世界一面白いミュージカルの作り方

早稲田発小劇場系ミュージカルプロデュースユニットTipTapのブログです。
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あっという間の半年。

2013-02-22 02:14:35 | tiptap
もう2月も終わりに近づいて来ました。
気づけば前家賃の6ヶ月も終わり今月から家賃の支払いが始まってしまう。
あっという間に半年が過ぎてしまいました。
今年に入ってからの2ヶ月は結構ゆったりしていたので
3月からはちょっと忙しくなるのでしょう。
学校がない日々のお陰でほぼ毎日1本は観劇。
予習が上手く行けばだいぶ作品理解も出来るようになってきました。
ほとんどストレートプレイの毎日です。


Luck of The Irish

人種差別が激しい時代に白人住宅地に家を買えなかった裕福な黒人夫婦が
貧しいアイルランド移民夫婦に名前を借りて家を買う話。
現代と過去をうまく舞台上に共存させる美しいセットが印象的だった。
アクリルを上手く使った抽象的なパネルと芝生に床。
以前Cookという芝居で好演していた女優が今回も良かった。
終盤の老婆の芝居がまたいい塩梅で悲哀に充ちていて心を打たれる。
本も演出もまあまとまっている感じ。
リンカーンセンターの若手発掘プロジェクトの一貫。
こっちは若いうちから色んなところで演出できたり脚本を書かせてくれる。
こういう環境がいつも羨ましいと思ってしまうが
それを日本で実現するためにここに来てるんだからと日々思う。


Really Really

今の大学生達の生活を切り取った青春ドラマ。
OffBroadwayの登竜門的な劇場ルーテル・ロタールでやってました。
この劇場の前にはハリウッドのウォーク・オブ・フェームみたいに
上演された劇作家の名前が星の敷石に刻まれてます。
三島由紀夫も刻まれてました。なんだか嬉しい気がします。
作品自体はよくある話なんですが演出がTribeというなかなか良かった芝居の
演出家でまったく違うタッチの作品仕上がりなもんで感心しました。
ゲートのような引き枠と家具を動かしてシーンを作って行く様はなかなか
飽きさせず面白かったのですがちょっと転換自体が慣れていないのか美しくない。
もうちょっと洗練されていくのかな。
妊娠あり堕胎ありレイプありでちょっと古いけどビバリーヒルズ青春白書みたいな感じ。
はあ、男って本当にバカだなあとつくづく思う。
上手く行けば女性の賢さと強さ、恐ろしさに身震いできる作品。
真実と事実は違うって話。
個人的にはなかなか面白かった。


The Madrid

こちらで人気のドラマ「ナース・ジャッキー」の主演女優の主演舞台。
なかなか実力派らしく舞台でもかなり実績を残している方みたい。
ある日突然奥さんが家を出ていって帰ってこない。残された旦那と娘は帰りを待つけど
娘だけがこっそり母親と会っていて家族の絆を取り戻して行く的な話。
Murder Ballad でお父さんみたいな旦那役をやってた俳優が
今度はきちんと釣り合いのとれた夫婦で観やすかった。
セットは具体的な家の飾りとそれぞれのドアが各場を表していく。
奥さんが暮らしてるおんぼろアパートが「Madrid」って名前みたい。
ちょっと脚本的には腑に落ちないところがいくつかあったのだが
これもまた語学がおぼつかないからだろうか。
プレビュー中で初演作品のため予習ができずに辛かったなあ。
とは言え中年の危機、老人介護、浮気、ロリコンなどなど
淡々としている中扱っていることはまあそれなりにあった。
無駄なく演出された良作という感じ。
ムーヴィングセールのシーンはなかなか綺麗だった。


