助手 「新車ラッシュが続きますね。今度は日産のブルーバード・シルフィが新しくなりました。」
所長 「普通、モーターショーのあとは新車が続くモンじゃが、今年はとりわけ多いのぉ。このあともまだまだ続くみたいじゃな。」
助手 「モーターショーに実車が出てたのだけでも、トヨタのbBにエスティマ、三菱の i(アイ)にマツダのMPV、ダイハツからはテリオス、あとスズキのMRワゴンもありましたね。」
所長 「新車効果に頼っとる現状を如実に表しとるな。」
助手 「そうですね。」
所長 「で、なんじゃったかの。」
助手 「シルフィですよ、ブルーバード・シルフィ。」
所長 「そうじゃった、そうじゃった。お前は今度のシルフィ、どぉ思う。」
助手 「どうって、腹が立つのを通り越して正直哀しくなりましたね。」
所長 「何でじゃ。」
助手 「何でって、こんなクルマにブルーバードの名前を名乗って欲しくないからですよ。」
所長 「どうしてじゃ。」
助手 「どうしてって、このクルマのコンセプト知らないんですか。女性をターゲットにして「美しい」・「心地よい」・「優しい」ですよ。こんな女性に媚を売ったようなクルマに伝統のあるブルーバードを名乗る資格はないでしょ。」
所長 「そうか。」
助手 「そうかって、所長は何とも思わないんですか。ははーん、何だかんだ言ったって所長は、このクルマのターゲット顧客ですからね。保守的な高齢層に向けてつくったクルマでしょうしね。さてはシルフィを買って奥さんを喜ばそうとか、考えてるんじゃないですか。」
所長 「誰が保守的な高齢者じゃ、失礼な!仮にもクルマ文化研究の従事者じゃぞ、保守的なんて言われとうないわ。」
助手 「冗談ですよ、冗談。そんなに怒らなくても。」
所長 「うるさい、そんな冗談面白くもなんともないわ。それにしても、どおしてお前はそんなに短絡的な思考しか出来ないんじゃ。ワシは情けないわ。大体なんで女性ターゲットなんじゃ、日産が自分で言うとるだけじゃろ。そんなモン、コンセプトでもなんでもないわ、単なる宣伝文句じゃ。いつも言うとるじゃろ、メーカーの言うことを鵜呑みにするなって。」
助手 「・・・え、違うんですか。」
所長 「大体クルマを販売しようとするのに顧客を限定してどうするんじゃ、趣味のクルマじゃあるまいし。女性層を取り込もうとしとるのは事実じゃが、あくまでもプラスアルファを狙っとるのに過ぎんわ。」
助手 「え、そうなんですか。でも、スーパーマルチコンソールでしたっけ、バッグが入る大きさにしてるところなんか、明らかに女性を意識してるでしょ。」
所長 「もちろん意識しとるわ。お客の要望としてバッグの置き場が欲しいという声があるから、それに答えた訳じゃ。もし上手くいったら日産の他の車種にも付けてくるじゃろ。それとも何か、バニティーミラーが付いてるクルマも女性向けか、そんなこと言ったらみぃんな女性向けのクルマばかりになるじゃろ。」
助手 「そう言われれば、そうですね。じゃあ、シルフィはなんなんですか。」
所長 「そんなモン、日産の中型セダンに決まっとるじゃろ。残念じゃが国内の需要が少ないから、開発に金が掛けられんのじゃ。じゃから小手先の戦術に走っとるんじゃ。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「元々ブルーバードと言ったら日産の金看板じゃったんじゃが、先代からサニーと共用のシャーシーになって、ミドルセダンと言うよりもちょっと豪華なカローラっていう感じになってしまったんじゃ。」
助手 「はい。」
所長 「さすがにブルーバードの名前を使うのはファンに申し訳ないと思ったんじゃろうな。で、シルフィというサブネームを付けて違うクルマにしたんじゃろ。かつてのブルーバードUやマキシマ、アークスみたいなもんじゃ。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「じゃが先代のシルフィは、苦しい時代の日産のクルマとは思えんぐらい端整なデザインで、手頃な大きさと相まって、魅力的なクルマに仕上がってたんじゃ。いわゆる玄人ウケするクルマじゃな。販売面もそこそこ健闘してたんじゃないか。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「まあ地味なクルマじゃから、興味を持てんのも仕方ないわ。今度の新型で、もう少しアピールを強めて、さらなる拡販を目指しとるんじゃろ。じゃがお前の反応を見る限り、逆効果かも知れんがのぉ。」
