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「タロウとマジダとジロウ」4

2017年03月07日 | T.B.2001年

「微笑ましいなぁ」
「何がよ?」

マジダが首を捻るが
なんでもないよ、と
タロウはほっこりする。

マジダが遊びに来る時は
必ずジロウも来るようになった。

でも、相変わらず
タロウには慣れてくれない。

少し離れた所から
マジダとのやりとりを見ていたり
タロウに牽制を飛ばしてきたり。

「ねぇマジダ。
 ジロウとは仲良いの?」

「うーん、よく遊ぶけど
 最近やけに突っかかって来るの。
 意地悪言ったりとか」

「うふふふ」(タロウの笑い声)
「なぜ笑う」

そう、マジダの事が気になるくせに。
上手く出来ない不器用な所。

一回りも歳上のタロウにしてみれば
微笑ましい事この上なし、なのである。

「マジダが
 もう少し大きくなったら分かるかな」

今だって、二人の会話に聞き耳を立てている。

頑張れ、応援しているぜ、と
タロウは親指をぐっと立てるが
これ、逆効果。

「……分かったわ!!」

暫く考え込んでいたマジダが
突然大きな声を出す。

「ジロウもタロウと
 遊びたかったのね!!」

そう来た、か。

「確かに、今まで
 私一人がタロウを占領していたかも」
「ちちちちちちげーよ!!」

ジロウ反論するも、
素直になりきれず上手く伝わらない。

「それで怒って
 意地悪してきた、と」

おまけにそれはそれで
辻褄が合ってしまう事態。

「それなら私、
 今日は帰るわね!!」

思い立ったら行動が早いのがマジダ。
それじゃ、と
タロウ達が止める間もなく帰って行く。

「………」
「………」

作業小屋には二人が残される。
タロウは言う。

「ジロウ、その」

ジロウは半べそかきそうな顔で
タロウを睨み付ける。

「ジロウって呼んで良いのは
 マジダだけだ」

あだ名だけど特別な名前。
タロウもその気持ちはよく分かる。

「明日にまた
 一緒に遊ぼうって声かけてごらん」
「……ん」
「構って欲しくても
 意地悪を言っちゃダメだよ」
「……うん」

消え入りそうな声でジロウが頷く。

「気を取り直して、
 明日は二人でおいで」

な、と
同じ男としてアドバイスをするタロウに
ジロウが強く頷く。

「じゃあ、もう一つ。
 君のことは
 なんて呼んだら良いのかな」

俺からジロウと言われるのは
嫌なんだろう?
さて、どうしようか、と
問いかけるタロウにジロウは向き直る。

まるで
砂浜で殴り合い、
友情が生まれたライバル。

きりっと、胸をはって
ジロウが宣言する

「カイセイ」

「………おぉ?」

「気持ち良く晴れた空って意味の
 【快晴】だ!!」

「カイセイ……」
「そう」

「カイ、セイ」

タロウの顔色がみるみる青くなっていく。

「おい、タロウ??」

その様子に、驚いたのか
ジロウことカイセイが
とっさにタロウの事を呼ぶ。

タロウは小さな声で
ぶつぶつと呟いている。

「前半?前半は可?
 いやいやいや」

「おい」

「いっそ、部分的に抜き取って
 イイって呼んで良いかな!!」
「嫌だよ!!」

大河ドラマか。

「ごめん、無理!!」
「無理って何だ!!?」
「ジロ……カイっ……セイっには
 申し訳ないんだけど」
「はぁ?」

ここ一番のきりっとした顔で
タロウが宣言する。

「やっぱり君のことジロウって呼ぶね!!」

「はぁああああ!!?」

ジロウとタロウの友情は生まれそうで
生まれなかったのでした。


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