Clive

イーサン・ホーク主演、演出の作品。
ブレヒトのバールという作品を90年代のNYに置き換えて
ミュージカルにした感じ。
そもそも主演で演出ってどうなんだ?って話ですが
まあ一度はやってみたくなりますよね。
昔それに近い事もあったような気がしますが
やはり案の定駄目な仕上がりでしたね。
セットはなかなか凝っててセットの至る所が楽器になっていて
その楽器で全てのSEやらBGMを実際に演奏しながら上演されるんですが
残念なことにその演奏者がちょこまかちょこまか楽器を演奏しながら
歩きまわるのがどうも見苦しくて。
まあ芝居自体もちょっと観てられない感じ。
イーサン・ホークのキャラクターがもう
ナルシスト全開過ぎてぶっとんでて魅力を感じない。
舌ったらずの志茂田景樹みたいな感じなんだもん。
まわりの俳優もちょっと実力不足。
演出自体も無駄が多いしいちいちくどい。
これだけ異質なキャラクターなら世界観にもっと引き込まないとなあ。
序盤のコミカルな部分がまったく機能せず滑りまくってチープになり
どうみたらいいかわかんない感じになってる。
もったいないなあ。
結構期待してたんだけどなあ。
因にイーサンは歌がうまくありません。


Woman of Will

シェイクスピア劇における女性のキャラクターの描かれ方を通して
シェイクスピアを読み解く作品。
おばあちゃんとおじちゃんぐらいの二人でひたすらシェイクスピアの
名シーンを演じて解説していく。
お気に召すまま、マクベス、オセロ、ハムレット、ペリクレス、ロミジュリなどなど。
少女から魔女までなんでもやるおばあちゃん。
なかなか迫真の演技で見応えあった。
とにかく長い作品でしたがなかなか勉強になった作品。
遠い昔に読んだ作品のことを久しぶりに思い出したりして
色々と考えさせられた。
それにしてもシェイクスピアって凄いなあと再確認。
400年以上も昔に書いた物が今でも沢山上演されるんだから。
脚本家として彼をこえる偉人は当分現れないでしょう。
100年後にCDMLとか上演されてたらいいけどなあ。
誰かにお願いしたいものです。


This Clement World

歌手でありアルコール依存症であるパフォーマーの
環境問題をテーマにしたドキュメンタリー的音楽劇。
沢山のコーラスとバンドを従えかなりパワフルな仕上がり。
北極圏でのヨット航海、同乗者達へのインタビュー、
NYで見つかった氷河期の先住民、などを交えながら
地球温暖化を見つめ直す作品。
音楽はなかなかよかった。
荒削りだけど何かしら伝わるものがある。
なんというかソウルフルな感じですね。
映像を上手く使ってなかなか視覚的にも工夫がされてた。
連続したストーリーがあるものではなく
断片的なスケッチの組み合わせでしかないが
伝えたい事は伝わるだろう。
とは言えこういう作品はなかなか評価が難しい。
扱ってる内容や意義は素晴らしいとしかいえない。
だが仕上がるもののクオリティー自体は別である。
決して悪くはないんだけどなんか心は打たなかった。


Old Hats

トニー賞の特別賞を受賞した二人の有名クラウンのショウ。
ボードヴィル的な古き良きスタイルなんだけど
映像を使ったりiPad使ったりとなかなか頑張ってる感じ。
本当に二人とも60オーヴァーなのに芸達者で身体の切れが凄まじい。
作曲家自らピアノを弾き語り合間合間に歌を聴かせる感じもなかなかいい。
とにかく面白いスケッチは死ぬ程笑える。
こういう人たちをクラウンって言うんだなあとしみじみ思う。
またいわゆるペーソスってやつも持ってるもんだから
じんわり来たりも出来る。
ただ初日だったからかまだ上手くかみ合ってないところもあるし
2幕がやや構成的にもの足りず終盤に関してはちょっとお粗末な感じもした。
とても面白い作品なんだけどもうちょっと洗練させたい。
でも何も考えずに言葉がわからなくてもけらけら笑えるのはありがたい。
とにかく客いじりが恐ろしく、何人もステージにあげられていた。
言葉の苦手な日本人ほど彼らを困らせてしまうことは承知なので
客いじりがあるときはいつもなんとか目が合わないようにする。
これは他の作品でも同様。勘のいい俳優はそういうの選ぶのも上手いからなあ。