助手 「ふーん、そうなんですか。所長は新型どう思われますか。」
所長 「先代ほどじゃないが、結構いいんじゃないか。評判のいいティアナやフーガで築いた日産のアイデンティティで上手くまとめてある、ただ大きさが長くなり過ぎたところが気にかかるな。競合するプレミオ/アリオンとほぼおんなじ大きさまで拡大したんじゃが、いかんせん幅の制約があるから不自然じゃ。」
助手 「そうですね。でもプレミオも5ナンバーでしょ。」
所長 「プレミオのデザインがいいと思っとるのか。」
助手 「・・・それもそうですね。でも顧客を考えると5ナンバーは守りたいところですよね。」
所長 「その辺りが日産としては辛い部分なんじゃろ。」
助手 「どういうことですか。」
所長 「シルフィは日産のグローバルカーとしても重要なクルマなんじゃ。アジアなんかのセダンマーケットはもとより、北米向けのセントラのベースにもなるんじゃろう。じゃから国内重視の5ナンバー枠に囚われん方がいいんじゃが、国内市場を捨てる訳にもいかんじゃろ。かといって別のクルマをつくるほど売れるわけでもないしな。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「それらの要件を考えた上で出来上がったクルマが新しいシルフィなんじゃろうな。まあ間違っても40代から50代の女性のためにつくったクルマなんかじゃないわな。」
助手 「うっ・・・。」
所長 「まあ、お前の言うこともわかるわ。ワシもブルーバードの名前は封印しといて、単にシルフィにした方がいいと思うしな。その方がクルマのキャラクターに合っとるじゃろ。」
助手 「ですよねぇ。」
所長 「やっぱりブルーバードと言えばSSSじゃろ。スポーティなクルマでないといかんわ。」
助手 「はい。」
参考資料
日産 ブルーバード・シルフィ(日産自動車株式会社)
Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所
所長 「普通、モーターショーのあとは新車が続くモンじゃが、今年はとりわけ多いのぉ。このあともまだまだ続くみたいじゃな。」
助手 「モーターショーに実車が出てたのだけでも、トヨタのbBにエスティマ、三菱の i(アイ)にマツダのMPV、ダイハツからはテリオス、あとスズキのMRワゴンもありましたね。」
所長 「新車効果に頼っとる現状を如実に表しとるな。」
助手 「そうですね。」
所長 「で、なんじゃったかの。」
助手 「シルフィですよ、ブルーバード・シルフィ。」
所長 「そうじゃった、そうじゃった。お前は今度のシルフィ、どぉ思う。」
助手 「どうって、腹が立つのを通り越して正直哀しくなりましたね。」
所長 「何でじゃ。」
助手 「何でって、こんなクルマにブルーバードの名前を名乗って欲しくないからですよ。」
所長 「どうしてじゃ。」
助手 「どうしてって、このクルマのコンセプト知らないんですか。女性をターゲットにして「美しい」・「心地よい」・「優しい」ですよ。こんな女性に媚を売ったようなクルマに伝統のあるブルーバードを名乗る資格はないでしょ。」
所長 「そうか。」
助手 「そうかって、所長は何とも思わないんですか。ははーん、何だかんだ言ったって所長は、このクルマのターゲット顧客ですからね。保守的な高齢層に向けてつくったクルマでしょうしね。さてはシルフィを買って奥さんを喜ばそうとか、考えてるんじゃないですか。」
所長 「誰が保守的な高齢者じゃ、失礼な!仮にもクルマ文化研究の従事者じゃぞ、保守的なんて言われとうないわ。」
助手 「冗談ですよ、冗談。そんなに怒らなくても。」
所長 「うるさい、そんな冗談面白くもなんともないわ。それにしても、どおしてお前はそんなに短絡的な思考しか出来ないんじゃ。ワシは情けないわ。大体なんで女性ターゲットなんじゃ、日産が自分で言うとるだけじゃろ。そんなモン、コンセプトでもなんでもないわ、単なる宣伝文句じゃ。いつも言うとるじゃろ、メーカーの言うことを鵜呑みにするなって。」
助手 「・・・え、違うんですか。」
所長 「大体クルマを販売しようとするのに顧客を限定してどうするんじゃ、趣味のクルマじゃあるまいし。女性層を取り込もうとしとるのは事実じゃが、あくまでもプラスアルファを狙っとるのに過ぎんわ。」
