世界一面白いミュージカルの作り方

早稲田発小劇場系ミュージカルプロデュースユニットTipTapのブログです。
HP≫www.tiptap.jp

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

フロリダから

2013-01-19 21:11:39 | tiptap
訳あってなぜか今はフロリダのジャクソンビルという街にいます。
随分遅くなりましたがあけましておめでとうございます。

年末に更新したっきりすっかりほったらかしにしておりましたが
色々とばたばたしていて今日に至っております。

とりあえず年始は紆余曲折ありましたが
なんとかタイムズスクエアのカウントダウンに極寒の中参加し
肉眼で「ボールドロップ」を観る事が出来ました。
約10時間近く0度の中立ち尽くしていたのですが
度重なるセキュリティーチェックなる閉め出しをくらい
当初はかなりのベストポジションにいたはずが
結局は随分遠いところで0時を迎える事になってしまいました。

とても悔しい。

二度と挑戦することはないでしょうが
また挑戦できたらかなり上手に良い場所を陣取れる気がします。

さて諸々あって会社の出張でフロリダ半島の付け根に来ているのですが
久しぶりに時間ができたので観劇レポートを更新してみます。

早いものでこちらに来て約5ヶ月が過ぎようとしております。
1月はどちらかというとやや演劇シーンは控えめでオフシーズン。
ちょっと変わったコアなものばかりを観た感じです。


Mummenschanz

スイスのパントマイムカンパニー。
でもパントマイムというか言葉も音楽も一切無いアートスケッチ集という感じ。
特にストーリーがあるわけではなくただただ
欽ちゃんの仮装大賞的なアイディアありきのパフオーマンスがいくつも並ぶ。
基本的に意味不明でシュールすぎて面白い。
子供は大爆笑。
どうやらファミリーに人気の団体。
40年以上活動しているコンテンポラリーアート集団とのこと。
基本的に欲張りな性分なのでちょっと物足りなかったかな。
せっかく面白アイディアがいっぱいあるんだからもっと洗練させて
アーティスティックにできるはずなのに!
でもそうはしないこのシュールなダサさがいいのかも。
アナログな感じが好印象。


The Golden Land

ユダヤ民族団体主催のユダヤ人移民達のNYにまつわるストーリーを
コラージュ的にまとめてユダヤ民族音楽で綴るミュージカル。
作品の半分がユダヤ語で語られる。
さすがにユダヤ語はわからないが大半の観客がユダヤ人のためか
どことなく熱い感じは伝わって来る。
客席で当時を知るであろうおじいちゃんが隣の少年に
熱く語っていたのが印象深い。
内容はまあ可もなく不可もなく。
無難なかんじである。
ユダヤ人にとっては相当ぐっとくる内容なのだろうが
いかんせん日本人にはついて行きづらい。


Mikado

イギリスのオペレッタコンビギルバート・サリバンの作品を専門に上演するNYの劇団の公演。
タイトル通り日本を舞台にした作品なのだが
内容は荒唐無稽で当時の日本の間違ったイメージが見て取れて面白い。
この団体も40年以上続く団体らしくそれなりの劇場でそれなりに公演しているのだが
ちょっと演出が古臭く衣裳やセットもチープな香り満載。
コメディーオペレッタなだけにまあ許せるのだが
もうちょっとこだわってできたらいいのになあ。
ストーリは本当に脈絡なしの無茶苦茶な話なので
もう少し色んな意味で楽しめると良かったなあ。
間違った日本いじりはそれなりに滑稽で面白いけどね。



The Other Place

オンのストレート作品。
個人的には久しぶりにオンで満足できたストレート。
内容はNext to Normal のストレートプレイ版。
本もいいし演出も的確。
そして主演女優が素晴らしい。
演出はウィキッドのジョー・マンテロ。
2011年にオフで初演されて好評ののちオンに進出。
何が現実で何が虚構なのか。
意識と無意識、希望と現実。
現実と虚構が入り交じりながら核心へと迫って行く緊張感。
いかに人の心が複雑で且つ脆いものか。
自分が書きたいテーマにも通じる作品。
演出も洗練されていてとても明確でセンスを感じる。
このデリケートな題材を陰鬱にならずライトに
そして深淵に描けるのは感心させられる。
濃密な90分。


Big Apple Circus

題名の通り芝居ではなくサーカスです。
いわゆる古き良きアメリカのサーカス。
別に象とかライオンとかが出て来る訳じゃなく
曲芸や空中ブランコとかかなり控えめだけど
あったかい感じ。
家族連れが沢山きていてなんだか映画のワンシーンのよう。
ちょっと小さめのテントでステージにも近くてアットホーム。
今ではNYの冬の風物詩的なイベントらしい。
こちらも40年以上続くローカルサーカスらしく
ファンがしっかりいるみたい。
外連味はないけどほっこりする素敵な時間でした。