Carmen

Metの定番オペラカルメン。
ずっと観たいと思ってたもんでまたまたRushに並んだ。
この並んでる最中はほんとんに人それぞれで面白い。
3時間程並んでチケットが手に入る。
並んでも買えない人もいるらしい。本当にへこむだろう。
とにかく知ってる曲が沢山あって歌を聴いてるだけでも充分楽しめる。
しかも主演の歌手がめちゃくちゃ声がでかくて本当にびっくりする。
でかいだけじゃなくて本当に上手。
オペラの楽しみ方が少しわかった気がした。
まあこのカルメンは本当にセットが豪華で飽きさせない。
城壁のような半円引き枠とゲートがくるくる回るし
荒廃した鉱山、闘牛場と豪華で壮大なセットは見応えある。
作品の性質もあるのか結構ミュージカル的な演出がみられた。
歌って踊ってという感じである。
とにかく子供が沢山でてそんでもってなんだか緩い感じで
裏芝居してる感じがたまらなかった。
カルメンを仕留めた男、暴れ牛と闘牛士2つのリンクを劇的に見せつける感じが
なんともわかりやすくてよかった。
これぐらいはっきりされるとなんだか清々しいもんである。
愛される定番ものである意味がよく分かる。


The North Pool

教頭室を舞台に教頭と転校生の心理的な駆け引きを描いた作品。
恋人を自殺に追いやってしまった転校生。
生徒を救えなかった教頭。
二人の彼女への気持ちや事実が少しずつ明らかにされて行く様は
なかなか見応えがあった。作品のテーマである許しという概念は
CDMLでも書いてきたことでなかなか興味深かった。
予習のおかげでかなり内容を理解して観ていたのだが
本来は二人の心理状態や本当のことをわからないまま観るものなので
そうなった時にどのように感じられたのかが気になった。
教頭室という空間をこれでもかというほど具体的に綿密に作り込んだセットは
好感が持てる。下校のベルが鳴り2~3名の生徒が教頭室の前を通って行くのだが
それ以降は教頭と一人の生徒だけの芝居である。
あの2~3名はスタッフだったのだろうか。
かなり良い芝居をしていた。


Good Person's of Szechwan

ブレヒトの「セチュアンの善人」である。
ほとんどの内容は原則どおりであるが
演出や世界観が独特でとても観ていて面白かった。
白塗りの女装した俳優が主人公を演じ彼が
女性と女性が男性の振りをしている二人を演じる。
個性的なキャラクターを個性的なキャストが演じていて
とてもコミカルで観ていて楽しい。
まるで子供の絵のようなセットが何とも味がある。
別段特別なことをしているわけではなくつくりもチープな物ばかりだが
なんだか暖かみがありほっこりさせてくれる。
バンド演奏もなかなかよくて主演の熱い歌唱は心を打つ。
ちょっと作品自体が長過ぎてみていて疲れてしまう感はある。
もう少しまとめて抜粋するシーンもあってよかったかもしれない。
同じブレヒトでもブレヒトらしさがしっかりでた作品であった。
きちんと訴えかけるものが伝わって押し付けがましくない。
なかなか良い仕上がりである。
劇場が実験劇場として名高いラ・ママであった。
なかなかいい空間。


From White Plains

高校時代にいじめたゲイの同級生が同じくいじめられて自殺してしまった
親友をモデルに映画の脚本を書いてアカデミー賞を獲得して受賞スピーチで
いじめっ子を告発してしまう話。
なんだか身につまされる思い。
子供の頃は結構平気で人が傷つくことをしてた気がする。
今更どうしようもないけどこうやって誰かの消えない傷になってたりすると
複雑な気もちになるだろう。
本はなかなかよかった。この作品脚本家が演出もしてるのだが
演出はいまいちだった。セットも簡素で特に魅力を感じない。
たった4人の芝居では有るが当事者の二人はかなりの熱演で
なかなか芝居自体はよかった。
余計なステージングがなけらば更によかったのにと悔やまれる。
こういう本がストレートな作品は無駄な装飾を省いた方がいいように思えた。


