tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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喫緊の課題は格差社会化の阻止

2016年10月12日 10時18分58秒 | 経済
喫緊の課題は格差社会化の阻止
 第一次大戦後の世界恐慌の原因は、典型的には、国家間では植民地収奪による列強と弱小国という格差拡大、国内では初期の資本主義の中での強欲な資本家の富の蓄積、加えて初期のマネー資本主義(投機の流行)による格差社会化が総需要の減少をもたらしたことだったようです。

 今日、我々が経験している先進国中心の不況も基本的には似ていて、植民地はなくなりましたが、精緻に理論化された金融工学を駆使した国際的なマネーゲームによる富の偏在が進んでいます。資本家はいなくなりましたが、いわゆるファンドなどが強欲な資本家に代わって、格差社会化に貢献するといった状況が総需要の減少をもたらすという図式ではないでしょうか。

 ピケティの慧眼、その研究と指摘は鋭いと思います。経済社会が巧く機能しなくなるのは、格差社会化(富の偏在)が最も基本的な要因ということなのでしょう。

 常識的に考えても解るようの気がしますが、富が偏在すると、例えば、上位10%の家計に90%の富が集中するといった状態では、より大きな富を蓄積した人は、蓄積した富を使い切れません。巨額の富を稼いだ人の遺産は巨大だというのが一般的です。消費性向が低かった結果が巨大な遺産でしょう。

 一方、低所得の家計では、消費性向100パーセントでも、国民所得統計の消費支出への貢献は、残念ながらそう大きくはないでしょう。
 日本のように、勤倹貯蓄型の国では、低所得の家計ですら、貯蓄に励み、消費性向は一層低くなるでしょう。

 資本主義の中では富の偏在で格差社会化が必然的というピケティ流の前提を置けば、資本主義は常に需要不足によって行き詰まる宿命をはらんでいるという事になります。
 そしてそれは第1次大戦後も、また、第2次大戦後も、現実に起きてしまったという事になります。

 このブログでは、こうした資本主義の宿命を救ってきたのが、経営者革命と福祉社会思想だと書いてきました。
 福祉社会化による経済社会の安定的発展は典型的には北欧に見られた通りです。また経営者革命による富の偏在阻止は1980年代前半までの日本で典型的に見られた通りです。
 北欧諸国と日本は、かつては世界で最も所得格差の小さい国でした。

 そして現在、北欧諸国は社会保障負担の重さに耐え、出生率向上に成功する国もあり、何とかその伝統を維持しているようです。
 翻って日本は、為替操作に完敗した一国経済の典型として後世経済史に記録されるような「失われた20余年」を経験し、経済成長のない中での高齢化の急速な進捗もあり、いまや、社会保障制度の行き詰まり、所得格差の拡大、格差社会化に悩んでします。

 そして世界もまた、マネー資本主義の波に翻弄され、覇権国のアメリカに主導されて格差社会への道を突き進んでいます。
 格差社会化に必然的に随伴すると考えられる社会の劣化は、多少論理の飛躍があるかもしれませんが、世界最先進国のメンタリティーとしては考えられないような現在のアメリカ大統領選挙の様相にも反映しているのではないでしょうか。

 アメリカはどこへ行く、そして世界はどこへ行くのでしょうか。
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