世界一面白いミュージカルの作り方

早稲田発小劇場系ミュージカルプロデュースユニットTipTapのブログです。
HP≫www.tiptap.jp

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

とうとう発表

2013-04-30 01:11:26 | tiptap
今年のトニー賞のノミネートが発表されます。
さあどうでしょうねえ。
こっちに来たのが8月の終わりだから
見れてない作品もいくつかありますが
ミュージカル作品は全部観てるはず。
わくわくしますね。トニー賞受賞式のチケットも買えるようなんで
ぜひともゲットしたいところです。
まだ先なんでスケジュール的に行けないかもだけど買っちゃうしかないな。

さてそんな盛り上がりを見せる中
細々と賞レースとは関係ない作品ばかりを観ております。


F#%KING UP EVERYTHING

ブルックリンに暮らすオタク学生とバンドマンの友人を主人公にしたオフのロックミュージカル。
馬鹿馬鹿しいボーイミーツガール的なコメディーなんだけど案外面白かった。
紆余曲折あってみんな幸せになるというありふれた話で
演出も音楽もありきたりな感じではあるがつまらなくはない。
しいて言えばセットと俳優陣が作品に貢献しているという感じ。
友達なんかとお酒をあおりながらわいわい言ってみる感じの作品。
一人だとちょっと盛り上がれなかったな。
ドラマーとベーシストは演奏もこなしていたのには感心。
こっちの俳優さんはけっこう楽器も上手な人が多いです。
層があついですなあ。


Bullet Catch

面白かった。
「バレット・キャッチ」という撃ち出された拳銃の銃弾を歯で咥えて受け止めるというマジックの話。
観客参加型のマジックプレイという感じだった。
この「バレット・キャッチ」に失敗して死んでしまった昔のマジシャンについて語りながら
次々とマジックを行って行く。
マジックを使い観客の中から一人を選ぶ。
選ばれた人はその死んでしまったマジシャンが失敗した時に拳銃を撃った人を演じる事になる。
その失敗の時も偶然マジックを観に来ていた観客が同じように選ばれて拳銃を撃った事になっている。
まさにその出来事をなぞるように物語が進んで行く。
そして最後にはその選ばれた観客はマジシャンに向かって拳銃の銃弾を撃ち込む。
トリックは想像できるし絶対に死ぬわけないと思っていても
目の前で拳銃を人に向けて撃つ姿には息をのんでしまう。
無事に成功するに決まっているけど成功したらもう割れんばかりの拍手。
いやいや構成が上手い。
実際に事故が起こったのかどうかはわからないが
人が死んだという事実を突きつけ信じ込ませていくやり方は巧妙である。
たった90分の一人芝居だがあっという間だった。
同じマジックでもやり方次第でこんなに面白くなるんだと感心。


Collapse

こちらは実際に起きたミシシッピ川にかかる鉄橋崩落事故を扱ったオフのストレートプレイ。
崩落事故に巻き込まれ奇跡的に助かった夫。
事故以来引きこもりがちになり働けない夫の代わりに仕事と夫の世話とこなす妻。
仕事をくびになり転がり込んで来る妻の姉。
崩壊寸前の夫婦が更にぐらついていく。
鬱病でアルコール依存だから会社に行けないと主張する夫だが
実際は事故の後遺症で高い所に行けないのに職場がビルの高層階に移動してしまったことが原因。
妻は夫が事故にあったあと流産していて更に仕事を失うかもしれない。
夫を支えている彼女自身の辛さ、苦しさが見えて来る。
最後は色々あって二人で歩んで行く話なのだが
最後のシーンがとても気に入った。
死に直面した時、夫は妻や生まれて来る子供を残して死んでしまう苦しみや恐怖を感じたと話す。
もうそんな思いはしたくない。大切な人を残して死にたくないから離婚するしかないと話す。
自分には大切な物を持つ強さがないんだと言う訳です。
そんな夫に誰かを残して死ぬのは嫌だけど
その終わり方を一緒に見つけて行くしかないのよって告げる妻。
人生の終わり方を考えさせられるシーンでした。
死ぬ時に誰と一緒にいたいのかどうやって死にたいのか。
人生で一回しか死は経験できません。
だから死に方を選ぶために人は生きているのかもしれません。
なかなか良い作品でした。


Mayday Mayday

これも実話を元にしたオフの一人芝居。
ブルックリンのお気に入りの劇場でかかっている
イギリスからの招聘作品。
メイデイという冬の終わりで夏の始まりのお祭りの日に
妊娠中の妻を家に残し近所のパブまでお酒を飲みにいった主人公。
岡の上の我が家へ酔っぱらって帰る途中に
妻に電話をするために崖の塀によりかかってそのまま転落してしまい
頸椎を損傷して首から下が動かなくなってしまう。
失敗したら死んでしまうかもしれない確立50%の手術か
とりあえず安静にして奇跡的に治るのを待つのか
二つに一つしかないなか手術を選び
成功してリハビリを続け無事に生まれて来た子供とメイデイの祭りにでかけるまでを描く。
実際頸椎を折って首にボルトを入れて固定している主人公をその本人が演じる。
彼が演じるから面白可笑しくやっても許されるのだろう。
説得力が半端なかった。
演出もスタイリッシュでありコミカルでありなかなかよかった。
演出は彼の実の妻。事故の時に電話をしていた本人が演出家なのだ。
なんか作品の素晴らしさもさることながら彼等の絆の深さにも感動してしまう。
これも同じで自分の身体が自分の物じゃなくなったら?
特別な経験だがきっと死ぬときはそうなるのだろう。
そこに直面した時何を思い何を感じるのか。
彼の生き生きと動く姿に取り戻した身体への活力を感じ心を打たれた。


Götterdämmerung

ワーグナーの「ニーベルングの指輪」の最終作。
邦題は「神々の黄昏」
もうとにかく長かった。
6時から始まって劇場をでたのは11時50分。
とにかく疲れた。
この4部作はMetの名物作品なので一応4つ観たいと思ってチャレンジしています。
最終作のためなのかちょっとお話が無茶苦茶すぎて入り込めなかった。
なんでそうなるの?
って思ってしまうところが多々あるがまあ仕方ない。
素晴らしいのだろうがどうもワーグナーの作品は
捉えどころが少なくてライトモチーフが鳴ってると少し昂揚するのだが
全体的につらつらと流れて行くので疲れてしまう。
でもビジュアルが凄いもんだからそんなには飽きない。疲れるけど。
そもそもこの4部作のセットがまあ凄いんです。
言葉では説明できないのでぜひMetビューイングなんぞで観てみてください。
唖然とします。これが観たかったから良いかという風にもなるかな。
ラッシュで20ドル。
一人だと休憩中に開いてる席にいくもんで300ドル以上の席に座れます。
ずるだからばれたら怒られますけどね。
近いと迫力が違いますね。そりゃ高い席の方が面白くみれますよね。


Fragments

サミュエル・ベケットの短編集。
演出はピーター・ブルック。
キャサリン・ハンターなど出演者は3人だけ。
不条理劇なんだけど不条理というよりコメディーという感じがした。
なんだかベケット作品って深いけど面白くないという先入観があったけど
まったく払拭された。
本当に面白かった。
ストーリーに意味はないしただそこで出来事が起きている。
目の前に事実があるということに変わりはなく
ドラマがあるのではなくただある。
だけどきちんとあれば面白い。滑稽であっても説得力がある。
シュールなコントを観ているようである。
でもその裏に何かが隠されているのではないかと思いを巡らせる。
笑いながら頭を回転させる。
なかなかいい時間を過ごせた気がした。
俳優が本当に素晴らしかった。流石だ。


