碧空の下で

人生の第四コーナーをまわって

走り雨にぬれながら8

2017-06-29 | 日記風雑感
宿坊の部屋の中ですることがない。このような時間を持つのはあまりない。時間が空けば何かしらするようになってしまっている。テレビを見るとか、本を読むとか、インターネットを探ってみるとか、何かしらの行動をするような習慣になってしまっている。何もしないでじっとしているのは落ち着かないものです。僧侶の修行はここから始まる。何もしないでじっといることの意味を会得することが現代人の修行の始まりだと思う。それが瞑想や座禅の形で修行になっていく。人の脳は勝手に働くので、それをコントロールできるような訓練をするのが最初の修行にして最大の修行だとおもうのです。心理学的に言えば無意識をコントロールすることかもしれません。そういう時間の使い方はいままでほとんどやってこなかった。そこでこの機会に、何もしない時間を体験しようと、部屋のベッドの上に座って眼を半眼に座禅をまねて、何も考えないように脳を働かないようにとやってみる。瞑想というのは沈思黙考で、やはり脳が働くが座禅はその働きすら止めてしまうような境地を目指していると言われている。これは体験して初めてわかるものだ。言葉で説明できるようなものではないらしい。野球の選手がバットでボールをとらえるのは、言葉でいくら説明しても、できるものではない。それと同じことで、意識ではなく肉体が反応するまでやらないとできないから修行というわけで、なかなかむつかしい。つべこべ考える前に何度もやってみるのが正解だと思う。てなわけで、目を半眼のまま座ってみました。しかし、何も考えないことはむつかしい。頭の中は、これから起ころうとすることにだんだん意識が行ってしまうのです。なんでこんなことになったのか、どうしてこの寺で座っているのか、なんで種馬になってしまったのだ。そんな想念がめぐる一方、何を考えても無意味だ、無意識に支配されるのは人間の性だ。他力本願、仏の導くまま、エゴを捨て、無意識に従えばいいのだ。という声が聞こえるのです。ベッドに座っているとだんだん腰が痛くなってきた。横になってやってみた。そのうち何も考えない瞬間が来た。眼をつぶって寝てしまった。・・突然そこに小坊主がやってきて、はっと眼が覚めた。住職が庫裡の方で待っているので、呼びに来たのだった。無我の境地から、我に返り部屋を出ると、あたりはもう雨はほとんどやみ日差しが雲間から差し込んで明るく感じられた。住職の部屋へ行くと、相変わらずにこにことした表情で、話はじめた。
「これから、一緒に竹林堂へ行きましょう。行けばわかりますが、そこは竹藪のなかの一軒家で、瞑想や修行に使うために建てられたお堂です。しかしこの頃はあまり使っていません。今はほとんどお客様用の集会の場というか村人がたまに利用しております。そこで種付けをします。ご気分はいかがかな」
「種付けというのは、こんな明るい時間にするのですか、てっきり夜になってからだと思っていましたが」
「もちろんそれは、あなたのお望みの時間で構わないのです。ただ長い時間お待たせするのは失礼かと思いまして・・それでは陽が沈みましたらお相手の方を呼んできますので、それまでお堂の中でしばらくお待ち下さい。」
住職と二人で庫裡からでると、雨上がりの空に白い雲がながれ、水滴にぬれた竹林の風が涼しく、吹き抜けた。藪のような竹林を進むと斜面を平たく削ったような地形の場所に竹林堂があった。木造の平屋の家で屋根の形が堂と言えるような傾斜のある建物だった。中に入ると、板ぶきの床が20畳ほどの広さの部屋が一つと、その奥に8畳ほどの部屋があり板で仕切られてはいるが、大きな一つの部屋と思われた。ガラスの窓には網戸がかかり、風通しがいい。しかし網戸をよく見ると、ところどころ破れて穴が開いていた。あまり使われない部屋だというのが理解できた。住職は部屋に上がると8畳の部屋に案内し、そこにおいてあった蚊帳を部屋に広げ始めた。タイの家で蚊帳を見るのは初めてだったが、日本の蚊帳と同じで四方の角を部屋の天井から下がっている蚊帳吊りの金具にかけて使うものであった。住職は手慣れたやり方で、あっという間に蚊帳を張った。