The Flick

田舎の35mmフィルムで上映している映画館を舞台にした作品。
二人の清掃員と映画技師の女の三角関係。
基本的には延々と終演後の清掃シーンがひたすら続く。
時間を変え、日にちを変え清掃する二人。
オーナーをだましてお金をくすねたり、映画館が買収されてデジタルに変わったり、
くすねてたことがばれたりとそれなりに出来事はおこるのだが
基本的にはこの清掃の空気感は変わらない。
なかなかじんわりと来る好意的な作品である。
たわいのない雑談でしっかり笑いを取りつつ
キャラクターの細やかな心情変化が読み取れて行く。
こういう静的な脚本も書いてみたら面白いのかもしれない。
セットもしっかりと映画館の客席を作り込んであり見応えがある。
全体的にはなかなか満足できる作品だが
いかんせんちょっと長すぎる。
2時間半はちょっときつかったかな。


Parsifal

ワーグナーの遺作となった宗教色の強いオペラ。
アーサー王の聖杯伝説をモチーフにした作品。
これもRushで並んで購入。
とにかく長い作品。
全3幕なんだけど休憩もいれたら約4時間半。
18時に始まって劇場を出たのは12時前。
いやはや超大作。
そんでもってほとんどしってる曲もないもんだから
なかなか疲れました。
でもさすがにセットは壮大で、演出は現代的。
パイプ椅子持った人が同心円状に座ってケチャみたいなの始めるし
地面は割れて泉みみたいなのが出て来るし
舞台奥にはかなり綺麗なLEDビジョンが空やら抽象的な天体を写してる。
2幕に至ってはひたすら真っ赤な水がはられた床の上で
貞子みたいな格好の女性が所狭し並んで踊りまくる。
3幕はもう無茶苦茶なひとの多さでルネサンス期の絵画みたい。
とにかく疲れたけど達成感が半端ない。
Met初演のプロダクションとのこと。シルク・ド・ソレイユの演出家だとか。
まあ観れてよかったかなあ。


Talley's Folly

凄く昔にトニーの作品賞をとったストレートプレイのリヴァイバル。
97分の2人芝居。
保守的なプロテスタントのお嬢様と
リトアニア移民でユダヤ人のおじさんの恋物語。
お互いの隠していた過去の秘密を打ち明け合い
認め合って結婚するまでを97分で描く。
戦後間もない時期にかかれた戦時中の物語だと思うと
なんだか不思議な気持ちになる。
日本では当時こんなことが可能だっただろうか?
こんな脚本をかけるような空気では決してなかっただろう。
そんなことを考えてしまった。
作品の仕上がりはまあよくまとまっていた。
コミカルないいまわしが多くて主人公がよく喋る設定なので
結構言葉がわからず苦労した。
ジョークが理解できないと悔しいもんである。
セットはなかなか豪華で朽ちたボートハウスをファンタジックに
大げさに飾っていた。とにかく主演の俳優が上手くて感心させられる。
一月前まで全く違う寡黙なボクシングのトレーナーを演じていたのに
今はよくしゃべる税理士である。
小気味よくもほろりとさせられる良い作品である。
ちょっと演出的には音の使い方が好みと合わなかったのが残念。


The Lying Lesson

実在の大女優ベティ・デイビスの晩年を描いた作品。
この作品も初演でプレビュー初日のためまったく予習ができず。
かなり話が掴めずこまりました。
まあ最終的にはなんとかわかったと思うんですけどね。
大女優が昔暮らした田舎の家を買いとりにやってきて
その家の今の持ち主の女性は大女優のことを知らず
ひょんなことから彼女のアシスタントになって
紆余曲折あって結局アシスタントはベティのことを知ってて
物凄いファンでベティーのことを騙してたってわかる話。
この女優役を演じたおばあちゃんがまた凄い。
キャラクターの作り込みが半端ない。
コミカルな要素もいい塩梅である。
まだ初日だったのでこれからもっとこなれていくのだろう。
セットがかなり作り込んだタウンハウスで
窓の外に雨が降ったり風が吹いたりとかなりこだわっていた。
客席の後ろでは脚本家と演出家が駄目をとってた。
いやいやまだまだプレビュー中ですから
どんどん変わって行くのでしょう。
1幕がちょっと長過ぎた感じ。もう少しまとめたいけど
俳優がなれたらテンポもあがるのかな。


Is It Already Dusk?