Love Therapy

駆け出しのセラピストが主人公のオフストレートプレイ。
これはいまいちだった。
本も演出もなんとも魅力に欠ける。
セラピストが一生懸命に患者に愛を注ぐ訳ですが
自分には離婚歴があり愛を上手く受け取れた事がないとか。
なんか日本のドラマにありそうな設定。
結局全部失ってしまう後味悪いだけの物語。
演出もなんだか中途半端にスタイリッシュさを狙った感じで
はまってない。
オーストラリアの作品らしいんだけどちょっと残念。
精神病に関してはかなりの知識ありますから
中途半端にやられるとなんだか
がっかりしてしまいますね。
確かにセラピストという仕事は大変な仕事でしょう。
だけど観客の想像を越えない内容でしかも面白さがないとなると
どうでしょうね。うーん。難しい。


so go the ghosts of méxico, part one

メキシコの世界一危険な麻薬紛争地帯でなり手のなかった警察所長に
立候補した20歳の大学生の実はを下敷きにしたオフオフ作品。
ラ・ママなんでまあアングラな感じの作品でした。
この女性は当時既に一児の母で結局あまりに危険な職務のため
今はアメリカに亡命しているそうです。
作品自体は事実に基づいているわけではなく
勝手にインスパイアされましたと前置きが書かれているぐらいで
ゾンビが出てくるは実際は死んでない旦那は殺されるはで
かなりかけ離れています。
この作品が事実と関係ない作品だとして観ていたなら
評価の高さにもうなずけたかもしれません。
とても象徴的に色々な表現が比喩的に扱われていて
作者が言及しているように詩的な作品に仕上がっています。
でも実際にモデルがいて本人の人生を借りて何かを描くというのは
物凄い責任を負うことだろうと思います。
彼女の人生、彼女の家族、それら全てに責任を持てない誰かが
勝手に何かを描く訳ですから自分には怖くてできません。
本人はこの作品を観て

主人は死んでいない。
いくつかは正しい部分もあるが正しくない部分もある。
実際に私よりもか弱く怯えて見えた。

という感想を残したそうです。あまり感動した様子もなかったとか。
どう思ったんでしょうね。この作品を否定するわけではありませんが
死んでない夫は芝居の中で殺されてどういう気分なんでしょうか。
自分だったらあまり嬉しくはありませんね。
名前を借りてモデルだとしっかり主張する必要があったのでしょうか。
少し首を傾げてしまいます。


Mariquitas

キューバで暮らすゲイの芸術家達と囲っている男妾達のお話。
こちらも先日からお世話になっている美術家さんの作品。
セットは素敵でした。
ダリの絵のような砂浜の感じ綺麗でした。
物語はなかなか面白かったのですがちょっと長かったかな。
もう少し割愛してもいいかもなんて思いました。
作品中スッポンポンになるシーンがあるのですが
それまでなんか俺とやろうぜ!とか言って
俺は凄いんだ的な雰囲気の人が脱いだら
あれ?って感じだったりすると
ちょっと変な感じになります。
これってキャスティングの時に考慮したのだろうか?
いやもしかしたら寒かったのかな。
それともゲイだから?いやいやそんな事が気になってしまいました。


Bull

めちゃくちゃ面白かった。この脚本家好きですね。
こっちに来て初めてみたストレート作品「Cock」と同じ作家です。
「Cock」はオフ作品ですがオフの賞レースにはしっかり食い込んでる
評価の高い作品でした。オリヴィエ賞受賞作品ですから。
その作家の新作。
セットは前回は「闘鶏場」の様だったのに対して
スタイリッシュな「リング」と言った感じ。
オフィスの廊下のような雰囲気でウォータークーラーが一つの角に置かれた正方形の空間。
そこに会社の同僚が3人やってきて会話をする。
誰か一人がこの会社を首になることがわかっていてこの後の上司とのミーティングで
それを決める事になっているらしい。
あからさまに2対1な感じで会話が進んで行き
その1人は虐められているようにみえる。
「Bull」というのは牛のことでもあるが「bullying」という単語にもかかっている。
意味はまさに「いじめ」である。
どこにでもある会社のどこにでもある情景に見えて
人間の冷たさ、非情さが見えて来る。
しかもそこに微塵も悪気がない。
結局その虐められている1人がくびになるし
はっきり言って後味の悪い作品に違いない。
しかし目を背けてはいられない。
自分の保身のため自分の利益の為に誰かを蹴落とす。
そこに罪悪感は感じない。可哀相だとは思うけど。
最後のシーンは本当に人間をみている気がした。
自分の中にある冷たい部分。非情な部分。
自分が一番可愛い部分。自分を正当化しながら生きて行く。
そして誰かの成功のために不幸になる誰かがいる現実。
その避けられない冷たい現実がセットを覆って行く。
とてもスタイリッシュでブラックな作品。
俳優も演出も本も本当に素晴らしかった。
たった55分。深い。
イギリス人の緻密さ綿密さは素晴らしいです。
早速脚本買いました。読み直したらまた発見があるんだろうな。
楽しみです。


Siegfried

ワーグナーの4部作の3作目の「ジークフリード」。
こちらは前回より1時間程短かったかな。
というか今まで観て来たワーグナー作品の中で
一番面白かった。
ライトモチーフもわかりやすいし
全体的に荒々しい曲調で睡魔が襲って来にくい。
しかも物語がなかなか面白かった。
無理矢理感があまりなかったからかもしれない。
キャラクター達がしっかりと立っていることがいいのかもしれない。
コミカルなシーンや外連味のあるシーンが結構あって
観ていて飽きなかった。
前回に比べるとかなり楽しめた。
セットの破壊力もこの作品にはなかなかマッチしていたのかも。
何度観ても唖然とするには変わりないけど。
今日はかなり強気にズルして一幕目からかなり前の席で観た。
良かった。近いと本当に音楽を感じられて心地よい。
生声って凄い。
あと2作品頑張れるかな。


今日まで196本。
200本目は何でしょうか。
明日、明後日と計3本チケットをとってるので
木曜日の夜の作品になりそうですね。
何になるやら。

明日のノミネートも楽しみです。
ではまた書きます。







コメント
この記事をはてなブックマークに追加

オープンラッシュの次は

2013-04-19 15:57:39 | tiptap
オープンラッシュが落ち着いてきました。
もうオンの新作もめぼしい物は全て開いた感じです。
とはいえプレビュー中の物もあるので
気になる作品はまた観に行ってみたいものですが
そこまでお金があるのかなあ。
とりあえずチケットが取れずに5月半ばに観る事にした
Motown以外はストレートも含めて観れた気がします。

ということで今後はオペラや、オフ作品にシフトチェンジですね。
新作のキャスティングも始めていてなんだか色々と考えることが多く
観劇中も集中できないときがあります。
英語なもんでかなり集中しないと意味がわからないのに
なんか自分の脚本のこと考えたりしてしまっていいんだか悪いんだか。
よく仕事中は袖にいながら稽古のことやセットのことを考えながら
時間を過ごしていたことを思い出します。
おかげできっかけ直前にはっとしたりよくするので
褒められたもんじゃありません。

オープンラッシュが終わったという事でこれからは演劇賞ラッシュですね。
まずは小劇場メインのルーシル・ロータル賞とドラマ・ディスク賞。
ノミネート作品を眺めるとうなずけるものが多くてほっとしました。
ピューリッツアー賞の受賞作は見逃してて残念。
これからトニー賞に向けて逐一情報が楽しみです。



Bunty Berman Presents...

