湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネの地域学習活動・就労支援活動の実践試行を書き溜めていきます。

10/17 母の旧友**さん、逝く/親と息子の喪失体験(今回は個人的な話です)

2016-10-18 05:15:21 | 地震津波災害ボランティア

2016/10/17 記
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明け方、母の古くからの友人が、すい臓ガンの病床で息を引き取った。70年来の友人で私の誕生にも来てくれた、私にとっても親しくしてくださった方でもあった。埼玉県の蕨から車で1時間弱奥に入った辺鄙なところなので、病院から葬儀社の会場をを使って今夜通夜を家族葬で行い、明日は友引なので水曜日の朝一番、斎場に直送することになった。

母はリハに出かけており、私が知らせを聞いて母に伝えた。用意していたとはいえ急な展開で、母は出棺が遠方の朝早くなので参列できないと、急ぎ我が家に戻って、大磯の母の友人のお孫さん運転の車に拾ってもらい、通夜の支度にと先に出かけていった。私は橋本の学習指導があったので、橋本から川口の病院まで後を追い、病院近くの葬儀社まで出かけた。

しかし長い付き合いである。そしてあっけない終焉。家族葬なので、母の旧友ふたりと、話も尽くした感じで、安物のパイプ椅子に腰掛け、ぼんやりしていた。家族葬なので、私達は今夜でお別れ。葬儀社が準備してくれたので用もなく、再度お別れして、母と他の高齢の友人二人を連れて、上野経由で帰ってきた。話があるからお前は邪魔と、三人は上野で下車して、私は先に家にもどうことになった。ただし、母の帰宅は携帯で見張ることになった。

母は帰宅後、口数が少なく、私が準備しておいた軽食をつまみながら、ぼそりとつぶやいた。他人なのに、お別れは分かっていたのに、悲しい…という。幼少期、私は病弱で何回も入院して死の淵をさまよった。醒めたとき、**さん、見舞いにきてくれていたと昔話をすると、突然母が、他人でもこんなに悲しいのに、津波で家族を断ち切られた人たち、お前が追っていたけれど、計り知れないねと言い出した。唐突な感じがしたが、その通りだと思う。

母は東京大空襲を少女時代に経験している。焼けた道端の遺体をなんとも思わなかった、なんでだろうねえと問いかけてくる。私が結核で入院していた重症病室のベッドが急に空くときの理不尽な虚しさを、それが何を意味していたかもわからず、それでも覆いかぶさる見えないもののために泣いた。お菓子を交換した相手と、もう二度と会えないのだと感じて泣いたことを話した。関係の深さなんかなあと母に問いかけ、母は黙って壁をみつめて答えなかった。

年寄りだらけだった我が家は、5人介護し見送った。私を含めて、あとふたりだなあと思う。母の言うとおり、慣れがある。しかし、その都度、むきだしの生傷が露呈したようなひりひりとした時間が流れる。

帰り道にビッグイシューを買い取り、1軒配達して帰宅した。笑顔で定期の本誌を受け取る++さんに、営業スマイルを返したが、そのしっぺ返しが玄関をでるときに、こみあげてきた。

傾聴では、一緒に泣いてはならない。無理して我慢するのでもない、流れを泳ぐ引き受けを課す。学習カウンセリングなので、踏み込まないが、グリーフ・カウンセリングは支えきれないだろうなと思う。

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フランクルの「夜と霧」を押入れ改造の書架から取り出して、積もった塵を払った。私が中3のとき、私は日韓で野次馬として穴守橋のそばにいた。そのときにバッグに入れていたのはの「方丈記」(武蔵野書院刊)と本書だった。人の生と死を呆然と感じ取っていた。

身近に寄り添っていた私にとっての「死」は「生」を逆照写する。このことは同世代の誰とも言葉の通じない、発することの出来ない言葉として、胸のうちに封じてきた。生の一回性という宗教との境界にある気付き。鴬張りの廊下を歩くような軋みを噛み締めて何十年経ったのだろう。

親しい他者の喪失の方が悲しいのはなぜか、被災によって断ち切られた命の激烈な悲しみを、東京大空襲の無感覚と比較する母と、すれ違いながら、異なる自省をともに踏む、そんな時間が流れていった。

**さん、お別れです。

 

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夜間傾聴:臨時休業

(校正1回目済み)

 

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