tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

地域の銀行は地域経済発展の旗手に

2017年03月09日 12時42分31秒 | 経済
地域の銀行は地域経済発展の旗手に
 「地方銀行などの地域金融機関が中小企業の新たな事業への融資を増やさないといった指摘を受け、金融庁が異例の実態調査を始めた」 これは、一昨日、3月7日の朝日の朝刊の記事です。

 昨年の7月、このブログは「金融システムが有効に存在するのは、実体経済が発展し、資金需要が起きることが必須の条件です。ならば、金融システムは実体経済の発展を単に資金面で援助するだけでなく、実体経済、産業・企業を積極的に育てる必要があるのではないでしょうか」と書きました。

 金融業がマネー資本主義に汚染され、金融危機が繰り返された結果、銀行経営も不安定なものと認識されたのでしょうか、ペイオフ制度から確定拠出年金制度まで、「リスクは預金者・拠出者にパスします」といった認識が一般的になったようです。

 加えてゼロ金利政策の長期化です。銀行預金の意味はなくなったかと思いきや、家計の貯蓄性向は上昇しています。利息の付かない銀行預金に自分で利息をつけるような気分で、預金を積み増しているのでしょうか。

 一方銀行の方はどうかと言うと、新聞報道の様に、貸出のリスクに極めて臆病になっているようです。地価は下がっていますし、最新の技術やノーハウを生かしたビジネスには担保に入れるような土地はないのが普通です。

 特にここでも問題になっている中小企業、ベンチャー型企業への融資は問題が多いようです。
 銀行業務検定協会の試験科目の中に「経営支援アドバイザー」というのがあります。そこで重視しているのは、担保ではなく、事業そのものの収益性です。銀行員にはその目利きの能力が必要なのです。

 中小企業金融機関が「担保、担保」というのはバブル時代までの土地神話の時代の名残りでしょうか、事業そのもの価値・将来性、経営者の資質などを的確に読み取る能力が劣化してしまったのでしょうか。それでは銀行業務は衰退でしょう。

 日本に存在する企業の90パーセント以上が中小企業です。そして、経営者の年齢構成や、産業自体の新陳代謝から見ても、これからの地域経済発展を支えるのは、斬新な分野、今までなかったタイプの企業の役割が大きいのです。

 さらには、銀行は、単に資金需要に応えるだけではなく、地域経済の発展を構想し、資金需要を創造し、その実現のために預金者の提供する地域資本を最も有効に使い、そのリターンを享受し、地域と共に発展するだけの力を持つことがその使命ではないでしょうか。

 日本経済の底辺、基盤を支える地域経済の発展こそが、日本経済不振の原因である消費低迷や格差社会化を現場から立て直し、日本経済成長の基盤を創る仕事となっていくのではないかと思うところです。