胤森貴士さんという広島で原爆を体験した日本人の手記を元に
9.11と原爆をモチーフにしたムーブメントパフォーマンス。
扱うテーマと意義には共感するが
出来上がったものはなんだか期待はずれのものであった。
もう少し芸術性が高いとか美しいとか
内容にあぐらをかかずに努力できる気がした。
扱っているものがものだけにもっと丁寧に作って欲しかった。
初日だっため主演後に胤森さんの話がきけたのだが
そっちの方が聞き応えがあった。
彼の講演をする方が伝えたい事が伝わるというのもどうだろうか。
こういう試みはよく評価されたり取り上げられるが
自分自身はなかなかてが出せないでいる。
実際に体験したり傷を持つ方々の気持ちを考えると
生半可な気持ちや責任では向き合えない物だと思う。
原爆を落としたアメリカ人として何を感じ何を伝えたいのか?
何もわからなかった。
胤森さんは原爆を非難する活動から憎しみを失くすために許しを説く活動へと
転向した方だそうだ。
アメリカ人が許された話をアメリカ人が上演するのもなんだか不思議である。
こういった活動自体は認められるべきで素晴らしいと思う。
でもやるからには慎重にきちんと作り上げて欲しいものである。



こんな感じで今回は16本でした。
通算110+1+16で127本。

最近面白かった脚本の翻訳をやってます。
とても勉強になりますね。
やりたいことは増えて行きます。

結構長い時間書いてしまった。もう朝の五時です。
そろそろ寝ます。ではまた書きます。




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たまには忘れる

2013-02-22 02:06:52 | tiptap
前回のブログで堂々の100本目をお知らせしたんですが
そのあとよくよく考えてみるとなんと一本書き忘れがあったのです。
だいたいplaybillを元にブログを書いているのですが
なぜかすっかり一本だけ忘れていました。
なので本当の100本目は The Heiress でした。
そんでもって忘れてた作品は

The Suit

あのピーター・ブルックの演出作品ということでかなり期待していったのですが
相変わらず彼らしい演出なんですが途中客いじりなんかもあり
いまいち密度にかける仕上がりでした。
浮気した妻に浮気相手のスーツを客人としてもてなし続けるという罰を与えるという
コンセプトはなかなか面白いんですけどね。
なんだか色々期待しちゃうもんでもっとエッジの効いたものを想像してました。
音楽劇だし上質な物ではあるんですけどね。
ちょっと物足りなかったなあ。

ってな感じで一本書き忘れ。



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長い休暇もそろそろ終わり。

2013-02-06 13:30:53 | tiptap
ニューヨークに帰って来て数日はー10度ぐらいで極寒でしたが
最近はやや落ち着いて寒さにも慣れて来た感じです。
年末に通っていた学校を変えることを決めて
今は転校期間ですがそろそろ学校新しい学校も始まるわけで
長い冬休みもそろそろ終わりです。

さてNYに帰って来て約2週間ですが14本の観劇。
季節柄あまり魅力的な作品が少なく
更に寒いもんでなかなか難しいところです。


Mary Poppins

これは出張で訪れたジャクソンビルで観たナショナルツアー版。
なかなかツアー版とはいえセットは豪華でした。
そりゃあブロードウェイ版に比べればこじんまりとしてますが
日本の定住型公演に比べると充分豪華という感じ。
俳優達はまさにナショナルツアーという感じでしたが充分楽しめますね。
これだけのクオリティーで巡業公演を行えることは
本当に羨ましいです。
巡業公演となると本当に割愛に割愛を重ねかなり簡素化した物に
なってしまいがちなのでこれだけの規模で公演が行え
それに見合った集客が見込めるシステムが日本にもあればと
切に願います。