インドのボリウッドと呼ばれる映画産業を描いたおばかなオフミュージカル。
プレヴュー初日で本当にばたばたで開演も15分押してましたが
なかなか面白かった。本当にくだらない作品なんですが
AvenueQを作ったプロダクションなだけはありますね。
インドの映画産業を上手く茶化して面白可笑しく描けてる。
正直言って歌唱はいまいちでコーラスもしょぼいしソリストが上手くないんだけど
それでも充分楽しく観れました。
こういうどたばた喜劇は本当に面白いなあ。
落ち目の映画スター、落ち目のスタジオ。
立て直そうと奮闘する社長達。付け入るマフィアとそのぱ馬鹿な息子。
それぞれのくだらないプライドやら必死感が滑稽で面白い。
自分が昔書いてたスタイルに激似な感じがまたぐっときましたね。
歌が下手でも面白けりゃいいだろ?って感じが開き直っててよかった。
まあこの下手さを逆手に取ってるって言うのも上手いんだろうなあ。


The Big Knife

クリフォード・オデッツの映画化もされた戯曲のリバイヴァル上演。
ラウンドアバウトという大きなプロダクションが作っている作品。
映画は日本では未公開らしいです。
昔の契約に縛られ馬車馬の様に働かされるハリウッドスターが
妻の為に引退を決意するが昔起こしたひき逃げ事件を脅しに使われ
止むなく契約を結んでしまうあげく耐えられずに自殺してしまうという
まあなんとも救われないはなし。
豪邸を舞台にした室内劇で淡々と進んで行きます。
ちょっと飽きちゃいますね。そもそもハリウッドスターの贅沢な生活を
これでもかと目の当たりにすると同情できない貧民の私。
ハリウッドの暗部をえぐった作品としての意義はあるものの
あまり共感出来る部分が少なかった。
夢を叶えるのに必死な我々には贅沢な話だろ!って思っちゃうから。
まだまだ気持ちだけは若いんですかね。
成功者の苦しみや孤独を描いてるんだけどまだちょっとそこまで
大人になれません。


Richard III

知人の美術家さんのゲネに招待して頂きました。
美術はなかなか素敵でした。
シグネチャー・シアターにある劇場の美術を担当するなんて
さすがだなあと思ったりして。
こないだはデイヴィッド・ヘンリー・ウォンの芝居がかかってた所。
シェイクスピアのリチャード三世をなんとなく現代風にアレンジして
わかりやすく上演してました。
それにしても複雑な話ですね。もう誰が誰だかわかりません。
もう少し勉強して望むべきでしたね。
ちょっと予習足らず。バラ戦争とか昔勉強したのになあ。
世界史大好き人なのに不覚にもすっかり忘れているとは。
高校生以来勉強していないことが後悔されます。



Jekyll & Hyde

日本でもおなじみな作品ですね。
もう本当に期待をしてちょっと高めのチケットを買っちゃった訳です。
何せ「Rock of Ages」でオリジナルの主演を務めたあのコンスタンティン氏が
タイトルロールを演じる訳ですから。
「Rock of Ages」では本当に歌唱力の高さに度肝を抜かされました。
こんなにロックを歌いこなすミュージカル俳優がいるのかと。
まあ調べてみたら別にミュージカル俳優ではなかったんですけどね。
俳優というかタレントさんです。American Idol出身ですもの。
それでも彼の歌声をCDで聞きまくってたし久しぶりに観れるなとかなり期待。
ところがですよ、
まあ本当にびくりするほど駄目な仕上がり。
そもそも音楽を全体的にロック調にしてるんだけど
アンサンブル達の歌唱がひどい。
なんかロックテイストを意識してるんだかどうかわからないけど
あの「ファサード」なんて歌唱が下手糞だし演出がひどい。
鏡の吊りものを縦にしたり横にしたりと動かして貴族達が着替える?
あの音楽のダイナミズムをまったく消してます。
そもそもジキルのキャラクターがまったく魅力的じゃない。
なんかいわゆるオタク的な雰囲気で声も小さいし
歌唱に至ってはキャラクターのせいなのか
声を張らないから常にやや♭。
まったく好青年には見えないくせに彼女は美人ときたもんだ。
どうやったら彼の事を好きになるんでしょうか?
そもそもそんなオタクキャラが娼館にいこうと誘うとこなんて意味不明です。
実験の許可が下りずに落ち込んでたけど婚約はできてそんで
バチュラパーティーだ!ってなるキャラには見えないんですよ。
唯一「時が来た」は持ち前の歌唱力を活かして歌で押し切ってましたが
ここの演出もなんだか陳腐なんですね。
薬品を飲むんじゃなくて複雑なしかけにしたもんだから
なんか段取りが多くて変身が大変・・・
オタッキーな愚直な科学者を描きたかったんでしょうけど
それならもっと設定を変えなくては成立しないでしょう。
まあハイドに変身してからはロック歌唱で歌唱自体はそこまで
気にならないんですがちょっと演出は全体的にひどくて
もう映像バン!明かりバン!って感じで何も想像できない。
案外お客さんは正直で変身した別人という設定に入り込めないもんだから
変身する度にせせら笑う始末。
いやいや本人は真剣にやってるんでしょうけど
笑われる作品つくっちゃ駄目でしょう演出家は。
同一人物に別人格が宿っていることに説得力を持たせることが
演出家の仕事だと思いますがそこにまったく力点が置かれてない。
ただ外連味と勢いだけで作ってあるから別人に見えないんですよね。
観客の嘲笑が・・・
そして最期の対決シーン。
もうなんかのアトラクションかと思うぐらいの映像ショー。
そもそも一人の俳優が二つの人格を演じ分けるという演劇的な
アプローチが巧妙だったのに
事前に作られた映像と声に合わせて俳優が演じても
なんの意味もありません。
そもそも同一人物じゃなくなってるわけですから意味不明です。
スクリーンに映し出された映像と対峙する時点で
何か違うなと思わなかったんでしょうか?
もはや原作の持つ風合いはどこかに消えてしまいました。
せめてもの救いは女優陣がなかなかよかったことですかね。
二人の歌唱は素晴らしかったです。
ただそれも趣味の悪い演出のおかげで不格好に見えてしまうのが残念。
Newsiesの演出家なんですが確かにあの作品は振り付けは良かった。
演出的には杜撰な部分が垣間見えた記憶があります。
Newsiesは別に振り付け家を立てていましたが今回は自らやったようです。
それもよくなかったのかな。
ボニー&クライド、ビッグリバーなんかをやってる人なんですね。
う~んほんとに残念。もったいないなあ。


The Memory Show

痴呆を患ってしまった母親を介護するために嫁に行き遅れた娘が帰って来る話。
なかなか音楽のセンスのいいミュージカルでした。
ジェーソン・ロバート・ブラウンが女性だったら?みたいな曲調。
オフミュージカルにしては豪華な編成でした。
物語自体は母親の記憶が消えて行くさまを
娘が側で見守りながら自分の人生についても考える的なはなし。
母親役の女優の芝居はとても体当たりながらコミカルで緩急があり好感が持てました。
ヒステリーを起こして錯乱するところもあれば恍惚と妄想にふけり上機嫌になったり
矍鑠と娘に説教したり。
親の背中を見て子供は育ちます。いつまでも親は親であり子は子です。
でももし自分のことを母親がわからなくなったら。
自分の娘のことを覚えていられなくなったら。
色んな葛藤、悲しみ、苦しみが見えて来ます。
それをコミカルに笑い飛ばしながらも現実に向き合うしかない。
人生と同じですね。終わりという現実がある。
その間は夢みたいな時間なんだと思います。
でもどんな夢がみたいのか?
もしくはどう死ぬのが幸せか?
いつ幸せを味わいたいのか?
死ぬ時か?今か?
そこに答えはありません。それに自分では選べません。
人生の終わりを迎えた時に誰が側にいるのか?
そんな事を考えながら作品に集中できず・・・
まあいいか。音楽よかったし。


