙っていられなくなった佐藤氏は、そんな外交は許されないと思い、森首相に伝えに行くと、佐藤氏の手を握って、“僕のことより日本の外交のことを考えてくれ” と、カッコいいことを言ったそうです。

自民党内部の権力争いが外交にとんでもない影響を与えているんだと思った記憶があります。何となく佐藤氏をおとしいれたい勢力の存在もぼんやり感じることができました。

自壊する帝国

新潮社

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『自壊する帝国』佐藤優
新潮社:414P:1680円

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4 コメント

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応援感謝しています (kazu4502)
2006-12-29 12:03:46
日朝起きてみますと一面の雪景色、30センチは積もったのでしょうか、何かまっ白い雪をみると新鮮な気持ちになります、やはり富山市は雪が似合います。今日は昨日富山湾であが゜ったばかりのブリ(家に持ち帰っても今日の朝まで生きてました)の解剖?(さばき)を家族でしなくちゃいけません、これって大変なんですよ、刺身、焼き、などすべて区別しなくちゃいけないんです。でも友人からただで一本もらったものに文句は言えませんよね。
さて一年間、お疲れ様でした、毎日いろいろな本をご紹介いただき、ほんとうにありがとうございました、あと2日間で平成十八年が終わろうとしています、vivaさんにとってどのような年であったでしょうか。
来年は今年以上に飛躍の年でありますように富山よりお祈り申し上げます。
今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう伏してお願い申し上げます。
TBありがとうございました (日暮れて途遠し)
2006-12-29 21:38:43
「そういえば佐藤氏がラジオで、森政権末期、加藤の乱の加藤紘一氏は何と外務省を通じて、ロシアに “森はもうダメだ” というメッセージを送らせたという信じがたいエピソードを暴露していました」
とありますが、佐藤さんはたまにラジオに登場するんですよね。私は残念ながら一度も聞いたことがありません。事前に分かればと思うのですが、、、。
この話、読んだはずと調べたら、下記の6ページにわたる面白い記事でした。ご参考まで。
● 新潮45 11月号(10/18発売)
新・キングメーカー「森喜朗」秘話……佐藤優
kazuさん (VIVA)
2006-12-30 07:31:42
おはようございます。そうですか、富山は雪が似合うかぁ~。東京は暖冬らしく、まったくこの冬は雪がありません。まぁ都会はすぐに雪で混乱しますから、いくら風情があっても、受験生にはかんげいされませんけどね。

TBありがとうございました。今年はkazuさんのブログで勉強させてもらいました。ランキングにもアドバイスをいただき、こちらこそ感謝しております。

この正月は東京で過ごします。31日まで冬期講習会です。

それが終わったら、またkazuさんのブログにもおじゃまします。来年もよろしくお願いします。
Unknown (VIVA)
2006-12-30 07:34:29
ごぶさたしております。実は拙ブログにはじめて記念すべきTBを下さったのは、日暮れて途遠しさんなんですよ。もちろん佐藤氏の著作に…。

いろいろ教えていただきました。ありがとうございました。

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【筆者記】 私は学生時代、教授が社会党の社会主義協会の向坂一派の信望者であったため、ソビエト経済とマルクスレーニン主義を選考していました。ソビエトの歴史とロマノフ王朝が崩壊し、レーニンがポルシェビキを率いて社会主義革命を成功させ、そしてスターリン ...