ときわの広場

ときわ動物病院のコミュニティ。診療のお話やしつけ教室の様子など、ざっくばらんに綴っています。

消化器科4 猫の肝外胆管閉塞に伴う黄疸の治療(胆嚢切除、胆道変更術)

2015-10-26 19:24:43 | 院長のつぶやき
こんにちは、岡村です
猫ちゃんも人と同じように、黄疸を発症することがあります
症状は食欲不振、元気消失、嘔吐などで、耳が黄色いことで気付かれることもあります。


尿も黄色いです。白い猫砂は色の変化がわかりやすくてよいですね。


黄疸が出る理由は様々ですが、結局、肝胆管の炎症と胆汁の鬱滞が関係すると考えます。
いずれの原因であっても、難しい疾患です
また、胆石は人も含め、犬でも猫でも発生しうります。
この場合、細菌感染を伴っていることがあり、化膿性胆管炎・胆嚢炎を念頭にいれて治療する必要があります

診断は血液検査やエックス線検査で状態を確認しつつ、エコー検査が欠かせません。
胆嚢から十二指腸へとつづく胆汁の排泄路は総胆管と呼ばれ、胆嚢管や肝管が合流しています。
この総胆管が閉塞している場合、拡張し蛇行した様子がエコーで確認できます
疎通があれば、内科治療によって、抗菌剤や利胆剤などを用いて治療していけますが、
疎通がない場合は、外科的に治療を行います。
上からも下からも総胆管の疎通ができない場合、胆汁の排泄路を確保する必要があり、
この時には胆道変更術を行います。

黄疸を呈していたフクちゃん。
内科治療で一旦はよくなったのですが、程なくして再発。
胆嚢炎と胆石、総胆管の拡張・蛇行をエコーで確認し、
胆石による肝外胆管閉塞と急性胆嚢炎と診断しました。
急性化膿性胆嚢炎を起こしていた胆嚢を切除し、
胆道変更術により、胆汁の排泄路を確保した結果、黄疸はなくなっていきました。
今では以前と変わらず食べて、元気にすごしているとのことです
生検結果も悪くなく、よい術後経過でほっとしています


胆石、腫瘍、膵炎や腸炎などが肝外胆管閉塞の原因になり、
膵炎などをおこしてしまう基礎疾患がある場合もあります。
上記のように、原因疾患が複雑で重篤なものである場合も少なくなく、
また膵臓癌のように原因疾患の事前診断が難しい場合もあることから、
肝外胆管閉塞の手術は術後経過が必ずしも良いわけではありません
それでも、内科治療に反応がない閉塞性疾患なら、外科手術を行い、
黄疸を解除させ、生検なども同時に行って正しく診断していかなくては、治る希望もありません。
外科治療にふみきった飼い主さんの決断は称賛されます

難しい疾患でも、飼い主さんが希望を見出せるような治療を提案できるように、
世の中で、どんな治療が行われているのかを知ること、
そのために考えること、読むこと、学ぶこと、足を運ぶことが大事です。
飼い主さんが動物治療に真剣であることに対して真摯に対応していきたいと常々考えています
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