THE KUROSAKIC RADICAL

こちらは『闇の末裔』の密を幸せにするサイトでしたが、
サーバー廃業により、当面、ブログで密を愛することにしました。

18禁閻密小説『in Dei Patris』5

2017-04-21 09:13:58 | 小説
重厚な扉が近衛と密の背後で閉まると、広い謁見の間の最奥より、閻魔の命じる声が響いた。
 「礼は要らぬ。近う、密よ」
 謝罪のこもった近衛の視線に頷くと、密は涙をこらえて、窺い知れない帳へ怖々と目を向けた。
 震える膝を必死に動かして、不安に押し潰されながら、密は閻魔の元へと進む。
 帳の近くまで来ると、不意に中から閻魔の手が伸びて密の腕を掴み、密を帳の中へ引きずり込んだ。
 「うわっ」
 短い悲鳴とともに、ドサッと密が倒れる音がする。
 それに目を剥いた近衛を閻魔はせせら笑った。
 「死神は、密は私の物じゃ。その扱いに意見するなど、分をわきまえぬ行為だと思わぬか?」
 「はっ。仰せの通り」
 近衛は深く礼を取り、染みついた恐れのまま閻魔の言葉に首肯する他なかった。
 「下がれ。今宵は外で待つでない。目障りじゃ」
 「はっ」
 近衛は畏まり、もう一度深く頭を垂れて閻魔の御前を退出した。
 「あの、すみません」
 閻魔の膝の上に倒れ込んだ密は、閻魔と近衛の会話が終わるとそう謝った。
 すぐ目の前に閻魔の膝があるのに萎縮して、密はなんとか体勢を立て直そうともがく。
 「良いわ」
 閻魔の笑い声とともに抱き上げられ、密は驚いてぎゅっと目を閉じた。
 小さくなって震えている密を腕に収め、寝室に運びながら、閻魔はその眦の涙に目を留めた。
 「泣いたりしてどうしたのじゃ。もう怒っておらぬぞ?」
 密をぐっと胸に引き寄せ、身体を密着させて感情を読ませると、そのまま閻魔は密の頬に口づけた。
 感応能力が読み取る閻魔の感情に、密はびくっと震えると、いよいよ身体を縮こませた。
 (愛されるなんて嘘だ)
 伝えられる感情が信じられず、けれども疑っても向けられる愛情に、密は両手で顔を覆った。
 「密?」
 優しい声音で呼ばれて、密はこらえ切れなくなって嗚咽を洩らした。
 ぽろぽろと涙を零し始めた密を、閻魔は慰めるように軽く揺らす。
 「何を泣くのじゃ。また愛してやるから安心せよ」
 包み込むような愛情とともにかけられた言葉に、密は愛されることを許された気がした。
 肩を震わせて咽び泣く密を、閻魔は優しく見つめながら、その額にキスを落とす。
 あやすようにキスをして、涙に濡れる密の頬にそっと頬擦りをした。
 閻魔の思いのこもった愛撫に泣きながら、密はもたらされる愛情を貪るように感じ取り続けた。
 全身を閻魔に預けて大人しくしている密に、閻魔は微笑んで頬を寄せ、抱きしめながら寝室のドアをくぐった。
 寝台に着くと、閻魔は密を胸に抱き留めたまま、ゆっくりと密をシーツの上に降ろした。
 そのまま密に覆い被さり、組み敷いて閻魔は密に言い含めた。
 「決して逆らうでないぞ。昨夜のように大人しくしておれ」
 頷いた密に閻魔は口元を綻ばせ、愛しげにその頭を撫でた。
 紛れもない愛情を密は夢のように思いながら、閻魔のなすがままに服を脱がされていった。
 シャツを脱がすと、左の二の腕にべっとりと血の付いたハンカチが巻いてあり、閻魔は怪訝に思いそれを解いた。
 「これはどうしたのじゃ?」
 その下にごく小さな傷痕を見つけた閻魔に、密はハッと息を飲んで、左腕の内側に目を移した。
 そこには、今にも消えてしまいそうな傷痕が昨夜の名残を留めていて、密は呆然としてそれを見つめた。
 (嘘じゃなかったんだ・・・)
 「答えぬか。また隠し事をするつもりか?」
 急かす閻魔の声音に疎ましさが混じっているのを感じ取ると、密は慌てふためいた。
 「いえ、言いますっ。その、これ、自分でやったんです」
 密は閻魔の気配に怯えながら言葉を続けた。
 「昨日の、キスしてくれた痕が消えそうだったから。愛された痕だと思うと、それが消えていくのが堪えられなくて。痕が消えたら愛情も消えてしまいそうだったから。だから、自分でその痕に傷をつけたんです」
 見下ろす閻魔の顔色を伺って、密は必死になって説明した。
 「その、俺が愛されたなんて、痕でも、証拠でもないと、信じられなくて。嘘だとしか思えなくて」
 閻魔は密の小さな傷痕を指先でつついて訊ねた。
 「今まで痕が残るとは、どれほど深く傷をつけたのじゃ?」
 「その、夢中でよく覚えてないんです。あれから帰って、明け方までずっとえぐってたんですけど」
 「まことか」
 密の答えを聞くと、閻魔は楽しそうに声を立てて笑った。
 「密は何といい子じゃ。誉めてつかわす」
 よしよしと密の頭を撫でて閻魔が言うと、密は小さく安堵の息をついた。
 「ならば確たる証拠をつけてやろう。私の愛を享けているというな」
 その閻魔の言葉に密はびくっと身体を震わせて、耳を疑いながら恐る恐る確かめた。
 「・・・いいんですか?」
 「しばらく痛い思いをすることになるが、どうじゃ?」
 「こんなに愛してくれるなら、何されてもいい」