The Great God Pan

こちらはオフで好評のストレート作品。
この作品は記憶に焦点をあてていかに人間の記憶があいまいで
自分の信じている記憶もしくは事実が崩れさって行く恐ろしさを描いている。
幼い頃の思い出せない記憶、鮮明に覚えている記憶。
何が正しいのかなぜ思い出せないのか
家族や知人に触れ少しずつ明らかになっていく自分の過去と
どう向き合って行くのか。
隠された消し去った過去が今の自分に無意識的に影響を与えている現実。
小さい空間のなかで森の奥深くにしまい込んだ記憶のように
組合わさったパズル状の壁が次々と抽象的に解きほぐされシーンを紡ぎ出して行く。
なかなか深い作品。
児童虐待を題材にしながらその生々しさにはあえて触れず
追い込まれて行く主人公と周りのほころびが不安をかき立てて行く。
最後までパズルは解けないがパズルと向き合うことで
自分の人生に向き合う事になる。
なかなか面白いがもう少し鋭くえぐってくれてもらったほうが
個人的には好みだなあ。


The Fig Leaves Are Falling

かなり昔のミュージカルのリバイバル?作品。
初演時は開いてすぐにクローズしてしまったらしいが
コメディーミュージカルとしてはなかなか評価も高い作品らしい。
今回はそんな作品を無理矢理1幕ものにしてストーリーを大幅に変えての上演。
リバイヴァルとは呼べないかもしれない。
まあ話はいたって単純で不倫して結局奥さんの元に戻るってはなし。
キャストもプリンシパルはそれなりの実力。
でもキャスティングがねえ。
これだけ肌の色が物を言う社会でしかも60年代の夫婦という設定で
違う肌の色の夫婦は一般的ではないでしょう。
それからスイング系のダンスがひたすら歌の度に踊られるんだけど
アンサンブル的なダンサー四人のレベルが・・・
踊れないなら振りを考えてあげて欲しい。
特に新しさもなく古臭いだけの作品となってしまった。
この仕上がりなら上演する意味は感じられないなあ。


50Shade the Musical!

「50Shades of Gray」というハリーポッターよりも売れた世界的官能小説のパロディーミュージカル。
むちゃくちゃ面白かった。
いやあ別に原作を読んでいなくてとりあえずあらすじなんぞを調べて観ただけだが
実際に読んで行っていたら終止笑いもだえていたに違いない。
グラスゴーの演劇フェスティバルで賞をとった作品で
NYではたったの3回しか上演せず巡業中の作品だとか。
くだらなさ満載で官能小説が元のくせに下ねたのさじ加減もなかなかちょうどいい。
下品になりすぎずひかない程度のこの塩梅。
久しぶりに面白いミュージカルを観れた。
高いチケット代を払った甲斐があった。
とにかくキャスティングが秀逸。
そしてキャストも自分のキャラクターを存分に活かせている。
このくだらなさはとても好み。
機会があれば原作も読んでみたくなってしまう。
パロディーはやっぱり面白いなあ。


Kiki & Grandpa & Baby

この作品は日本でもテレビで取り上げられているらしいのだが
日本人の作・演出家の方がオフオフで上演しているミュージカル?作品。
詳しくは書きませんが1幕で出て来ました。
こういう作品が日本を代表している風にこちらで謳われることは
かなり残念な事だと思います。
自分の作品をNYで上演できることはとても素晴らしいことだし
同じ日本人として応援したいところですが
このクオリティーの作品はちょっと辛い。
人の作品のことをとやかく言える身分ではないかもしれませんが
日本をしょって上演するならきちんとやって欲しい。


Radiohole:Inflatable Frankenstein

前衛的なパフォーマンス劇団の
フランケンシュタインをモチーフにしたパフォーマンスショー。
基本的にあまりにも極端なアートには馴染めない性格のためか
ちょっとついて行けなかった。
一つ一つのシークエンスのアイディアや表現方法は
なかなか面白かったりセンスを感じたりもできるのだが
一つ一つの見せ場が延々長くて飽きてしまう。
言葉がわかればまだついて行けたのかもしれないが
マイクに向かって囁いたり叫んだりとちょっと耳も
物理的に受入れがたい感じ。
もっとシャープにタイトにまとめてくれたら
良かったのにと思いますがきっとこのアートな感覚に
馴染めない自分が駄目なのでしょう。