Bethany

アグリー・ベティーというコメディードラマでエミー賞を獲得した
アメリカ・フェレラ主演のブラックコメディー。
ラッシュで囲い客席の端の端で観たのでかなり
見えないところが多かったですが
なかなか楽しめました。
映像の人って感じのお芝居でしたがアメリカさんはロンドンでシカゴのロキシーを
やってたことがあるようです。凄いですね。
脚本はすっきりしててなかなかよかったですが
最後の盛り上がりの部分が観ていた座席のせいかやや興ざめ感があったのが残念。
人を撲殺するシーンなんですが近くて更に舞台の横から眺めてしまうと
ちょっと嘘くさくなってしまうんです。
席をかなり選ぶ作品でしたね。


The Heiress

今期アカデミー賞に主演女優賞でノミネートされているジェシカ・チャスティン主演の芝居。
作品自体はリヴァイバルで映画にもなった作品。
邦題は「女相続人」。
セットがかなり豪華で見応え有りました。
NYの豪邸が舞台で飾りは一つなんで
かなり作り込まれていて贅沢な気持ちになります。
あらすじからなんだか暗くてじめじめした作品というイメージだったんですが
なかなか演出の手腕でコミカルにライトに楽しめ
50年以上も前の作品を現代でもしっかり楽しめる作品に仕上げられていて好感を持てました。
ゼロ・ダーク・サーティーのイメージと全く違う
ジェシカにも感心させられました。
元は舞台女優としてキャリアをスタートさせただけあって
見応えのある芝居でこれからが期待の女優です。


My Name Is Asher Lev

同名ベストセラーの舞台化作品。
布教活動を行うユダヤ人一家の息子で
画家を目指す青年が主人公の物語。
セットがなかなかセンスがあって美しい。
ただ演出がいまいち。
主人公の息子以外の二人の役者が入れ替わり立ち替わり
色んな役を演じるのだが
それが逆効果でなんだか貧乏臭くなってしまう。
さらに最愛の兄を失って心を患う母親という表現で
いきなりカツラをはずし机の上に置くという恥ずかしい演出。
ちょっと意味がわからなかった。
物語自体は芸術と宗教の間に揺れる青年の葛藤が
なかなかドラマチックであったがひたすら訴えかける作風が
やや気疲れさせ押し付けがましくも思えたかもしれない。
演出でもう少し改善できる点があったように思える。


Totally Tubular Time Machine

Popミュージカルという触れ込みで行ってみたら
クラブでPopスターの扮装した人たちが歌って踊ってくれるだけだった。
かなり騙された気分である。
まあクラブ好きな人には楽しめるかもしれないが
そんな柄でもなく結局最後までは観ずに帰った。
こんなものに$70も払うわけだからよくわからない。
たまたま割引で$15だったからまだ許せるが
せめてクラブイベントとして記載して欲しい物だ。
どう見てもミュージカルではないな。


Cinderella

久しぶりのオンミュージカル。
言わずと知れたシンデレラのミュージカル化作品。
ディズニー印ではないのでアニメのシンデレラとは別物です。
一応音楽はロジャーズ&ハマースタイン。
でもそもそもテレビ映画用に書かれた作品とかで
そこまで音楽に魅力を感じなかった。
作品自体もなんだかちょっと物足りない。
全体的にちょっとお金がかかってない感じ。
ディズニープロダクションの夢の世界感に比べると
やはり劣ります。
脚本もなんだか無理矢理引き延ばして
民主主義のことなんか歌い出して選挙までやっちゃうのが
どうも胡散臭く感じてしまう。
こういう作品はブロードウェイらしく
信じられないくらい豪華に作って欲しい。
夢の世界があまり感じられないのが残念。
まあまとまってはいるんだけどね。


