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因みに、某アパレルメーカーとは関係ありません。バンド名の由来ではありますが。

チャック・ベリー断章

2017-04-20 23:59:02 | 音楽
この時事放談においてもチャック・ベリーに触れなければなるまい。ロック、もしくはロックンロールに少なからず触れた者にとつては、チャック・ベリーは決して避けては通れない大きなモノリスのやうなものだ。

さて、山下達郎のサンデーソングブックでも言及されてゐたが、日本ではチャック・ベリーはリアルタイムで入つてこなかつた。ブリティッシュインベンジョンのバンド群によつてまづは間接的にもたらされたといへる。

ビートルズ、ストーンズ、キンクス・・・、ブリティッシュロックの礎を築いたバンドでチャック・ベリーの曲をカバーしなかつたものはほとんど無いのではないか。そして、このことはブリティッシュロックの礎の礎はチャック・ベリーであつた、と言つても全く問題とはならない程の影響力である。

さて、チャック・ベリーの影響力の源泉は何であらうか。
それは、ロックンロールのフォーマットを完成させたといふ点にある。チャックの代表曲はそのままロックンロールと等号で結ばれるし、ロックンロールミュージックとはチャック・ベリーの完成させたフォーマットを踏襲した音楽である。つまり、型こそが強いといふことである。

I-Ⅳ-Ⅴの3コード、8ビートのリズム、独特な複音のギターフレーズ、そして所謂ボトムリフ。かういつた型が後の世代にとつての「共有」財産となつた。チャック自身は著作権に拘る部分もあつただらうが、しかし、型はオープンソースであり、この型にどれだけ多くの若者が救はれてきたのか。(もしかしたら、逆に毒され苛まれた若者もゐたかもしれないが。)何にせよ、その計り知れなさには文化といふものの本質がある。

「共有」が可能だつた要因は、それがシンプルで、だれでもそれなりには様になる型だつたからである。そして、その型によつて踊ることが出来たといふ点が重要である。ダンスミュージックだからこそ多くの若者たちに共有され続けてきたわけだ。

それにしても、改めてチャック・ベリーの音楽を聴くと、実は僕らがすぐにイメージできるロックンロールの型とは何か違ふと思へるところがある。ドラムは4ビート、もしくはシャッフルしてゐるのである。しかし、ギターは8ビートのリズムを刻んでゐる。このズレこそがチャック・ベリーによるロックンロールのマジックであり、ミステリーではないか。

ダンスミュージックといふ話をした。ロックンロールがシャッフルのリズムであつたら、果たしてここまで大衆化してゐたのか。非常に疑問である。スクエアな8ビートだからこそ、人種を超えた訴求力があつたのではないか。しかし、この点を理詰めで論証することは僕一人の力では厳しいものがある。従つて、僕の持つてゐる一種の偏見的な感想でしかないのだが・・・。

シャッフルのドラムと、8ビートにギターのズレ。これはロックンロール黎明期の混沌だつたのかもしれないし、可能性であつたともいへる。そして、この点にこそ、それまでの音楽とロックンロールの断絶と連続の二律背反を見出せるのではないか。

ロックンロールと、ブルースあるひはリズムアンドブルースとの間には、一般的には断絶をイメージするかもしれないが、実は(本当は当然のことながらと言ひたいが)、そこにあるのは連続性である。結局、乱暴な言ひ方をすれば、ブルースが突然変異してロックンロールとなつたといへるのである。

さう考へると、チャック・ベリーのロックンロールをブルースと解釈して聴くことは、なかなかスリリングなことかもしれない。
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