維新派の「〈彼〉と旅する20世紀三部作」、素敵な出会いと感動を残してくれた
前回の維新派・犬島公演で苦労した思い出の一つが、維新派名物・テント村についてだ。維新派の追っかけとも言える方々が、維新派公演を見続けるために、フードやドリンク、かき氷などのお店を出している。
このテント村について、保健所の開設許可を下ろしてもらうのは、まさに一苦労だった。しかし、維新派の公演になくてはならないのが、そのテント村である。多くの人がテント村で、麦酒などを飲みながら、軽食も食べて公演を待つ。
そして、いよいよ待ち兼ねた維新派の「〈彼〉と旅する20世紀三部作」の第三作「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」の公演だ。長い通路を登っていき、客席に到達する。目の前には、いつも間違いなく私を感動させてくれる舞台装置が目の前に広がる。身体がゾクゾクっと震える。
その装置は間断なく動いて、さながら映画を見ている感さえある。私の座席は一番前で、奥の高い所は見上げる形になる。日没が昨日の場合には、19時15分であることを計算し尽くして、舞台は進行していく。
席についた頃には、装置のバックに青空に白い雲が広がっていたが、それが夕日で朱く染まってゆく。実に美しかった。日が沈んだ後には、照明が素敵な世界を照らし、映し出していく。まさに維新派、松本雄吉ワールドだ。
それにしても今回の舞台は明確にセリフで語られ、しっかりとメッセージを受け取ることができた。二時間、座りっぱなしで足・腰が痛かったことを除くと、全てに魅了された。また一つ心に残る舞台を見ることができた。
今回は一番前の席で、それはそれで役者さんの動きや「家船」が動くのなどを、目の前の至近距離で見ることができた。加えて、汗が流れているのなどもくっきりと見え、とても感動だった。ただ、もし許せば、次回は全体が見える高い席から舞台を観たいという気持ちになった。
この維新派公演前には、維新派主宰者である松本雄吉さんや制作を担当しいつもお世話になっている山崎さんともお会いできた。また、私と維新派を出会わせてくれた岡山アートファームの大森誠一さんともお会いできた。現場で会えるのは、何とも感激だ。嬉しかった。