花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

二つの残念

2009-05-01 22:41:54 | Weblog
 昨年12月に加藤周一さんが亡くなられた時、新聞等では加藤さんのことを「知の巨人」と呼んで追悼記事を掲載していました。それまで、加藤さんの名前は知っていましたが、著書を読んだことはありませんでした。今さら恥ずかしい話ですが、多くの知識人が加藤さんの死を悼むのを見て、私も加藤さんの本を何か読んでみようと思いました。今年に入って、「羊の歌」、「続 羊の歌」(ともに岩波新書)に始まり、「日本文化における時間と空間」(岩波書店)、「私にとっての20世紀」(岩波現代文庫)、「日本文学史序説(上)・(下)」(ちくま学芸文庫)と読んでみました。そして思ったのは、「何故、自分はもっと早くに加藤さんの本を読まなかったのだろうか」ということでした。もし若い頃、例えば大学生の頃から加藤さんの本を読んでいれば、今の自分はきっと違っていただろうと後悔しました。加藤さんの分析の切れ味は鋭く、論理的です。「蒙を啓く」という言葉がありますが、加藤さんの文章に接した印象はまさしくそれです。加藤さんの著書に触れ、遅まきながら私も知の巨人を失ったことを残念に思いました。加藤さんを偲ぶ会で、「加藤さんの本を一生読み続けていく」と作家・大江健三郎さんが述べたことを、新聞は紹介していました。私には折に触れて読み返す何冊かの本、あるいは何人かの著者があります。そこへ加藤さんが加わったことを感謝したいと思っています。
 G.W中に「日本人とは何か」(講談社学術文庫)を読みます。連休明けからは、「加藤周一セレクション(全5巻)」(平凡社ライブラリー)を通勤電車の友とします。

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