助手 「え、そうなんですか。でも、スーパーマルチコンソールでしたっけ、バッグが入る大きさにしてるところなんか、明らかに女性を意識してるでしょ。」
所長 「もちろん意識しとるわ。お客の要望としてバッグの置き場が欲しいという声があるから、それに答えた訳じゃ。もし上手くいったら日産の他の車種にも付けてくるじゃろ。それとも何か、バニティーミラーが付いてるクルマも女性向けか、そんなこと言ったらみぃんな女性向けのクルマばかりになるじゃろ。」
助手 「そう言われれば、そうですね。じゃあ、シルフィはなんなんですか。」
所長 「そんなモン、日産の中型セダンに決まっとるじゃろ。残念じゃが国内の需要が少ないから、開発に金が掛けられんのじゃ。じゃから小手先の戦術に走っとるんじゃ。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「元々ブルーバードと言ったら日産の金看板じゃったんじゃが、先代からサニーと共用のシャーシーになって、ミドルセダンと言うよりもちょっと豪華なカローラっていう感じになってしまったんじゃ。」
助手 「はい。」
所長 「さすがにブルーバードの名前を使うのはファンに申し訳ないと思ったんじゃろうな。で、シルフィというサブネームを付けて違うクルマにしたんじゃろ。かつてのブルーバードUやマキシマ、アークスみたいなもんじゃ。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「じゃが先代のシルフィは、苦しい時代の日産のクルマとは思えんぐらい端整なデザインで、手頃な大きさと相まって、魅力的なクルマに仕上がってたんじゃ。いわゆる玄人ウケするクルマじゃな。販売面もそこそこ健闘してたんじゃないか。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「まあ地味なクルマじゃから、興味を持てんのも仕方ないわ。今度の新型で、もう少しアピールを強めて、さらなる拡販を目指しとるんじゃろ。じゃがお前の反応を見る限り、逆効果かも知れんがのぉ。」
助手 「ふーん、そうなんですか。所長は新型どう思われますか。」
所長 「先代ほどじゃないが、結構いいんじゃないか。評判のいいティアナやフーガで築いた日産のアイデンティティで上手くまとめてある、ただ大きさが長くなり過ぎたところが気にかかるな。競合するプレミオ/アリオンとほぼおんなじ大きさまで拡大したんじゃが、いかんせん幅の制約があるから不自然じゃ。」
助手 「そうですね。でもプレミオも5ナンバーでしょ。」
所長 「プレミオのデザインがいいと思っとるのか。」
助手 「・・・それもそうですね。でも顧客を考えると5ナンバーは守りたいところですよね。」
所長 「その辺りが日産としては辛い部分なんじゃろ。」
助手 「どういうことですか。」
所長 「シルフィは日産のグローバルカーとしても重要なクルマなんじゃ。アジアなんかのセダンマーケットはもとより、北米向けのセントラのベースにもなるんじゃろう。じゃから国内重視の5ナンバー枠に囚われん方がいいんじゃが、国内市場を捨てる訳にもいかんじゃろ。かといって別のクルマをつくるほど売れるわけでもないしな。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「それらの要件を考えた上で出来上がったクルマが新しいシルフィなんじゃろうな。まあ間違っても40代から50代の女性のためにつくったクルマなんかじゃないわな。」
助手 「うっ・・・。」
所長 「まあ、お前の言うこともわかるわ。ワシもブルーバードの名前は封印しといて、単にシルフィにした方がいいと思うしな。その方がクルマのキャラクターに合っとるじゃろ。」
助手 「ですよねぇ。」
所長 「やっぱりブルーバードと言えばSSSじゃろ。スポーティなクルマでないといかんわ。」
助手 「はい。」
参考資料
日産 ブルーバード・シルフィ(日産自動車株式会社)
Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所
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