司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

司法書士が知るべき最近の相続・遺言判例

2013-02-25 10:09:10 | 民法改正
 昨日(2月24日),京都司法書士会会員研修会「司法書士が知るべき最近の相続・遺言判例」が開催。講師は,本山敦立命館大学法学部教授。

 取り上げられた判例を紹介しておく。

○ 相続人の範囲の確定
最高裁平成21年12月4日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=38224&hanreiKbn=02
「養親自身が婚姻又は養子縁組により家に入った者である場合に,その養親が家を去ったときは,民法(昭和22年法律第222号による改正前のもの)730条2項により,その養親と養子との養親子関係は消滅する」
※ 相続事件では,今日なお,旧法が問題となることがある。

○ 相続財産の範囲の画定
最高裁平成22年10月8日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=80749&hanreiKbn=02
「共同相続人間において定額郵便貯金債権が現に被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えには,上記債権の帰属に争いがある限り,確認の利益がある」
cf. 月報司法書士2011年9月号「青竹美佳/定額郵便貯金債権の共同相続において同債権が遺産に属することを確認する訴えの利益」
http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/publish/monthly_report/201109/data/201109_11.pdf

東京地裁平成24年1月30日判決
https://www.tains.org/tains/tainswk/free/zeihou_bbs/bbs.cgi?page=&ope=v&num=5137
「被告税理士は、原告らの相続税の申告に際して海外財産が相続財産から漏れることがないように、原告らに対して、海外財産に関する資料の提出を求めるとともに、そのような資料が手元に存在しないのであれば、海外財産の存否及びその内容を調査するよう指示すべきであったのに、これらの措置を何ら執ることなく漫然と、原告から交付を受けた国内資産に関する資料のみに依拠して本件申告書を作成し、原告らの相続税を申告しているのであり、このような行為は、税務の専門家として適正に相続税の申告をすべき注意義務に違反したものであるといわざるを得ない」
cf. 月報司法書士2012年10月号

○ 相続分の調整(特別受益,寄与分)等
最高裁平成21年9月30日第2小法廷決定
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=38052&hanreiKbn=02
「民法900条4号ただし書前段は,憲法14条1項に違反しない」

最高裁平成24年1月26日第1小法廷決定
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81945&hanreiKbn=02
1 遺留分減殺請求により相続分の指定が減殺された場合には,遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が,その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正される。
2 特別受益に当たる贈与についてされた当該贈与に係る財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の被相続人の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合,当該贈与に係る財産の価額は,上記意思表示が遺留分を侵害する限度で,遺留分権利者である相続人の相続分に加算され,当該贈与を受けた相続人の相続分から控除される。
cf. 月報司法書士2012年9月号「青竹美佳/特別受益となる生前贈与につき持戻し免除の意思表示がある場合において相続分の指定に対して遺留分減殺請求が行われたときの遺留分額の算定方法」
http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/publish/monthly_report/201209/data/201209_08.pdf

最高裁平成22年3月16日第3小法廷判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=38703&hanreiKbn=02
※ 判決文からは明らかではないが,偽造された遺言書が司法書士事務所に持ち込まれ,当該司法書士が開封してしまった事案だそうである。

広島高裁岡山支部平成23年8月25日判決
cf. 弁護士江木大輔のブログ
http://ameblo.jp/egidaisuke/entry-11281578653.html
※ 未成年者の特別代理人に選任された弁護士が,相続財産の調査を怠り,漫然と遺産分割協議書案どおりの遺産分割協議を成立させたことに過失があるとされた事案である。
※ 月報司法書士2013年4月号掲載予定だそうである。
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1 コメント

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2021-02-16 01:06:59
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