 すぐさまそう返事をした密を、閻魔は目を細めて優しく抱き締めた。
 「気に入った、密よ」
 閻魔は密の手首を取ると、もう片手の手首と合わせて一つに纏め、密の頭の上で力を加えて押さえ付けた。
 体重をかけ身体で密を押さえ込み、すぐ下にある密の瞳を覗きこんで命じた。
 「よいか、決して動くでないぞ」
 「あ、はい」
 掴まれた両手首の痛みと潰されそうな苦しさに堪えて密は頷いた。
 その様子に笑みを深くし、閻魔はその傷痕に口づけてから、空いている右手をそこに翳した。
 閻魔の唇が聞き慣れない呪言を唱え出したかと思うと、密の身体に悪寒に似た感覚が走り抜ける。
 密はぞくっと背筋を震わせ、それをこらえたかと思うと、今度は閻魔の神気が痛みとなって、左腕から全身に巡った。
 身体を引き裂かれそうな痛みに仰け反る身体を、閻魔の大きな身体が押さえ付ける。
 「ああっ!」
 身じろぎも許されず、さらに激しくなる痛みに、密はこらえ切れなくなってとうとう悲鳴を上げた。
 『愛されたしるしが欲しいのだろう?ならばじっとしておれ』
 閻魔の声が心に直接響くと、密は唇を噛んで激痛と戦いながらその命令に従った。
 「もう良いぞ」
 いつまでも終わらないと思った痛みは、不意にその言葉とともに退いていった。
 閻魔は身体を起こし密の両手首を離すと、密の目の端に滲んだ涙を指で拭った。
 「ようこらえたの。いい子じゃ」
 密の頭を撫でてそう誉め、その左腕をさすりながら、閻魔は傷痕のあった所を指し示した。
 「見るがいい」
 痛みで痺れてしまった身体を動かせず、密は頭だけを巡らして腕を見た。
 そこには消えた傷痕の代わりに、見落してしまうほど小さな、ほくろのような黒いものができていた。
 目を凝らして見てみると、それは梵字のようなものだった。
 「どうじゃ?そこから私の神気が感じられよう?」
 閻魔は密から離れ、帯を解いて襟を緩めながら言った。
 「あ・・・」
 身体の外側からでなく、内側から、閻魔の愛情が伝わってくる。
 「呪詛をかけてやったのじゃ。私の愛情を埋め込んで、私に愛されていることを見失わぬようにとな」
 その言葉に引き寄せられ、密は痺れて動かせない腕の代わりに、その呪詛に頬を寄せた。
 身体の中から絶え間なく閻魔の愛情が溢れてきて、密は心を震わせてまた涙を零した。
 その呪詛に頬擦りして、体内に刻まれた愛情を何度も確かめる。
 瞳を半ば閉じて愛情を聴いている密に、閻魔は楽しそうに問い掛けた。
 「気に入ったか?」
 「はい」
 頷いた密に微笑んで、閻魔は密の傍らに身を横たえた。
 密を身体の下に入れて、その背に腕を回してぎゅっと抱き締める。
 大きな手が密の肩や背を慈しむように撫でて、触れ合った肌から温もりと愛情が密の心の奥にまで届けられる。
 「今宵はずっとこうして愛してやろう。一晩中私の腕の中に居るのじゃ」
 じっと見つめる閻魔の瞳を見つめ返して、密は信じられないといったように小さな声で確かめた。
 「いいんですか?」
 「構わぬ。朝までたっぷりと可愛がってやろう。明日の朝はここから召喚課へ出向いて、終わったらここへ帰ってくるのじゃ。そうして毎晩私の相手を務めよ」
 「毎晩、ですか?」
 声を震わせて驚く密に、閻魔はゆっくりとその髪を撫でながら言った。
 「そうじゃ。夜が来るたびに召して、私の傍に置いてやろう。嬉しかろう、密?」
 その閻魔の言葉を聞くと、密は溢れた涙に声が出なくなり、深く頷くしかできなかった。
 閻魔は密をきつく抱き締めて、嗚咽を洩らすその唇を塞ぎ、密の柔らかい舌を絡め取る。
 「っ」
 その口づけと、重ねた肌から読み取れる愛情に、密は身体がとろけていくような感覚を味わった。
 閻魔は密の唇を味わうと、その頬にキスを繰り返して、密の耳朶を吸った。
 密の耳に軽く息を吹きかけると、密はくすぐったさに閻魔の身体の下で身を捩じらせた。
 それだけで抵抗らしい抵抗もせずにいる密を、閻魔はクッと喉を鳴らして笑った。
 「そのように、私に何をされても大人しく従うのじゃ。そうすれば褒美に愛情をいくらでもやろう」
 耳に息を吹き込まれながら囁かれ、密はぞくっと肩を竦ませた。
 愛撫を受けながら、密はふっと、近衛の言葉を思い出した。
 『大王様の興味を惹けば、後についてくるのは屈辱だけじゃ。自分の意思も捩じ伏せられて、果てしない服従を強いられる』
 (でも、愛してくれるんだから、関係ない)
 どんな目に遭っても、従いさえすれば、愛情が貰える。
 それで充分だと思って、密は閻魔にこくっと頷いてみせた。
 閻魔は満ち足りた笑みを浮かべ、密の首筋へと唇を移し、きつく吸って言った。
 「諦めた望みを叶えてやっただけで、こうもたやすく手なづけられるとは、可愛いものじゃ」
 閻魔は笑い声を立てて、密に愛情を読み取らせた。
 「愛しているぞ、密」
 閻魔の愛情を心に身体に注がれると、あまりの心地よさに密はうっとりと瞳を閉じた。
 「こうも楽しい思いをしたのは久方ぶりじゃ。もっと楽しませてもらおう、密」
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