Wizard of Song

オフのレビューショウ。
オズの魔法使いの作曲家で数々の名曲を残した
ハロルド・アーレンの歌をひたすらきかせてくれる。
まあレビューショウなので何がどうというわけではないのだが
メインのトリオのハーモニーがあまり良くない。
歌もの作品なんだからもう少しクオリティーの高い物を期待していた。
ステージングもまあそれなりについてるんだけど
ちょっとお粗末な感じは否めない。
まあ観客はご高齢の方々ばかりで懐メロに浸って楽しんでいたから
それはそれでいいのかもしれない。


The Jammer

ローラーゲームを題材にしたオフのコメディー。
なかなかセットも面白くあえてチープに仕立てたセットが
ポップで観ていてたのしい。
話は至って簡単で特に心に残るようなものではないが
演出的にセットと有機的に処理されていることで
それぞれのシーンがとても面白く表現されている。
こういうアイディアで勝負する作品は趣味が合えば
かなり楽しめるからいい。
馬鹿馬鹿しい中身のないコメディーが結構好きである。
ローラーゲームには去年からちょっとゆかりがあるので
それもまた愛着が持てた要因かもしれない。
気軽に楽しめる作品。


Rigoletto

Metのオペラ。
お世話になっているマイケル・メイヤー氏の演出作品。
約5時間ラッシュに並んでチケットを手に入れた。
まあ暇な時期で良かった。
なかなか斬新というかミュージカル的な仕上がりであった。
舞台設定自体がオリジナルとは違うので
解釈もまったく変わってしまっているのだろう。
それはそれで面白い試みだと思う。
セットもマイケル氏らしい仕上がり。
彼の色がはっきり見て取れる。
ただここまで違うとオリジナル版も観てみたい。

それからオペラを観ると思うのだが
CDや映画館、映像などでオペラを鑑賞できるようになって
逆に劇場に行ってみるとなんだか物足りなくなってしまう。
電気で拡声された音圧に慣れているせいだろうか。
もしくは我々が買えるような後ろの席ではオペラの醍醐味を
味わえないということだろうか。
これはミュージカルにも言える事でCDを聴き込んで行くと
かなりがっかりすることがある。
ある種の弊害なのかもしれないが
リアルに体感できる物なのに再生可能なメディアのイメージに左右されるというには
なんだか本末転倒な気もして考えさせられる。


Avenue Q

この作品もCDはもっているけど観た事ないロングラン作品。
相変わらず後回しにしていたのだが観る物がなく観た。
自分の周りにもファンが多い作品なので
期待はしていたが
期待を裏切らない作品だった。
馬鹿馬鹿しくてくだらないけどあったかくて深い。
とてもよくできたコメディーミュージカルである。
現在はオフで上演されていてこの空気感がとてもいいと思ったのだが
オンで上演されていた時はどうだったのだろうかと勘ぐってしまう。 
あんまり大きい劇場には不向きな作品だと思う。
それにしても俳優の芸達者ぶりには感心する。
稽古をみたり俳優のアフタートークなどを聞いてみると
やはり稽古のノリが劇団チックなのである。
商業演劇的な時間と政治に縛られる稽古ではなく
クリエイティブでアイディアを出し合う環境を感じる。
こういう訓練を必要な作品が昨今は多くなって来た。
楽器の演奏、パペット操作などなど。
俳優がそれらを訓練して会得していくことを厭わない土壌が
日本にも欲しい物である。


The Service Road

ニューヨーク技術大学のアートプロジェクト公演。
パペットやら映像、ギミックメカなどなど
新しい技術と演劇のコラボ作品なのだが
なんだか俳優の技量が足らずにちょっと恥ずかしい感じ。
それぞれの技術はなかなか面白いが
ストーリー自体もなんだかじめじめとして暗く
俳優の技量もあいまってちょっとお粗末な仕上がり。
まあ大学の提携公演だからしかたないのかな。
でも色んな発見や驚きはあって楽しめる部分もあったかな。
こういう演劇とのコラボレーションは日本でもどんどん行って欲しいものである。


Fiorello!