Four Message

この作品は長かったんだけなかなか面白かった。
今ではミュージシャン、俳優として活躍する作者の自伝的な作品。
ギターを片手に自らの人生を面白可笑しく語ります。
1幕はとにかく生い立ち、神様の啓示でミュージシャンを志したこと
ジョン・ハモンドとの出会いなどなど。
成功を掴む寸前でプロデューサーであるハモンド氏が他界してしまったそうです。
けっこう波瀾万丈な人生をおくってます。
というかとにかく歌とギターがうまい。
ギター2本とバイオリン一本でこんなに素敵に聴こえるんだなあと感心。
まあ箱も小さかったからよかったのかも。
なぜ2幕からは後ろでギターを弾いてたお兄ちゃんが主人公を演じます。
バイオリンのお姉ちゃんが彼女役。
いわゆるミュージシャンカップルの幸せ、結婚、流産などなど。
そして二人は別れてしまう。悲しいですね。
当事者がそこで歌ってるわけです。本人が。
どこまで本当なのかはわかりませんが
歌う彼の目には何かが浮かんでいたように思えました。
自分の人生を投影することはとても勇気がいります。
色んなことをさらけ出さなくてはいけないし
自分なりに自分の人生に結論を出さなくてはいけません。
しかもその結論は間違っているかもしれない。
でもそうしなくてはいけない何かがあるし
乗り越えたい何かがあるんだと思います。
そんな何かを感じる事ができました。
残念だったのは2幕で主人公を演じてたおにいちゃん。
芝居はまあ及第点なんだけどギターと歌が・・・
本人に比べると付け焼刃感満載でした。
もったいない。



Totem

シルク・ド・ソレイユです。
とりあえずテーマがいまいちわからなかったのですが
どうやら「水から空へ」的な感じでした。
両生類から進化して地上に、そして空を求めるみたいな。
年始にみたNY名物のアットホームサーカスを思い出しました。
あれはあれで個人的にはあったかい気持ちになって好きでした。
まあこちらは世界のアートサーカスですから
それとは違って壮大で美しいことが目白押し。
とにかく衣裳が凄いですね。
もうキラキラピカピカで。
前から2列目だったおかげでかなり細かく見えました。
本当によくできてます。
こういう美しさへのこだわりは素晴らしいですね。
曲芸の数々は確かに素晴らしいし驚く事ばかり。
人間ってこんなこともできるんだと感心しました。
本当に生ものだなと思ったのはやっぱり失敗もするわけです。
観ていて本当にドキドキします。
彼らは本当に大変だろうな。正に身を削ってる訳です。
家族や友人達とわいわいいいながら観たい物ですね。
ただわかったのはどうやらこういう見せ物という感じのものに
そこまで魅力を感じないようです。
本当に素晴らしい作品なんだなとはわかるんですが
個人的にはもっと自分で考えたり深めたりできる物の方が好きなんだなと。
登場人物の心情やドラマを感じたり考えたりしたくなっちゃう。
本当に凄かったんですけどね。好みですね。
だから昔からスポーツよりも読書や音楽が好きだったりしたのかな。
まあ病弱だったこともありますけどね。
でもまた違う作品が観てみたいですね。



今日までで185本ですかね。
今夜はこれからオフのミュージカル。
なかなか劇評がいいから期待です。
誘惑に負けてマックを食べてしまったし。
眠くならないようにしなくては。
ではまた書きます!






コメント
この記事をはてなブックマークに追加

上野ははじめて

2013-04-11 18:04:51 | tiptap
次回公演の劇場が「上野ストアハウス」に決まりました。
上野での公演は初めてなんでなんだかわくわくしますね。
とは言え上野とはいいながら最寄り駅は入谷だそうです。
歩きたくないかたはぜひぜひ入谷からお越し下さいね。

さてまだまだ半年以上も先ですがこんな時期に上演を発表できるのは
6年振りぐらいだと思います。
社会人になってからはとりあえず仕事のスケジュールの合間を縫っての公演だったので
仕事のスケジュールが出ないと何も決められず結局いつも
ぎりぎりに色んなことを決める感じになっておりました。
CDMLの初演に至っては2ヶ月前に一念発起したぐらいです。

まあ今回も条件は全く変わらないしまだ仕事のスケジュールも見えませんが
とにかく何はともあれ上演を決めてあとはどうにかしてやるぞという意気込みです。
NYで吸収したものを何かにぶつけないともったいない気がしますからね。

さて今週はなんだかんだでたっぷり観てます。


Faust

言わずと知れたゲーテのファウストのオペラ版です。
メットでラッシュに並んでチケットをゲットしたのですがズルが板に付いて来たのか
空いてる席にひょいと座って前から10列目のセンターセクションで観ちゃいました。
やっぱり近いと迫力が違います。
オケの音も、歌手の声も全然違うもんですね。
300ドル以上払ってこの席を買う人の気持ちがわかりました。
まあ理解できても不可能なことですけどね。
作品的には主人公を物理学者に置き換えての上演。
原爆を作る科学者が悪魔にそそのかされて罪を犯し堕ちて行くわけですが
オペラ化されているのはファウストの第一部と呼ばれる部分なので
ちょっと話がまとまりきれないですね。
とは言えこれまた長い作品です。パーシファルよりは短くシーンも多いので
そこまで飽きずに観ることができました。
演出は「ジャージー・ボーイズ」なんかを演出している人で全体的に
スタイリッシュにはまとめてるんだけどもっとエッジが効いてても良かったな。
あえて原爆の科学者を主人公にしたのにその設定だけが全面に出されるだけで
その後ろに潜む恐怖や悲哀がそこまで引き立っていなかった。
特に日本人としては広島の原爆ドームが写されていることに違和感を感じた。
象徴として毒々しさを狙ったのかもしれないが薄っぺらく感じてしまった。
全体的にはまとまっているのだが別に素晴らしい出来ではなかった。
そのせいか空席も目立っていた。人気のない作品だったんだと納得。


Kafka's Monkey

カフカの短編「ある学会での報告」を元にしたキャサリン・ハンターの一人芝居。
キャサリン・ハンターは日本でも知ってる人がいるぐらい有名なイギリス人女優。
オリヴィエ賞も獲得している実力派。
とにかくフィジカルが凄い。
身体の使い方一つ一つがエネルギッシュで意味を持っている。
内容は小さい頃に引き取られて人間に育てられたチンパンジーが
人間として生活していてそれまでの人(猿)生を観客に話す仕立て。
先日観た「トレバー」というチンパンジーの芝居に通じる物があった。
なんといっても本当にチンパンジーに見えて来るから不思議である。
声の出し方、表情、しぐさ、どれをとってもリアルにそこにある。
想像力や型で表現するんではなく実際にそこにチンパンジーがいるのだ。
はっきり言って彼女だからできることだろう。
ずば抜けた身体性がなせる技である。
この上演が行われた場所がまたびっくりで
バリシニコフシアターという場所で
あのバリシニコフが芸術監督の劇場なのである。
NYにはこんな劇場もあるんだなあと感心。


I Know What Boys Want

インターネット世代のティーンエイジャー達を主人公にしたストレート。
内容はよくある話で恋人との情事を隠し撮りされて
それがfacebookやら動画投稿サイトに投稿されて心に傷を負う的な話。
実際最近そんな事件の裁判が行われて実刑判決がでたばかりなので
タイムリーな話題ではある。
まあ5ドルの芝居ですからそれなりの仕上がりです。
脚本も俳優も演出もいまいち。
同じ5ドルでもキャサリン・ハンターが観れるのに不思議なもんです。


