春の陽気に誘われて、外出したくなりました。
どこに行こうかなと考えて、そういえば東京スカイツリーの展望階に上ったことがないことを思い出し、車を一路、押上のコインパ-キングに向けて走らせました。
開業間もない頃、東京スカイツリーに出かけ、展望階に上るのに4時間待ちと言われて断念したのは何年前でしたか。
今日は30分待ちということでしたので、上ることにしました。
晴れているとはいっても、快晴ではなく、雲が多かったので、景色はもう一つでしたが、それでも450メートルの高さから眺める東京の町は圧巻でした。
関東平野、と言いますが、本当に平たい町です。
すぐ近くのアサヒビール本社ビルが、はるか下に見えました。
東京ドームから、はるか新宿のビル群も見えます。
一部ですが、ガラスの床になっている場所があって、上に乗ってみると縮み上がるほど怖ろしかったですねぇ。
少し人ごみに疲れて東京スカイツリーを離れすぐ近くの親水公園を散策。
河津桜が一本、孤高の面持ちで咲いていました。
見事です。
もう春なんですねぇ。
北国の人のような気持ちで春を待ちわびているわけではないですが、しつこい寒さには辟易です。
これからもしばらくは三寒四温の日々が続くでしょう。
早く安定して暖かくなってほしいものです。
昨夜、貫井徳郎の「愚行録」を一気に読みました。
愚行録 (創元推理文庫) | |
貫井 徳郎 | |
東京創元社 |
読んでから知ったのですが、映画化されて、今、上映されているんだそうですね。
でも映像化が難しそうな小説でした。
都内で夫婦と幼い子供二人の一家4人が惨殺されるという事件が起きます。
捜査は行き詰っています。
あるライターが、殺された夫婦の知り合いを次々に訪ね、インタビューをするという形式で物語は進みます。
同僚、大学時代の友人などなど。
で、ハンサムでエリートサラリーマンの夫と、美人で賢い妻という、絵に描いたような理想の二人の人物像が、少しづつ、壊れていきます。
そしてなぜかところどころにはさまれる、妹が兄に語りかける場面。
暴力を振るう両親に育てられ、ゆがんでしまった妹の独白が不気味ですが、物語の結末にいたるまで、この独白と数々のインタビューがどう絡むのか明らかにされません。
愚行というのは、当初、殺された夫婦の若かりし頃のちょっとした意地悪や悪を指すのかと思わせますが、そんなはずもありません。
どんな境遇に育っても、人は誰でも愚行をおかさずにいられないのだと、物語の終盤に気付かされます。
いや、愚行の連続こそ、人生そのものなのかもしれません。
この小説をミステリーとして読むと、物足りないかもしれません。
ミステリーらしい拵えになっていませんから。
しかし人間の愚、人間の弱さを描いた文学作品として読めば、なかなかに趣き深いといえそうです。
時間があったら映画も見てみようかなと、思いました。