この作品NYに来たばっかりの時に学生達の発表会を観に行って1幕で出て来た因縁の作品である。
今回はアンコール!というリヴァイバル団体の上演でコンサート的な上演。
出演している俳優達は一流なのでなかなか歌唱は素晴らしい。
オケも豪華なので聞き応えがあった。
まあ演出的にはどうこう言うようなプロダクションでもなかったが
それなりにきちんと成立はしていた。
今回は最後まで観たのだが
ピューリッツアー賞を獲得した作品にしてはいまいちストーリーとして締まりがないと感じる。
古いミュージカルだから仕方がないのかもしれないが
ご当地ヒーローのフィオレロ・ラガーディアが主人公であるということが評価に値したのだろう。
個人的にはもっとドラマを期待してしまうがコミカルな作品としては無難にまとまっている印象だ。
こっちにきてピューリッツアー受賞作やノミネート作を10本近く観たのだが
どれもが名作という感じでもない気がする。
単に英語力がなく言葉の美しさを評価できないからかもしれないが
立体化されたものを観る限り全てが全て評価に値するとは限らない気もして来た。
どんなに良い脚本でも演出いかんではやはり名作になり得ないのだろう。


All The Rage

スパマロットやキャバレーなどで活躍した俳優の一人芝居。
自分で脚本を書いて自分で演じている。
なかなか脚本が面白い。

怒りたくても怒れない。
怒りたくないのに怒ってしまう。
怒りを覚えるべきことなのに怒りが消えてしまう。

「怒り」にまつわる彼の実体験をうまく軽妙にまとめて解説してくれる。
児童虐待、人生の意味、義理の母親、チャドの虐待された難民
南アフリカの猿人、パンゲア、弟の死、などなど
色んな話が入り交じっていくなか彼の人間性が見て取れ
とても好感が持てた。
演出は別の人でこの演出がかなり洗練されていた。
無駄なく適度に飽きさせない。
普通はこれだけ一人で話まくるのだから聞いてるほうも途中で疲れてしまう。
こういう一人芝居はセンスが非常に大事である。
上品にいい塩梅でまとまっている作品だ。


All in The Timing

20年ぶりにリヴァイバルされたオムニバス作品集。
6本のショートプレイの連続上演作品。
演出が敬愛するジョン・ランドー。

とても面白かった。
久しぶりのヒット作である。
まず脚本が素晴らしい。
6本それぞれ本当に面白い。
馬鹿馬鹿しいコメディーなのだが
どこかペーソスを感じるいい加減なのだ。
目の付け所が本当にいい。

出会いからデートに至るまで
実験中のチンパンジー
偽原語教室
パン屋のラッパー
多次元世界
トロツキーの死

こんな脚本が書けたらなあと心から思う。
また演出も当然素晴らしい。
彼のコメディーは馬鹿馬鹿しくてくだらないのにどこか
暖かい。
この暖かさがとても愛らしくて心地よい。
本当に馬鹿みたいに客席は爆笑だが
どこかほっこりしたりほろりとさせられる。

今回は俳優も素晴らしかった。
「ピーターと星の守護団」に出ていたキャストが二人出演していて
彼らは抜群に上手い。
フック船長とテッドという友人役を演じていた二人なのだが
もう職人である。
こんなに技巧的に演じられる俳優が日本にいるのだろうか?
しかも彼らは「ピーター~」が終わって3日後にこの作品の初日を迎えている。
なかなか恐ろしスケジュールであるがしっかりこなしている。
いやあ感服である。
こっちに来て観たコメディーの中ではほぼNo.1の作品であった。
もっと品のない爆笑作品はたくさんあったが
このくらいの塩梅でここまで笑わせてくれる作品はなかなかなかった。
日本でも上演したいと心から思う作品だ。

さてそんなこんなで通算110本になりました。
記念すべき100本目の作品は ”My Name Is Asher Lev” でした。
5ヶ月ちょっとで110本なので年間200本ぐらいは行けるかなあ。

最近は脚本の翻訳にチャレンジしたい欲は出て来ました。
時間を見つけてトライしてみたいですね。

書類ももう少しで完成。
いい結果がでることを祈ります。
ではまたそのうち書きます。


































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