リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

香山リカ×勝間和代

2009年12月22日 | Weblog
精神科医etc.の香山リカと公認会計士etc.の勝間和代との対決が話題を呼んでいる。
AERA誌上では対談を行ったらしい。

どちらの著作も何冊か読んだことがあり、それぞれに共感できるところがあるのだが・・。

香山リカの「しがみつかない生き方」の帯にかかれた「勝間和代をめざさない。」というキャッチーなキャッチフレーズ(中の一章のタイトルでもある)が共感を呼ぶ人が多いらしくこの本は結構売れているという。
そして、勝間和代の近著、「やればできる」の帯には「香山リカさんの『しがみつかない生き方』を読み、正直、迷ってしまっているあなたに 読んでほしい」とあり正面から対決しているように見える。

もっともこの二人のよって立つスタンスが違うので議論はかみあわない。
ただお互いに利用しあっており、「Win-Win」でうまくやっているな。という感じ。


さて勝間和代のスタンス。

勝間和代の本は基本的には、現世利益をもとめるハウツー本、実用書、ビジネス書である。
カツマーと呼ばれる女性たちに支持されているらしい。
ポジティブシンキングを徹底し、自分軸を貫いてコミュニカティブであれば夢はかなうのですよ。そのための具体的な方法論はカクカクシカジカですよ。(インディ(ペンデント)な生き方をめざす。自分をGoogle化する。など)・・・・。
行動療法的ともいえる。
勝間和代は挫折をしてもめげることを知らず乗り越えてこられた強い人なのだろうか?
明確に方法論がのべらられておりノウハウを求めて読むにはいいが、押し付けがましさが多少うっとおしい。
心がつかれたときに癒しをもとめたり、生きる意味に迷ったときなどにはまったく役に立たない。
躁状態のとき向け。

そして香山リカのスタンス

香山リカの本は、心の平安をもとめるという意味で仏教の経典や哲学書に近い。
支持者はカヤマーと呼ばれはじめているらしい。
みんな、それぞれ背負っているものがあって、それぞれにがんばっている。
なるようにしかならないんだから、しがみつかず平凡で穏やかな「ふつうの幸せ」を手にしましょうよというスタンス。
香山リカとて社会的には成功者といえるのだろし、別に努力を否定しているわけではないのだが、精神科医として弱者に付き合ってきた経験からがんばりたくてもがんばれない人がいることも知っているのだろう。
香山リカのうつや貧困、ロストジェネレーションに関する言説はバランスが取れていると思う。
どうすべきという押し付けがましさはなく、全体に流れる「そのままでいいんだよ。」というメッセージにには癒される。
精神療法的と言える
ただエネルギーが有り余っていて何かをやりたい人が具体的なノウハウを得たいときには役立たない。
うつ状態のとき向け。

ま、それでも勝間和代の「インディな生き方」、香山リカの「しがみつかない生き方」のどちらも「他者に依存しすぎずに、個人として自律してしっかり生きていこう。」というというスタンスでは共通しており単に推奨するエネルギーレベルが違うだけのような気もする。
熱狂的な新興宗教と落ち着いた伝統宗教の差みたいな・・。

香山リカが五木寛之との共著の「鬱の力」の中で指摘するように時代は熱狂的な「躁の時代」を経て、ゆっくりと衰退、成熟へ向かう「鬱の時代」へ移行しつつあるように思う。
勝間和代のハウツーは利用させてもらうとしても、時代はサステイナブル、スローがキーワードである。スタンスとしては香山リカのほうがこれからの時代向きだろう。

しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)
香山 リカ
幻冬舎

このアイテムの詳細を見る


断る力 (文春新書)
勝間 和代
文藝春秋

このアイテムの詳細を見る



とか言っていたら・・・・。2010年1月8日に共著で本を出版とか(↓)早っ。商売うまっ。

勝間さん、努力で幸せになれますか
勝間 和代,香山 リカ
朝日新聞出版

このアイテムの詳細を見る





ジャンル:
ウェブログ
コメント (3)   トラックバック (1)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 障害受容再考 | トップ | 依存症(アディクション)治... »
最近の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とい@P)
2009-12-30 20:05:13
二人の対談本が新年早々でるらしい。
ほんとウィンウィンだなー。
すてきなひとたち (鶫)
2010-01-21 12:48:36
はじめまして。鵠と申します。

香山さん・勝間さんのご著書、人生観について、簡潔かつ的を得た
ご説明と思います。心にストンと落ちました。
教職にこそ就きませんでしたが 30 を過ぎて教育学に触れる機会を
得、教育理論/実践ともに <香山ベクトル> と <勝間ベクトル>
の大事さを感じています。

私はお二人の本ともに、人間・生活者への愛を感じています。
同じ苦労人でも、勝間さんにはより熱い血が通っている印象、
香山さんにはより多くの「他者」への愛を感じます。

その理由は、とい@P さんの上記ご指摘のゆえと思います。
Unknown (とい@P)
2010-01-21 12:54:59
コメントありがとうございました。
私もどちらも好きです。
ただ適応に注意しましょうということはいえると思います。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
「努力が趣味なんです」くらいの余裕を持って、自慢も強要もせず、自分流に励むのが、心の健康にも体の健康にもよいばかりか、人生の... (virtues of life)
 勝間和代vs香山リカのバトルが巷で噂になっているのを耳にし、あの勝間さんにバトルを挑むのはどんな理屈なのかと若干を興味を持ちつつ、しっかりと主張を聞けてなかったのですが、正月の特番で目にすることができました。端的に言うと、どちらの論理もあまりに極端で...