タキイの徒然空想日記

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(マクロス二次)TRIGGER 1

2017-03-06 16:26:40 | 二次創作(マクロス)
やはり学校に着いてもいつも通りで出航はなかった。フライトウェアに着替え、可変戦闘機の準備をして待機を命じられただけである。
ただ普段ならそのまま解散になるはずなのだが、今日は違っていた。
ある一年生が「もう俺たち集まる必要ないんじゃね」と呟いたばっかりに教官が連帯責任として校庭50周を命じたのだ。
無邪気な一年生のせいで責任を負わされた上級生としては不愉快極まりない話なのだが、ハルト含めて誰一人不満を漏らす者はいなかった。それは全員同じ事を考えた時期が一度はあるという負い目からである。

☆☆☆☆☆

春に航空機動学部へ入った一年生にはそれまでにないほどの莫大な量の勉強とトレーニングが待っている。それゆえに勉強訓練勉強訓練勉強訓練勉強訓練…と繰り返すうちに自らの最終目的を浮かべて思うのだ。『この平和な世界が作られたマクロス・ノヴァの中でここまで必死に戦うための勉強をする事は必要あるのか?』と…。
以前ハルトはその疑問をイサミに尋ねたことがある。
その時、
「確かに俺たちのいる状況は極めて平和だ。謎の生命体に襲われたり、奇病で暴動が起きたりしないし、ここ十数年は戦争もそんな起きていない。だがその平和を過信しすぎて、いつか壊れてしまうんじゃないかという疑問を思わなくなる事は良くない。俺たちがしている事は壊れてしまうんじゃないかと一般の人に『思わせない事』。自分たちはその疑問を常に『思い』、他の人には『思わせない』ように戦う事がきっと俺たちのすべき事なんだよ」
と答えてくれた。そして、
「なんでも有名な航空訓練士グレン=エンドローズ大佐の名言の一つなんだってさ。教官が言ってた」
と笑いながらハルトの頭を撫でてくれた。それから、この言葉はハルトにとって二人の尊敬するパイロットから譲り受けた信念となっている。

☆☆☆☆☆

だからこそ、ハルトも家に着いた時間が21時をとうに過ぎていたとしても誰もが通る道ゆえに何の文句も考える事はなかった。
たとえ目の前で母がフライパンを持って仁王立ちをしていても、だ。
「…というわけで遅れました。ごめんなさい」
ハルトは家に帰るやいなや自宅のダイニングテーブルの横で正座をして、帰宅が遅れた顛末を説明した。しかしハルトは必死で誠意を見せているのだが母は微動だにしない、その微笑みさえも。普段は聖母のような笑顔を絶やさない優しい母だが、怒っている時も聖母のような笑顔のままで怒ってくるから一般の人の数倍迫力があって怖い。
「まったく、遅くなるのはわかってたけどもっと早く連絡できたでしょう?母さんの料理が冷めていいの、ねぇ?」
口調は優しく聞こえるが声色はかなり怒っている。
母ユウハは昔から過保護なところがあり、帰る時間や向かう場所を常に連絡をするようにと口を酸っぱくしていた。しかし今日はその連絡を忘れてしまっていたために逆鱗に触れてしまったらしい。
「…す、いませんでした」
「ちゃんと謝るときは母さんの顔を見て謝りなさい!」
「まぁまぁ、ユウハさん。ハルトも反省してるみたいですし」
ちょうど帰ってきたイサミが母との間に入り、制止した。
「ユウハさん、夕食をご馳走になりに来ました。お気持ちもわかりますが、ハルトも訓練で疲れてお腹が空いているでしょうし、許してあげましょうよ」
「イサミくんがそういうなら…」
「イサミ兄…」
救世主の登場にハルトは思わず手を合わせるとリビングから、
「えー!おもろいとこやったのに!」
と声が聞こえてきた。
見るとソファの背もたれからファッション雑誌を持ったユーシェが顔を覗かせている。部屋着姿のあたり、ハルトより帰りが早かったようだ。
「なんだよ、ユシェいたのか…。って!『おもろい』ってなんだよ!」
正座で痺れる足を抑えながらハルトは全力でユーシェを指さした。
「おもろいってそのまんまの意味よ。だってハルトがビビる姿があまりにも…」
そう言ってユーシェは口元を押さえた。
その姿に、
「な、なんだと!」
と怒号をあげて、立ち上がろうとするも、足が痺れてハルトは派手な音を立てて床に突っ伏した。それを見てユーシェは堪えきれなくなったのか吹き出した。
「ユシェやめないか!いくら面白かったからってそんなに笑ったらハルトに悪いだろ」
「イサミ兄、それフォローになってなくない…?」
「そうか?」
「…」
イサミの天然発言にハルトは思わず肩透かしを食らった気分だ。それを見てユーシェがまた笑う。
しかし、
「あなた達…」
「「「…!」」」
その瞬間、ハルト達三人の背筋が糸で引っ張られたようにピンッと伸びた。その優しげなのにどこか恐ろしい声に振り返るとまた母が微笑んでいる、殺気を放ちながら。
「遅い時間に帰って来て、おしゃべりよりも先にする事あるでしょ」
そして小首を傾げた。全く表情を変えない様はまるでホラー映画の殺人人形だ。
そして、
「ハルトは早くお風呂に入ってらっしゃい!その間にご飯用意するからイサミくんは待ってて!ユーシェちゃんはハルトで遊ぶのはいいけど後になさい!」
反論など許されない。
「「「はい、ごめんなさい…」」」
三人が声を揃えて謝ると、満足したかのように母はまた微笑んだ。
やはり母は強し。これだから怒らせたくないものだ。

