tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

高度プロフェッショナル制度、連合の思いは?

2017年07月14日 12時17分45秒 | 労働
高度プロフェッショナル制度、連合の思いは?
 朝日新聞がスクープしたこの問題が、今日は広くマスコミで取り上げられています。連合が、高度プロフェッショナル制度は認めるが、休日日数、インターバル制度、健康診断などの適切な保護条項を提言したものです。
 率直な感想が、「連合は良く思い切って踏み込んだな。その思いは何だろう。」という所でしょうか。

 この問題については かつても論じましたが、対象はごく少数の人たちで、法律で決めるほどの問題ではない、労使で話し合えば十分との考えでした。

 年収1075万円以上、非管理職、高度の専門性を有するという人たちがどのくらいいるのでしょうか。仕事のプロは、成果主義賃金がいいからという事のようですが、日本の正規従業員には成果主義は似合わない制度です。これは保険のセールス職の例を見れば明らかでしょう。これは、かつての日経連の雇用ポートフォリオによれば、高度専門能力活用型で、期間契約・年俸制の世界の話でしょう。

 政府は欧米型の職務給+成果主義がいいと信じているようですが、これは「角を矯めて牛を殺す」の類です。 日本はやはり職務中心ではなく「人間が企業の中心」なのです
 一方企業(現実には大企業の話でしょう)では、今の非正規多用のように、正社員採用の一般専門職レベルまで、この制度を広げたいのでしょうか。そうでなければ、対象の範囲は限られ、個別の対応策はいくらでもあるはずです。

 一方連合の思い何なのでしょうか。安倍政権が支持率低下に焦りを感じ、絶対多数のうちに何でも強行採決でといった恐れを感じての事でしょうか。そのためにまずは最低限の歯止めが必要と感じたのでしょうか。
さらに推測を進めれば、忘れられかけている伝統的な日本的労使関係の再建を目指し、政府、経団連を、嘗ての「政労使の緊密な話し合いの場」に引き出そうという狙いでしょうか。

 突如とした連合の行動に、政府、経営サイド共に驚くと同時に強い関心を示しているようです。
 一方、連合内部にも、驚きと困惑、反対の声があるようです。これは多少心配ですし、また本来理解し合うべき民進党ともギクシャクのようです。

 安倍首相は、経団連も入れ、政労使三者で話し合うつもりのようです。その場で連合の思いも何か見えてくるのかもしれません。そこでは、政労使三者が、是非腹を割った真剣な論議をしてほしいと思います。

 政府は労使の自主性を尊重し、経営は従業員を大切にすることが産業・企業の発展の根幹という日本的経営の原点を自覚し、連合は現場の労使関係・労務管理の現状を産業・企業の最重要なステークホルダーとして、徹底して発言するといった、三者構成の意義を体現するような論議が期待されます。
 連合の「思い」は、そして果たそうとする役割への意識は奈辺にあるのでしょうか。

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