TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は新作準備中

水辺童話:「末姫と大蛇」1

2017年06月16日 | 物語

「水辺童話」真都葉の本棚(絵本)シリーズ





 昔々

 ここに、ひとつの国がありました。

 この国には王様がいて
 王様には、たくさんの子どもたちがいました。

 その末の子だけが、姫だったのです。

 もちろん、末姫は可愛がられて育ちました。

 兄たちは、ひとつずつ得意なことがありましたが
 末姫は、特に得意なことはありません。

 けれども、何も問題はないのです。

 この国は、仕合わせでしたから。

 末姫は、ひとりの兄と出かけました。
 途中、とてもお腹がすきました。

「ねえ、お兄様。お腹がすいたわ」
「何だ末姫。お腹がすいたのかい」
「そう」
 末姫が云います。
「何か、果物が食べたいわ」

 兄は、目をこらします。

 この兄はとても目がよかったので、
 すぐに、果物の樹を見つけました。

「あそこに、果物がなっているぞ」
「やったぁ」

 末姫と兄は、果物をたんまり食べました。
「おいしいわね、お兄様」
 とてもお腹がいっぱいになって
 末姫は今日もひとつ、仕合わせだったと思いました。

 末姫は、別の兄のところへ行きました。

 その兄は、何かを作っています。

「お兄様。何を作っているの?」
「やあ末姫」

 兄は、作っていたものを見せます。

 それはきらきらと輝いています。

「わあ、素敵」
「鉱石だよ」
 兄が云いました。
「こうやって削って、好きな形にしていくんだ」
「素敵ね、お兄様!」
「うんうん。末姫には判るんだね!」

 出来上がったものを、末姫はもらいました。

「ありがとうお兄様! 大切にするわ」

 末姫は、自分の飾りにしました。
 そして、今日もひとつ、仕合わせだったと思いました。

 末姫は、また別の兄のところへ向かいます。

「お兄様、今日は星が見えないわね」
「そうだね」

 夜空には雲がかかっています。

「とっても残念だわ」
「末姫は、星空を見たかった?」
「もちろんよ、お兄様」
「なら」

 魔法が得意な兄は、杖を取り出しました。

 そうして一振りすると。

「わあ!」

 みるみる雲がなくなり
 そこには、満天の星空が輝きます。

「すごいわ、お兄様!」
「うん。今夜はきれいだ」

 末姫と兄は、遅くまで星空を見続けました。
 今日も、末姫は仕合わせだったのです。



NEXT
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 水辺童話:みずうみのばけも... | トップ | 水辺童話:みずうみのばけも... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む