ハルトが風呂からあがるとダイニングには夕食が二人分用意され、イサミが先に食事を始めていた。母の姿がないのは恐らく明日大学の特別講義があると言っていたのでその準備があるからだろう。
「ごめん、ハルト!先に食べてる」
「いいよ、イサミ兄も緊急警報で船外任務に出されてたんだろ」
「まぁ、な」
そう言ってイサミはコロッケを齧った。それを横目にハルトも席につき箸を取った。
それからはお互い無言だった。
なにしろ今日消費したエネルギーを早く補充しろと本能が体のいたるところで叫んでいる。最優先事項は腹ごしらえなのだ。
そして話し出したのは、イサミがみそ汁の最後の一口を飲み干してからだった。
「…結局、フォッグだったよ」
「へぇ」
『フォッグ』…。最近ニュースでよく見る、突如消える敵。船外探知センサーの不具合との説もあるが、イサミ達のように一部の警護部隊と交戦歴があるためにマクロスノヴァ不思議のひとつと言われている。
「…まぁ、それはさておき」
「?」
「珍しいな?ユウハさんが怖くて滅多に怒らせないハルトが連絡を忘れるなんて」
イサミはニッと笑いながらコップをかかげた。
思わず目を逸らす。
確かにハルトはどんなに訓練で疲れていても連絡を忘れる事はほとんどなかった…、という事は今日1日の中でのイレギュラーな出来事が原因だったのだろう。
とすれば、
「ミリアに…会ったからかな」
夕方に会ったミリア=イレと名乗る少女…。
「ミリア?初めて聞く名前だな。同級生とかか?」
「いや…、放課後に公園で会った女の子でさ、なんか懐かしい感じの歌を歌ってたから気になって。なんだっけニジェ、イノエレ、エンデ、リバ…カ…?あんまり覚えてないや」
「ミジェエニ イノーレ エンシェ リバーチカ…」
「え?」
その声はリビングでテレビを見ていたはずのユーシェだった。話を聞いて急に歌い出したらしい。
「ユシェ、なんでその歌知ってるんだ?」
「知らんよ?私も何の歌かはようわかれんし。ここしか歌えん。なんでこれを覚えてんのかもわからんし…お兄は知っとう?」
「…さっぱりだな」
そう言うと、イサミは空になった皿を持って流し台へと向かった。
「でも、…だろな。ならその子か、か…まぁいいや」
独り言だろうか、思わずイサミに聞き返そうとすると、
「とりあえず、ハルトも早く食べろよ。いっしょに洗ってやるから」
「え、ほんと!?」
ハルトが目を輝かせると、
「おう、いつまで一緒に食ってられるかわからないからな」
イサミはそう微笑んだ。
その言葉の意味を知ったのはそれから2ヶ月程経ってからである。
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