「これでOKです。この中でお待ちください。」にこにこしながらそういうと、持ってきた頭陀袋の中から何かを取り出して手渡してくれたのはペットボトルに入った水とバナナの葉で巻いた餅米の混ぜご飯のおにぎりだった。
「これは、今朝托鉢でもらったものですが、どうぞおあがりください。我々は午後からは食事をしないことになっているのであなたに食事を出すことが出来ません。どうぞこれを食べてください。」
「ありがとうございます。後でいただきます。」
「おなかがすいては、種付けはできませんからね。はっはっはっ・・」
相変わらずのニコニコ顔で、陽が落ちたら戻ってくるので待っていてくれと言い残して出ていった。
部屋に掛けられた蚊帳の中に入ってみると、蚊帳の匂いが遠い日の夏の夜を思い出させてくれた。あれは、家族で行った海辺の旅館だったか、中学生のクラブ活動の合宿でお寺に泊まった時であったか、最後に蚊帳の中で寝たのはいつだったかもう記憶にないくらい昔の話だが、夏の暑い夜の蚊帳の匂いは忘れずに今でも記憶していた。
山辺の陽はあっという間に沈み、逢魔が時がやってきた。お堂の中はすでに薄暗く、蚊帳のなかはなおさら薄暗い。懐中電灯をもって住職がやってきた。
「こんばんはご飯は食べましたか、今夜は月が出るかもしれませんね。お月様にはすべてお見通しだ。はっはっ」相変わらずの口調でしゃべりながら、また頭陀袋から蝋燭を取り出して、柱についている燭台に刺して火をつけた、炎が大きくなってあたりが少し明るくなる。
「このお堂には電気がないのでな・・これで準備は整いました。後はご婦人の登場を待つだけです。その前にあなたは、目隠をしてくださいね。」
例によって頭陀袋の中から、黒い頭巾のような袋を出してかぶるように言うのだった。頭がすっぽり入る袋をかぶるとなにも見えない暗闇になった。首の後ろで巾着の紐を縛ると、
「少しの我慢ですから、とらないでください。お願いします。では私は行きますから、後はご婦人に任せてゆっくりお楽しみください。」少し声が上ずっているように聞こえた。
いよいよ、その時が来た。蚊帳の中で座って待っていると、木の床を歩くような音がして、蚊帳のなかへ入ってくる衣擦れの音がする。
「サワディカー」タイ語の挨拶を小さな声で一言いったように思えた。「サワディカー」と返事をするが、声がこもって伝わったのかどうか分らない。袋をかぶっているので声で若いのか年増なのか判断すことはできない。それよりも、そのような冷静さはもう無くなっていた。相手はいきなりズボンに手をかけ、これを脱げとばかりベルトを外した。チャックを降ろすと、両足の裾を持って引っ張るので、腰を浮かすと一気にズボンが脱げた。そのあと、同じようにパンツを脱がすと、しばらく手が離れた。なにか準備をしているようなかんじで沈黙の時間がながれた。やがて麝香のような甘い香りが漂ってきて股間に手が触れた。手には、油のような、クリームのようなものが塗ってあるらしく、滑らかな動きで肌を摩擦しはじめた。そして頃合いを見計らって、手を取り自分の体にふれさせた。どうも相手のおしりに触っていることがわかってくる。硬く筋肉が張っている。相手は後ろ向きにおしりを突き出している恰好なのだ。割れ目にさわる。指がだんだん割れ目に沿って下にのびていく。時々小さな声でなにか言葉を発しているが、よく聞き取れない。そのうち呼吸が大きくなって興奮している様子がわかる。指が下にのびて何かに触れた。そっとまさぐると、なんとそこには、二つの小坊主が並んでついていた。
その時、ガタンと揺れて眠りから目が覚めた。バスはチェマイ・ランパーンハイウエイから1号線へつながるコーナーを回っていた。もうすぐバスターミナルであった。これから1週間修行がはじまるのだ。






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