tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

自力での経済成長を考える時

2017年01月12日 16時20分54秒 | 経済
自力での経済成長を考える時
 アメリカの次期大統領トランプ氏が、中国、メキシコと並んで日本もアメリカと「良い取引をしていない国」として名指しされと事に正に「びっくり」という方も多いでしょう。
 トランプさんが何と言うかに関わりなく、日本は確りと礼儀正しい対応をしてほしいと思います。

 それはそれとして、トランプさんが本当に大統領になった時、此の侭なのか、何か変わるのか解りませんが、変わらないことを前提に、日本としても経済体制を整える必要がありそうです。
  現状、アベノミクス下の日本経済は、何か円レート次第という傾向を強め、その結果、トランプさんの発言に一喜一憂といった、情けない状況になってしまっているように感じられます。

 今の日本経済にとって本当に困ったことは、前回、今春闘の問題に関連して書きましたように、 消費不振でしょう。
 国内消費が不振の時、企業は外需に頼らなければならなくなり、外需に頼ると、ますます経常収支の黒字が膨らみ、トランプさんに「貿易不均衡」と言われるかもしれません。そしてそれは 円高に直結するかもしれません。

 日本経済にとっては困ったことです。前回も触れていますように、この消費不振は、賃金は多少なりとも上がっていますが、 消費性向が下がっているからというのが現実です。今、日本の家計は、消費より貯蓄優先の行動をとっています。

 貯蓄優先の行動の原因は、言わずと知れた「将来不安」です。将来不安の主要な原因は老後不安、雇用不安(不安定)といった日本経済・社会の将来への不信感です。
 これへの対策は、日本経済が成長させることしかありません。成長だけが雇用の安定や質の確保、社会保障の将来の原資を生み出します。

 そして成長させるためにまず必要なのは前述のように「消費性向」の回復です。
 ここからが本当の問題ですが、どうすれば消費性向は上がるのでしょうか。「言葉だけなら」将来不安の払拭と言えばいいのでしょうが、現実の政策が必要なのです。

 ここで改めて着目しなければならないのが、「格差社会化と消費不振」の関係です。 ピケティも指摘していますように、格差の拡大、富の偏在は歴史的に「需要不足経済」「経済停滞」「恐慌」を引き起こしてきました。
 一億総中流と言われた時期、日本は「ジャパンアズナンバーワン」と評価され、世界で最も所得格差の少ない国の1つでした。

 残念ながら今の日本では、政府の賃上げ奨励から、 働き方改革 所得税制、社会保障、教育システムなど、実際には格差縮小に不適切なものが多いのです。
 この点については、このブログでも再三触れてきていますが、政府が本気で格差縮小の意思を国民に理解させる以外、消費性向を引き上げる方法はないようです。

 これからの日本経済の課題は、社会全体の格差縮小、国民の安心感の回復そして経済成長の促進と 経常黒字の減少、「何かあれば円高」の是正で、日本経済の正常化、アメリカとの(その他の国とも)安定した関係を築くことでしょう。

 これらの点から言えば、春闘においては、連合の指摘により合理的な面が多いようです。

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