For Love

アイルランドの結婚に行き遅れた30代女性達の物語。
現代のアイルランドのアラサーを切り取ったような内容で
なかなか面白かったんだけどアイルランド訛がかなりきつくて聞き取りづらかった。
当然劇場自体がアイリッシュ・レパートリーシアターなもんで
生粋のアイルランド人俳優達。
言葉の壁をしっかり感じました。
内容自体はラフな恋愛にまつわる悲喜こもごも。
3人の女性達がお互いに先の見えない恋愛に奮闘する姿は面白可笑しくもあり
どこか寂しさが漂うあたりがアイルランド的。
そろそろ30にさしかかるわけで
あと1年半で大台にのることを考えると人ごとではありませんね。
セットはいっさいなくて椅子だけ。
簡素だけど機能的でよくまとまってました。


Here Lise Love

莫大な靴で有名なフィリピンの元ファーストレディー
イメルダ・マルコスの生涯を描いたミュージカル。
本人はまだご存命ですからなかなか面白い試みですね。
それでまた音楽がファット・ボーイスリム。
無茶苦茶な取り合わせ。
この不思議な取り合わせを企画するのが
パブリック・シアターというのがまた素晴らしい。
日本で言えば
文学座でデヴィ夫人のミュージカルをリップスライムが作るようなもんです。
こういうわけわかんない作品が次々生まれるからNYは面白い。
演出は最近パブリックでよく活躍してる
「ブラッディー・ブラッディー・アンドリュージャクソン」で
トニー賞にノミネートされた人。
まあストーリーはそこまで深くありません。
彼女の人生をなんとなくなぞって行くだけですが
上演形式がなんというかクラブのパーティーに参加する感じ。
広いフロアに可動式のステージがいくつかありその上を
縦横無尽に俳優が動き回り、ステージも動き回るもんだから
観客は係員の指示に従って右往左往させられます。
延々とヒップホップやテクノな音楽が鳴り響きもう意味不明。
とにかくインタラクティブを売りにしたショーなので
お酒をあおって盛り上がりたい人にはもってこい。
一人でノリの悪い日本人が行くとかなり恥ずかしい思いをしますが
まあパフォーマンス自体はかなり面白いので耐え忍んで観て来ました。
音楽もメロディーなんかはなかなかキャッチーで耳に残る。
なかなか新しく面白い作品でした。
ただ一人で行った事に後悔しましたね。


ひこばえ

東日本大震災で被災した福島の相馬市を舞台にした作品。
日本で過去に上演されたものを今回はNYで上演ということで
色々と手を加えたとの事。
とにかく休憩もなく2時間半なのでかなり長かったのがもったいないのですが
中身はきちんとしてました。
個人的にはこういうテーマを扱うことに若干抵抗があるので
自分の目指す物ではありませんが彼らの熱意や思いはしっかり
観客に届いていたようです。
実際に亡くなった人がいる。彼らの気持ちや残された人々の気持ちを
代弁できる程の物を書く自信が持てない自分がいるわけで
それができることは素晴らしいと思います。
自分が書く物に責任を持てるかどうか。
いつまでも立ちふさがる大きな壁です。
芝居なんて絵空事でいいんだよって言われるけど
実際に起きた事、実際に存在した人を扱うってのは
本当に勇気がいります。
いつかはそんなものが書けるようになりたいものです。


The Norwegians

ノルウェイ人のヒットマン2人に別れた彼氏を殺して欲しいと
お願いする女性とその友人を描くオフオフのストレート。
NYにいると人種というテーマは本当にどこにいってもぶつかる。
それを面白おかしく扱ってちゃかすものもあれば
逆に物凄くシリアスに社会的に扱う作品もある。
テレビを観ていても人種ネタは普通である。
人種問題に敏感でありながらネタには寛容というお国柄なのだろうか。
笑いのつぼがかなりブラックなんですね。
こんなこと日本では絶対に許されないということもジョークという
言葉を借りると許される。
このラフな感覚が日本人とは少し違うのかもしれません。
差別ではなくて区別をしっかりしているのがニューヨーカーなんでしょうね。
人の好き嫌いは誰にだってある訳ですから
いちいち言葉尻で目くじら立てるよりお互いに笑い飛ばした方が楽しいってなもんです。
未だに根強く残る差別という問題も確かにある。
でもそれらをこうやってちゃかすことができる人もいる。
アイロニーでありブラックな笑いなわけです。
そんなことを考えさせられる作品でした。
ノルウェイ人の朴訥な感じがとても好感が持てて面白かった。
同じオフやオフオフ作品でも俳優の質が違うのは不思議である。
小さい所だとやはり専属俳優のいる団体の方が質の高い俳優が多い気がする。
これも面白いもんだ。


Nicolai and the Others

ニューヨーク・シティーバレエの設立者であるジョージ・バランシンと
彼に沢山の楽曲を提供した世界的な音楽家イゴール・ストラヴィンスキーが
オルフェウスというバレエ作品を作り上げる過程を当時CIAの援助を元に
ロシア人の芸術家を支援するプロジェクトを取り仕切っていた
ニコライという作曲家を通して描いたオフのストレート作品。
なかなか面白かった。
とにかくこの歴史的事実が面白い。
当時は冷戦下でソヴィエトに文化的にも対抗するべきだと
アメリカ国内のロシア人芸術家に素晴らしい成果をあげさせようと
CIAが彼らを支援していたらしい。
アメリカって凄いなあと感心。
戦争に勝つ為に芸術家をプロパガンダとして利用するわけです。
決して褒められた動機ではありませんが
結果としてアメリカを代表するバレエ団が生まれたのです。
一人の芸術家として、エージェントして自分のやるべきことに葛藤する
ニコライの姿はとても共感できるところがありました。
人を支援することよりも自分の作品を作りたい。
だけど自分にはストラヴィンスキー程の才能を感じられない。
結局彼はエージェントとしての道を歩み続けるわけです。
バレエシーンもありなかなか見応えのある作品でした。


I'll Eat You Last a Chat With Sue Mengers

ベッド・ミドラーがブロードウェイに帰って来ました。
定かではありませんが30年前にフィドラーのアンサンブルでの出演が最後だったとか・・・
いやいやそんな歴史があるんですね。
そんな彼女も今では押しも押されぬ大女優であり歌手。
今回は数多くのハリウッドスターを顧客に抱えた伝説的エージェント
スー・メンガーを一人で演じきるわけです。
バーバラ・ストライサンド、マーロン・ブランド、スティーブ・マックイーンなどなど
もう数えたらきりがないほど。
しかもブライアン・デ・パルマや、ボブ・フォッシーも顧客だったとか。
本当に力のあるエージェントだったようです。
日本人の僕にはどんどん出て来る固有名詞がそこまで馴染みがないのでピンときませんが
観客は名前が出る度に大爆笑。
お約束のゴシップネタ、スキャンダルネタを暴露し揶揄しながら
一人でひたすらおしゃべり。
相手の居ない徹子の部屋みたいなもんですね。
とにかくオーラが凄い。
一人で喋ってるだけなんですが観客の掴み方、間合い、声の扱い方
どれをとっても無駄がなくそして効果的。
晩年の黄昏時を感じさせながらも面白可笑しく喋るさまが
ひたひたと心を打ちます。
まだプレビュー中で台詞に詰まって「Line!」
とか言っちゃうんですが
まったくもって動じない。溢れる自信と存在感。
彼女の魅力がとても引き出された作品でした。
演出はジョー・マンテロ。
特に彼らしいトリッキーなことはないのですが
きっちり丁寧に作ってあります。さすがです。
早口なもんでかなり理解できない部分が多かったのが残念。
でも観れてよかった。かなり売れ行きがいいようです。


