司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

清算結了の登記申請書に添付すべき決算報告について

2012-07-27 18:13:05 | 会社法(改正商法等)
 清算株式会社は,清算事務が終了したときは,遅滞なく,会社法施行規則第150条で定めるところにより,決算報告を作成しなければならず(会社法第507条第1項),当該決算報告は,株主総会の承認を受けなければならない(同条第3項)。

 そして,清算結了の登記の申請書には,会社法第507条第3項の規定による決算報告の承認があったことを証する書面を添付しなければならない(商業登記法第75条)とされており,決算報告の承認をした株主総会の議事録(決算報告の内容を含む。)がこれに該当する。

 この場合の「決算報告の内容」であるが,平成17年改正前商法下の実務において通用していた,いわゆる「ゼロゼロ貸借対照表」では足りず,上記のとおり,会社法施行規則第150条の規定に従ったものである必要がある。

 会社法の研修会で「解散&清算結了」に触れるときは,このようにお話しているのであるが,最近,大阪法務局から大阪司法書士会に対して,上記について注意喚起の通知書が発出されているそうであるので,十分浸透していないものと思われる。留意されたい。



会社法
第507条 清算株式会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、決算報告を作成しなければならない。
2 清算人会設置会社においては、決算報告は、清算人会の承認を受けなければならない。
3 清算人は、決算報告(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。

会社法施行規則
 (決算報告)
第150条 法第507条第1項の規定により作成すべき決算報告は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。この場合において、第1号及び第2号に掲げる事項については、適切な項目に細分することができる。
 一 債権の取立て、資産の処分その他の行為によって得た収入の額
 二 債務の弁済、清算に係る費用の支払その他の行為による費用の額
 三 残余財産の額(支払税額がある場合には、その税額及び当該税額を控除した後の財産の額)
 四 一株当たりの分配額(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式一株当たりの分配額)
2 前項第四号に掲げる事項については、次に掲げる事項を注記しなければならない。
 一 残余財産の分配を完了した日
 二 残余財産の全部又は一部が金銭以外の財産である場合には、当該財産の種類及び価額
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3 コメント

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Unknown (大西)
2012-07-29 15:26:19
お世話さまでございます。
解散後に行うブログ記事記載の決算承認
解散後に行う債権者保護手続き

この二つは条文上前後関係が明らかでありませんが
承認前に解散公告をしても問題ないのでしょうか
宜しくお願い致します。
??? (内藤卓)
2012-07-29 22:33:53
御質問の御趣旨が判りかねますが・・・。
先に行う義務がある。 (みうら)
2012-07-30 18:59:42
承認前にしなければなりません。公告から2ヶ月経過しないと承認できないから。

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