司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

社会福祉法人の「定款例」における役員等の補欠規定について

2016-12-28 16:39:47 | 法人制度
 厚生労働省のHPに掲載されている改正法対応の「定款例」には,次の条項を定めることができるものとされている。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142657.html

 (評議員の任期)
第7条 【略】
2 任期の満了前に退任した評議員の補欠として選任された評議員の任期は、退任した評議員の任期の満了する時までとすることができる。

 (役員の任期)
第19条 【略】
2 補欠として選任された理事又は監事の任期は、前任者の任期の満了する時までとすることができる。

 いずれの文末も,「~ことができる」が,最終版として追記修正されている。

 非常に「違和感あり!」であろう。ここは,「~する」で止めるところである。

 厚生労働省は,どうやら,後任者の任期について,「通常の任期」又は「任期短縮」を社会福祉法人が選択することができるようにという意図で,「~することができる」と修正したようである。

 しかしながら,会社法等の従来の実務の考え方からすれば,法律又は定款で定めた定数を欠くに至った場合の後任者であっても,無条件に定款の補欠規定が適用されるわけではない。

 その場合にも,原則は,通常の任期であって,選任に際して,

(1)前任者の後任として選任される者であること
(2)定款の補欠規定が適用される者であること

をいずれも明示して選任された者に限り,定款の補欠規定の適用があるのである。

 講学的には,「広義の補欠」概念及び「狭義の補欠」概念があり,前者は,単に「前任者の後任として選任された者」であり,後者は,「前任者の後任であり,定款の補欠規定が適用される者として選任された者」である(松井信憲「商業登記ハンドブック(第3版)」(商事法務)438頁以下参照)。

 定款条項中の「補欠として選任された評議員」等を広義概念で捉えれば,厚生労働省の考え方を採ることもできようが,従来の実務は,狭義概念の立場である。

 「狭義の補欠」として選任された者の任期について,短縮することができる(しなくてもよい)は,背理であろう。

 したがって,ここはやはり「~する」で止めるところである。

 余談ながら,NPO法人の定款準則においても,平成15年改正後の役員の任期の伸長に関して,改正後しばらくは,「~ことができる」であったが,その後,いつの間にか「~する」に改善されている。

 「定款例」については,パブリックコメントに付されていたが,それを見落としたのが痛かった感。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160239&Mode=2
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