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都内皇居のカモ類の近況 環境省による濠の手入れの成果もあります

2010-03-19 22:44:34 | 都内で生活する水鳥や蝶などの虫たちの現況
 皇居外濠とは、皇居をぐるっと取り巻く濠の総称で30近くあります。
50年ほど前から、ちらちらと、とびとびに車で飛び回ってカウント調査を行って
きています。
 

 今年も2月中旬から、一通り種別にカウントしてきました。

50年前は、カルガモ、マガモ、コガモ、そして多数のオシドリ(多い時は200以上)
30年前は、オナガガモが激増し、キンクロハジロが入りだして、オシドリが30を切り
  マガモ、コガモが消えました。 餌付け全盛の時代です
5~8年前ころ前から、オナガガモが急速に姿を減らし、ハシビロガモが急に
数を増えだしました。
ヨシガモ、ヒドリガモ、オカヨシガモ、コガモの5~6羽が姿を見せ、ミコアイサが
5羽を数えだしました。いずれも都内で観察できた種類では決してありませんでした。
何事が起きたのかとびっくりした記憶があります。

そして、現在では、皇居周辺の濠での鴨への餌付け行為は、自分で気が付いている
限り無くなりました。
まさに野生種で、餌もほとんど皇居の、それぞれの濠の中でしか餌が探せない状態と
認識しています

 今回のカウントでは、オナガガモがとうとう観察されませんでした。
少なくとも2月末現在で、
  ヨシガモが24羽、 半蔵門のある三宅濠の真ん中 2004年の5羽から約5倍に
  オカヨシガモが33羽 大手町の桔梗濠      2002年の6羽から約5倍
  ミコアイサが9羽の群れ 日比谷濠に       2002年の2羽から約5倍に 
  ハシビロガモが30羽程で、千鳥が淵の真ん中でぐるぐる集団採餌をしています
そして、コガモが三宅濠の半蔵門のある箇所に19羽に増えています。
皆さま驚くかもしれませんが、
何といってもコガモの増加がエポックです。一度消え失せて、6年前に6羽を三宅濠で
再発見して、現在までに3倍に。
それぞれの種類別に、小さな一群となって、別々の濠に定住してくれています。

 完全な野生ですので、いずれも、5年も8年もかかって、少しづつ少しづつ、数が
増えだしている感じで喜ばしい限りです。
 ようやっと、このままでいけばこれから10年後には、倍か3倍にまで増える可能性
があるなと感じています。
 激増はあり得ませんし、それぞれの濠は、種別にきれいに分かれて住むということは
種間競争も連想されますが、数値的に一次関数の底の方から立ち上がってきている感じ
です。
 ヒドリガモもオシドリも少しですが生存しています。

 ところで、8年前ころ前から、皇居野外濠で何があったのでしょうか。
環境省に予算がついて、外濠を順次浄化を始めました。特に大きかったのは外来種の
排除でハクレン、そしてブラックバス、ウシガエルやブルーギル等の排除と思います。
 特に千代田区九段下の牛が淵が典型ですが、ハクレンを絶ったことで一気に水草が
繁茂しました。今もその流れは継続していますが、再度汚濁等課題もあるようです。

 しみじみと、いきものは開発等で、一度種を断ち切ってしまうと、1~2羽の偶発的
な渡来では再生の計算はできません。
 最小の群れ、出来れば秋の渡りの時期に、家族群単位で新天地に舞い降りたそれ
ぞれが、十分な餌と安心安全を感じ取って、栄養満点で北帰出来て子どもが出来て、
それを5年程度繰り返して、初めて安定し、それから10年をかけて増えだすという
パターンだなと感じます。
 水鳥であれば、自分で選んだ越冬地が気に入って、家族をだんだん増やしていく、
そのような健全な姿が浮かんできます。それにしても、この生きものの再生はとても
とても時間のかかることだとしみじみ思います。

 明治以降、関東平野、利根川下流域はどれだけ多数の無数の命をつぶしてきたのかと
150年かかって現在の索漠たる印旛沼、手賀沼を望見するに、生き物を回復させ、
昔のにぎわいを取り戻すにはすくなくとも100年はかかるなと感じます。
 私どもは、その為の捨て石にならなければならないのだと、気を引き締めています。

ラムサール・ネットワーク日本事務局
里山シンポジウム実行委員会事務局長
日本白鳥の会理事/日本雁を保護する会/日本鳥学会
株式会社 トータルメディア研究所
荒尾稔 minoruarao@tml.co.jp



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