Macbeth

この作品もスターが出演しています。
キャバレーの再演でMCを演じたアラン・カミング主演のこれまた一人芝居。
まあ厳密に言えば他にも2人出て来るんですが台詞もほとんどないし
彼の一人芝居と言っていいと思います。
舞台を現代のサナトリウムに移して
統合失調症の患者が閉じ込められている病室の中で
気が狂ったようにマクベスを演じ始める。
もう設定自体が反則的な切り口。
最初から最後まで全てのキャラクターを演じ分けるわけです。
セットは冷たいサナトリウムが再現され
入浴シーンやらカラスのはらわたをむしり取ったりと
刺激的なシーンが沢山。
感心したのは三人の魔女を3つの監視カメラに見立て
それぞれのカメラに写る映像が3つのモニターに映る。
それぞれにアランの顔が映るんですね。
よくできてる。
とにかく主演の演技力、集中力には脱帽です。
一人でマクベスを演じきるわけですからまあ恐ろしい。
演出的にはとてもエッジの効いた仕上がり。
個人的には音楽がやや全体的に優しすぎる気がしましたが
それも敢えてなのかもしれないと思わせる何かがありました。
演出がONCEの共同演出家の一人。
こういう作品も演出できるなんて幅広いですね。
アラン・カミングだからできること。
そんな作品でした。
僕の隣の隣にライザ・ミネリが座ってました。
誰よりもエネルギッシュに声援を送っていたのが印象的です。
キャバレーつながりですかね。


Silen's Heart

マリリン・モンローの生涯を描いた一人ミュージカル。
別にこれといって何が悪いというわけでもないのですが
なんとなく魅力的に感じない作品でした。
作品の形式がいわゆるキャバレーショウスタイルだったこともあるかもしれません。
つまりストーリー自体には何もひねりがなく
ただマリリンの私生活や思い出を語るだけなので
マリリンファンには楽しめるかもしれませんが
そこまでマリリンフリークではないので
なんとも乗り切れないという感じでした。
音楽もキャバレーソングという感じで
よく言えば耳馴染みのいい曲ばかり。
同じ題材でももっとアーティスティックに
もしくはドラマティックに描くことができるだろうに
ちょっともったいないですね。
それでも5ドルで観れてお土産のCDまで貰えたからまあよしとします。
おじいちゃんおばあちゃんがほとんどなんで
これはこれでいいのかもしれません。


Julius Caesar

こちらもシェイクスピアの名作。
プロダクションはRSC。
舞台の設定を現代のアフリカに移しての上演。
この設定が不思議とよくはまってて感心。
アフリカの軍事政権の将軍シーザー。
まさにカダフィー大佐みたいなもんです。
そんなシーザーを暗殺しようと画策する軍人達。
不安定な現代のアフリカが浮き彫りにされていて
さすが世界一のシェイクスピアカンパニーです。
演出はグレゴリー・ドーラン。
日本でもいくつか演出してる方。
本当によくできていた。
アフリカ訛の英語なのでこれまた聞き取りにくいのですが
そもそもシェイクスピアの台詞は難しい。
マクベスもそうでしたが詩的な言い回しや台詞は
本当に理解が追いつきません。
もっと語学力が欲しいと切に思います。
それにしてもほとんど転換のない構成舞台で
かなりダイナミックな仕上がりでした。
オール黒人キャストというのもかなり見応えがあります。
アフリカの今を400年以上も昔の作品が表現できる。
シェイクスピアの深さを感じます。
国を本当に思う清廉潔白な政治家が報われない最後を迎える。
結局目先の利益やアジテートに騙される愚かな民衆はいつの世も変わりません。
アフリカであれアメリカであれ日本であれ。
本当に正しいことはなんなのか?
真理はなんなのかを追求できる思慮深さを持つべきですが
それができないのが人間です。
人間が乗り越える事ができない壁を400年前から突きつけられているわけです。
北朝鮮しかり右傾化する日本しかり。
国家というくくりが存在しうる限りこの壁は乗り越えられないのでしょう。
いつの日か国という共同体が消えてなくなる日が来るのなら希望はあるのかもしれません。
自分が生きてるうちにはなり得ないので
微力ではありますが自分なりに思慮深く生きて行こうと思います。


The Dance of Death

ストリンドベリの「死の舞踏」です。
翻訳戯曲だからなのかかなり言葉が聞き取りやすかった。
人生の終わりが差し迫りお互いに憎しみののしり合いながら
不毛な人生を後悔し、相手のせいにする老夫婦の話。
死に直面した夫とやっと解放されると喜ぶ妻。
そこに訪れる従兄弟。
とにかく辛辣な二人の相手に対する物言いが
どこまで本気なのかどこまで冗談なのか。
本当に二人は憎しみあっているのか?
「ヴァージニアウルフなんか怖くない」を彷彿とさせるのですが
こっちの方が全然古い作品ですから逆に凄いなと思います。
客席では口々に「ヴァージニア・・・」というつぶやきが聞こえてました。
お互いに相手を出し抜く為に嘘を付き合い騙し合う中
見え隠れする情がどことなくしんみりさせます。
でも最後には人間の狂気が冷たくひと刺し。
人生に何を求め誰が必要なのか。
銀婚式を迎える老夫婦を通して人間の嫌らしい醜さと弱さ
愛らしさが見て取れます。
人生の結果を誰かのせいにする。
これは一番簡単な納得のさせ方だと思います。
また誰かの犠牲の上に誰かの幸せがある。
これも大きな視点でみれば残念ながら事実です。
望んだ人生を叶えられなかった時
人間はどう死んで行くのか?
どう死ぬべきなのか?
自分の人生と照らし合わせて見入るおじいちゃん、おばあちゃん達が
またなんだか良い顔してました。
結果的には誰かのせいでもあるでしょう。
誰かを犠牲にして何かを掴んだでしょう。
ただその結果を共有できる誰かがいるのかいないのか?
その相手が一番の救いになるのかもしれません。
人間は一人では生きて行けないというのはそういうこともあるのでしょう。
誰かのせいにし、誰かを踏み台にして、誰かと慰め合う。
そんな人間の生き様を感じました。



という感じで今回は13本。
結構みましたね。
今回は文学作品が多かったかな。
ゲーテ、カフカ、シェイクスピアにストリンドベリ。
偉大な劇作家は人生を色んな形に定義しています。
やはり演劇というのは人生を描く物なんだなと再確認。
どう生きたか? どう死んだか?
どっちの方向から描くかの違いですが
人生を描くには違いない。

もっと人生を描けるようになりたいですね。

次回作品は人生を描けているでしょうか?
ある意味タイトルが「Second of Life」ですからね
描けてなきゃ駄目ですね。

ではまた書きます。




























コメント
この記事をはてなブックマークに追加

新作上演決定!!

2013-04-09 17:46:20 | tiptap
HPやらtwitter、などで発表しちゃいましたが、
12月に新作の上演が決まりました。

まだまだ先の話ですがぜひぜひ頭のどこかに置いといて頂ければ幸いです。
Count Down My Life とは違ったラブストーリーと言える作品でしょうかね。

一応タイトルは

「Second of Life」

どんな意味が込めれられているのかは作品を見終わらないと
わからないかもしれませんね。

音楽は我らの小澤時史氏が書き上げます。
まだまだキャスティングもこれから、作曲もこれからですが
一応初稿はあがっております。
さあどうなることやら。

劇場は「上野ストアハウス」名前は上野ですが最寄りは入谷駅です。

今なら出演者もスタッフも大募集中です!

今回は男性二人、女性二人になるのかな。
まだまだ未定ですが我こそはという俳優の皆様どしどしお問い合わせ下さい。
更にぜひこの人をというお声も大歓迎です。
キャストの詳細、内容に関しては気軽にお問い合わせ下さい。
また詳細が決まり次第ご報告します。

NYからではありますが公演の準備をどんどん進めて行きますので
どうぞご期待下さい!!

コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

お芝居が面白い

2013-04-01 00:39:41 | tiptap
ミュージカルのオープンラッシュが一段落したところで
今度はどっとお芝居が開きました。
この調子で4月いっぱいは5月のトニー賞のノミネート締め切りまで
オープンが続きます。
毎日オン作品を観てるとちょっとお金がやばいですね。
ラッシュに並んでも30ドルはしちゃいますから
普段5ドルで芝居を観てる身としてはなかなか辛い。
まあでもお値段払った分だけはきちんと堪能してる気もするからいいのかな。


Macbeth

これは野村萬斎さんのNY公演。
ジャパンソサイエティーという小さな劇場での上演だったので
きっと色々とダウンサイズしたのかなあという感じ。
昔オイディプスを観たときのイメージが凄く強くて
なんか壮大で美しい世界を勝手に期待してたんだけど
ちょっと違いましたね。
最近どうしても言葉がわからない環境で芝居を観る事が多いせいか
視覚的な印象や言葉が伝わらなくても伝わることに集中していたみたいで
逆に日本語での上演だと言葉が気になって仕方ないんだなあとびっくり。
なんとなく入り込めなかった気がしたんですが
ここ最近観ていた作品の多くが型を通さずに
ただそこにあるそのままの気持ちや感覚が伝わって来る物ばかりだったからかも。
様式的な演出が昔から苦手だったことを思い出しました。
「面白い」けど心が動かない感じですね。
好みに偏りがあるようでいいんだか悪いんだか。


The Assembled Parties

フレンズのロスの最初の奥さんキャロルの彼女スーザン役をやっていた女優さんが主役のストレート。
しかも相手はアグリー・ベティの編集長のお母さん役の女優。
どちらも実力派女優ということでなかなか面白かった。
セントラル・パーク沿いのアパートメントを舞台に
1幕は20年前のクリスマス、2幕は20年後のクリスマスを描いた作品。
20年という歳月が流れた結果ばらばらになってしまった家族。
老いに直面し伴侶や最愛の息子を失った女性。
特に目新しくもなく斬新な作品ではない。
ただ淡々と一つのアパートメントを舞台に彼女達のクリスマスが描かれるだけ。
ドラマとしての盛り上がりもそこまでないのだが
どことなくあったかさと切なさが募る作品。
上品なホームドラマと言った感じです。
一幕はやや睡魔に襲われましたが二幕はしっかり観れました。
新作でレビューもないからなかなか難しいところですが
まあなんとかストーリーはおえたかな。


Faithbook

演劇学校の友人が帰国前に上演していたレヴューショウ。
自分で構成を書いて演出をしたとのこと。
なかなか大変だったと思います。
彼は沖縄出身で帰国後はカフェシアターを始めるそうです。
とっても楽しみですね。
いつか沖縄で公演させてもらいたいなあ。


The Call

白人の子供のできないカップルがアフリカの孤児を養子にもらうというオフのストレート。
題材がとても面白かった。
生まれたばかりの赤ちゃんがいいのに割り当てられたのは
どうみても4歳以上の娘。
彼女をもらうべきなのかどうか。
黒人の娘を持つ白人の母親として
肌の色の違い、髪の毛の違いなど何一つ自分とは違う娘を
育てられるかと不安に苛まれる。
貰われないと死んでしまうことになる一人の少女を巡って
それぞれが自分の理想と命の重さを考える作品。
ファッションのようにアフリカの孤児を養子にするセレブ達。
お金も名声もある彼らには簡単な事かもしれないが
子供を持つ事が一番の夢だったら。
理想の子供が欲しい、せめて自分以外の親の記憶を持ってない子供がいい。
そう思うのは当然の事のような気がします。
この作品の終わりは結局その4歳の娘を貰い受けるのですが
そこには夫が過去にアフリカで出会った別の少女の思い出や
その時に亡くした親友のことなど色々な要因があっての結論です。
自分だったらどうするのだろう・・・
自分の気持ち一つで一つの命が救えるだけどそれは理想とはほど遠い。
エゴであり善意であり答えは誰にもわからないけど
現実的に今も死んで行く子供達がいる。
なかなか社会派な作品で考えさせられます。
リアリティーのある芝居で入り込みやすかった。


Nance

まだゲイが弾圧されていた時代にフェミニンな芸風で活躍していた
バーレスクの座長をネイサン・レインが演じるオンのストレート。
前から2列目のセンターだったのでなんだか得した気分。
セットがなかなか好みでよかった。
盆の上に劇場のステージと袖、バックヤードをしっかり作り込んであり
転換中に盆が回ると色んな角度から覗けて臨場感たっぷり。
反対側には主人公のアパートが飾られている。
まあストーリーには特にひねりがなく
最初から想像通りでゲイの主人公が若い男の子を引っ掛けて
幸せに暮らすんだけど取り締まりが厳しくなって公演が続けられなくなり
しまいには逮捕されてしまう。そんでもって男の子ともこれ以上深入りできないと
自ら別れを切り出したりして結局劇場を追われることになり
一人寂しく劇場に佇む主人公に哀愁漂う感じ。
笑いあり歌あり踊りありでストレートなんだけど
どちらかと言えば音楽劇って感じです。
さすが名優ネイサン・レイン。
表情ひとつひとつに味がありますね。
作品自体は秀作というわけではありませんが
駄作でもなくそれなりの質を保った良作といところです。
ちょっと下品な描写が多いので苦手な方はいるかもですが
気楽にお酒でも煽って観るのにいいかも。
当時の厳しい現実を突きつけられる最後はなかなか演出がいい。
華やかさは終わりがあるから美しい。
そんなことを感じさせる作品。


Pippin

初演はフォッシーの演出でトニー賞まで獲得してる伝説的な作品。
今でもこの作品のファンは結構いるようです。
音楽はウィキッドのスティブン・シュワルツだし作品としての
ポテンシャル自体はかなり高い作品。
今回はリヴァイバル職人ダイアン・ポーラーが演出。
ヘアーとかポギー&ベスのリヴァイバルをやってた人です。
とにかくコンセプトはサーカスということで
これでもかというほど曲芸のオンパレードです。
エンターテイメントとしてはばっちりですね。
初演では男性が演じていたサーカスの座長の役を
今回は女性が演じるというというのも面白い。
この女優さんシスター・アクトの主演の人。
びっくりするぐらい踊るんだけどまあキレがあって素晴らしい。
歌も当然超絶に上手くてこんなに踊れる人がいるんだなあ。
日本じゃ絶対に出会えない。
全体的な振りはフォッシー風でとてもいい。
ただこのコンセプトとしてのサーカスが効果的な部分もあれば
ちょっと物語を逸脱させ過ぎていて無駄に感じるところもあった。
更に言えばもっと綿密に美しさや絵を整えることもできそう。
好みかもしれないがサーカス部分よりもフォッシースタイルで
踊ってくれる方がぞくぞくできた。
まだプレビュー中だから改善中かもしれない。
ストーリーはとてもいい作品だから
個人的にはもう少し物語りとしての成立に力を割いて欲しかった。
人生とは何かを問いかける作品なだけに
サーカスという夢が詰まった華やかさによって際立つ
人生の影、人生の不条理、人生の葛藤などなどがもっとみたかった。
エンターテイメントとしてはお腹いっぱいになるけど
作品の旨味がちょっと浅くなってしまったかな。
この世界がサーカスという夢物語のなかで繰り広げられるコンセプトは
とても共感できるからこそもっと上を目指せる作品だと思ってしまう。
とは言え俳優陣は本当に素晴らしかった。


