TOBA-BLOG 別館

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オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

「琴葉と紅葉」18

2017年04月21日 | T.B.2019年

 琴葉は、男の後ろを歩く。

 ときに男は振り返り、琴葉を確認する。

 大通りを抜け、人気がなくなる。
 旧い建物の並ぶ場所。

「この先に」

 男は、路地を指差す。

 琴葉は男を見る。

「行こう」

 男は琴葉の肩を押す。

 琴葉は云われるまま、路地を進む。
 やがて
 開けた場所に出る。

 静かな、場所。

「おいおい、誰を連れてきた!」

 そこに、ふたりの男がいる。
 男と同じ、北一族の格好。

「見ろよ。西の女だ」
「へえ!」
「役立つのか?」
「役立つだろう」

「ねえ、」

 琴葉は男を見る。

「この人たちは、」

 男は笑う。

「大丈夫。悪い人たちじゃないから!」

「…………」

「俺たち、仲間だからな」
「おい。西の話を聞かせろよ」
「村長の情報をだな」

「私、父さんを……」

「そんなことはどうでもいいんだよ」

 男の声が冷たくなる。

「俺たちは西の情報が欲しいんだ」
「え?」
「どれだけ西の情報が出てくるかで」
「君の今後が決まるからねー」

 琴葉は後ずさる。

 騙された。
 騙された、のだ。

「結構些細なことが、他一族には大きな情報になるんだぜ」
「ほら、話せよ」

 琴葉は首を振る。

 村長?

 もともと、琴葉は他人のことに興味はない。
 話せと云われても、何も知らない。

「何も……」
「ん?」
「何も、……知らない」

 男たちは顔を見合わせる。

「村のことは何も、知らなくて……」

「おいおい!」
「嘘をつくんじゃないぞ」

「本当に、……私、知らない」

「は?」

「周りと付き合いない、から……」

 男たちは笑う。

「本当かよ!」
「とんだ役立たずだな」
「西の中でのお前の立ち位置が、だいたい判るわ!」

 男たちは笑い続ける。

 琴葉は、目を細める。

「なら、時間の無駄だ!」
「早いとこ、片付けるか」

「…………?」

「ああ、大丈夫。命を取るわけじゃないから」

「え?」

「北の遊郭に売るか?」
「いや、砂に売る方がいいだろう」
「西の実験台をほしがっていたぞ」
「じゃあ、砂だな」

「……砂?」

 男たちは、琴葉を掴む。



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