Orphans

アレック・ボールドウィンが出てるオンのストレートのリヴァイバル。
孤児の兄弟とひょんなことから一緒に暮らすことになる
元孤児のマフィアのボス。
親子のように暮らしていくうちに芽生える愛情や幸せ。
そして弟を大切にするあまり手放せないでいる兄。
結果的にはマフィアが死んでしまって兄弟が悲しみに暮れるという悲劇ですが
作品は全体的に笑いが絶えず面白い。
孤児の兄弟の兄役の人は稽古の途中で降板した俳優の代わりに出演する事が決まったとかで
きっと大変だっただろうなと察しながら観てしまった。
それでもなかなかの好演でほとんど舞台経験んがない割りにはよくやっていた。
弟役の俳優は大好きな映画「パイレーツ・ロック」の主人公を演じていた俳優だった。
まったくイメージの違う芝居で感心させられた。
アレック・ボールドウィンはまあアレック・ボールドウィンなわけなんだけど
なんかこうあの揺るがない感じは凄い。
色々と素行に問題があるらしく共演者と揉めることで有名らしいが
あれだけ舞台の上で自由にキャラクターを自分に近づけて演じられるのに
不思議である。
作品的には演出家が秋にアル・パチーノのグレンギャリー・グレン・ロスを演出してた人なんだけど
その時ははっきり言って演出家としての才能を感じなかったんだが今回はなかなか
ポップに作ってあって面白く観れた。
別に驚くようなことはなくわかりやすく丁寧にというお利口さんな感じではあるが
はずさずに上手くまとまっていた。
最後のシーンはとてもよくてぐっと心をつかまれる。
荒削りなんだけど兄役の俳優の最後の芝居はなかなかだった。
これも1幕はちょっとうとうと。2幕はばっちりという感じ。
1幕ではメザニンの一番後ろだったから更にね。
2幕になってこっそり空席に移動したのでかなり集中力があがりました。
言葉がわからない身としては近さは死活もんだいですからね。


The Testament of Mary

これはとにかく凄かった。脚本も演出も女優も。オンのストレート作品。
舞台はエフェソスというその昔ローマ帝国に治められていた街にある
マリアの家と呼ばれる場所。
劇場に入ると舞台上にあがれてその遺跡的なところの見学ができる。
といってもセットは古代の感じではなく
普通のパイプ椅子が数個置いてあったり折りたたみの長机があったり。
遺跡的な壷とか有刺鉄線とかなんとなくキリストを匂わせるようなものもある。
本物の禿鷹が切り株にくくられていてなんだか不思議な空間。
そこに透明なアクリルでできた箱の中に微動だにしない女性が入っている。
どうやらマリア様らしい。
この作品は同名の小説を元にしていて内容は
キリストの母親としてのマリアを描いたもの。
キリストの死に直面したとき一人の母親として息子の死をどう捉えたのか?
着眼点が面白い。そして深い。
熱心なクリスチャンが上演反対デモを行ったりするぐらいの内容。
神格化されている聖母マリアの母親としての側面を掘り起こす試みは
カトリック教会にとってはタブーのようなもの。
そこにあえて光を当て生々しい一人の人間として描き出した事は
とても勇気のあることであり賞讃すべきことだろう。
更にこのマリアが自ら息子が磔刑にかけられる近辺の話を語る。
設定としては現在で、その崇められているマリアが観客にあの頃はね・・・
っていいながら語る訳でコントみたいなもんである。
ある意味シュール。
この設定のおかげでこんな重たい内容のわりに笑いが結構おきる。
こういう信仰の根幹を揺るがすような作品を上演するというのは
宗教という文化が社会を支えているアメリカではとても大変なことである。
日本人にはわかりかねる感覚だが
本当にキリストを神の子だと信じている人達にとっては
あってはならないことである。
そこにあえて切り込んで行くところが凄い。
ある意味ユダヤ教徒の多いNYだから可能なのかもしれない。
それにしてもこの重たい内容を一人で女優が演じきる。
まさに体当たりというか何かが憑依したような彼女の台詞、振る舞い。
Fiona Shawという女優さんなのだがトニー賞ではノミネートしかないらしいが
本国イギリスではオリビエ賞を何度も獲得した大女優。
さすがであった。まさに圧巻。最前列だったので食い入るように観ていたのだが
まったくもってその人そのものにしか見えない。
恐ろしい程の説得力である。
息子を救えなかった苦しみに苛まれる母親。
自分の息子ではなく神の子だと宣言する息子に何も言えない母親。
奇跡を目の当たりにするが素直に喜べない母親。
磔刑に向かう息子を眺めるだけしか出来ない母親。
一瞬一瞬を思い出し気が触れたように叫び苦しむ姿は痛々しく
彼女の苦しみがひしひしと伝わって来た。
一人の母親としての愛情と世界を救うという大義に翻弄され
今なお人々から一方的に崇められている彼女の終わらない苦しみ。
人間の存在。世界の存在まで考えさせられる。
主演の彼女と演出家はかなり長い間コラボレーションをしているようで
大仰ではないがシンプルで効果的な演出が利いた作品だった。
休憩なしでまったく息つく暇もなくあっという間に終わった印象だった。
次回作の参考になるシーンもあったりしてかなりの収穫。


The Trip of Bountiful

同名映画ではアカデミーの初演女優賞を獲得してい作品。
オンのストレートなのだがなかなか俳優陣が豪華。
オスカー俳優、エミー俳優、トニー俳優ばかり。
息子の嫁とうまくいかない姑が死ぬ前に一度は帰りたいと
こっそり年金の小切手を持ち出し一人で故郷まで度をする話。
この意地悪な嫁を演じてるのがヴァネッサ・ウィリアムズ。
トニーにもノミネートされる女優だが歌手でもあり
テレビではアグリー・ベティーで意地悪編集長をやってた人。
さすがはまり役でした。
それから主演のおばあちゃんがかなりいい。
この女優さんなんと昔マイルス・デイヴィスの奥さんだったそうです。
キャリアも素晴らしくオスカーにはノミネートされてるは
黒人女性で初めてエミー賞はもらってるはで名優の域の人らしい。
渡る世間は鬼ばかりを姑の視点から見てロードムービー仕立てにしたような作品。
愛していない夫と結婚してしまったから夫には悪い事をしたと後悔するおばあちゃん。
その罰が自分に返って来てるから今辛いのは仕方ないんだと納得してみたり。
愛すべき故郷が荒れ果て初恋の相手も死んでしまい
幼馴染も死んでしまい全てが消えて行く中昔暮らした家の前で
感慨深く家を眺める姿は印象深かった。
幕切れはその家から立ち去るのに名残惜しく手を振る切なさ。
家族のあり方、人生の終わり方を考えさせられた。
誰にだって人生はあってそれぞれの物がある。
その物語は一つとして同じじゃないわけで
そんなじんせいの物語をこうやって垣間見ることができるから
芝居ってのは面白いんだと思う。
しかも伝える為に何かをやるんじゃなくて
そこにあるから勝手に伝わるってぐらいそこに生きてる。
そんなことを感じられる芝居に触れてる時はなんか不思議である。
言ってしまえばただの錯覚なんだけど
心が動くんだからそれでいいんだ。

想像させて考えさせることができるといいな。
押し付けるんじゃなくて勝手にこっちがそうなるような。
この感覚はミュージカルだと作りにくいからなあ。
上手く作って行きたいですね。

脚本もとりあえず書き上げたもんだからちょっとだけ一段落。
色々と次の準備にとりかからなくては。
計画してるときは本当にわくわくしますからね。
想像だけは自由ですから。
新年度の始まりということで。

ではまた書きます。









コメント (1)
この記事をはてなブックマークに追加