Chicago

言わずと知れたミュージカルのシカゴ。
お恥ずかしながらロングラン物は後回しにする癖のせいで
実は今回が初めて。
映画は見てたので映画のイメージが強すぎたせいか
ちょっと物足りなかった。
全体的にフォッシー風の振り付けは躍動感があって好みなのだが
フォッシー本人が踊ったらどうなるんだ?
という夢想ばかりが浮かんでしまった。
どうやらキャストもロングランのためか
なんだかまったりとしていてしまりがない。
もはや旬の作品ではないので仕方が無いが
きっともっと本来は研ぎすまされた時間だったのだろう。
全体的にちょっと長さを感じてしまった。
もう少しセットに工夫を施しても良い気がする。
スタイリッシュではあるがちょっと時代を感じる。
とは言えずっとジョン・ランドー作品で注目していた
女優がロキシーだったのでまあ満足。
wedding, toxic avenger, rock of ages などなど
好きな作品にばかり出てる人なんで頑張っててくれてよかった。


Water by the Spoonful

2012年度のピューリッツアー賞受賞作品。
NYではオフブロードウェイでの上演。
イラクの退役軍人を主人公にした三部作うちの最後の一作。
In the Heightsの脚本家の作品。
基本的にプエルトリコ訛のためかなり聞き取りづらかった。
本はまあまたこれから読むのだが
ピューリッツアー賞を受賞した作品にしてはちょっと薄いという印象。
退役軍人と薬物依存、家族の絆などがテーマなのだが
まあそこまで目新しいテーマでもなく
それにちょっとチャットシーンを取り入れて今風にした感じ。
演出は更にあまりセンスを感じない。
まあ普通というよりやや悪目立ち感すらある。
新しさと言えばイラクの退役軍人ということぐらいだろうか。
あとはしいていえばこの作品には日本人が登場する。
北海道生まれのアメリカ育ちの日本人で国籍はアメリカ人。
コミカルなタッチではあるがまあアメリカの今を切り取ったという
感じが評価されたのだろうか。いまいち高評価の意図がつかめなかった。
もっとエッジの利いた作品をイメージしていただけに物足りなかった。
とは言えこの出来上がりは演出の善し悪しもある気がする。


Picnic

こちらは50年以上昔にピューリッツアー賞をとった作品。
以前学校の課題でワンシーン演出した事があり
オンでのリバイヴァルとのことで楽しみにしていたのだが
劇評はすこぶる悪かった。
まあ可もなく不可もなくこの作品の持ち味は損なっていない気がした。
ただいかんせん50年以上も昔の作品なので
なぜ今再演なのかという上演意義を見いだせる仕上がりではない。
特に斬新でもなく教科書通りな感じは否めない。
本来本の持っている味わい深さはまだ活きていることが救いだ。
セットはしっかり立て込まれて南部の田舎町の古き良き休日が伺えて
とても雰囲気はいい。
名画座で旧作を観る気持ちで観れば充分満足できる。
ただオンの新作としては劇評通りの出来なのかもしれない。


Not By Bread Alone

イスラエルの盲や聾を患う人たちによる劇団の公演。
出演者は耳が聞こえなかったり目が見えなかったりどちらも不自由だったりと
それぞれの度合いは違えど一生懸命に舞台で表現している姿には感心する。
ただそれだけを見せ物ににするような仕上がりであることがなんとも歯がゆかった。
出演している彼らを責めているわけではなく
これだけ彼らが頑張って何かを成し遂げようとしているのだから
クリエイティブスタッフ達にはもっとそれをいかに表現として昇華させられるかに
神経を注いで欲しいものである。
このような活動の意義は十二分に有り認めないわけはない。
活動自体はとても素晴らしいと思う。
ただそれを見せ物にするか表現にするかそこには大きな差がある気がする。
なぜか彼らの一生懸命な姿を見れば見るほど悔しい気持ちになってしまった。
彼らにとってはきっと表現できる事が幸せであることは間違いない。
こんなことを思うのも自分のエゴなのかもしれないがもっと彼らには可能性を感じてしまう。



Freedom of the City

北アイルランドの公民権運動の最中に起きた
ブラッディーサンデー事件をモデルにした
架空の事件によって殺害されたデモに参加した3人の民間人の話。
個人的にはアイルランドにはとても思い入れがあるので
かなり涙を覚悟して観劇にのぞんだのだが
思ったよりもえぐられなかった。
罪のない3人の民間人が殺害されたいきさつ
それによる裁判、人権問題、宗教対立など様々な影響が
複合的にみえてくる作品。
結論としてこの本が書かれた1973年当時はまだ
イギリスによって不当な裁判が行われ犠牲になった多くの民間人達への
公式な謝罪は行われなかった。
その当時の状況をシニカルに表現したという点ではとても辛辣である。
ドラマとしての起伏ではなく淡々と理不尽な現実を突きつけていくことが
この作品のモチーフのようなきがした。
小さな劇場で工夫されたセット、まとまった演出はなかなか。
なぜかいつもアイルランドの作品には心が惹かれてしまう。


Midsummer[a play with songs]

エディンバラのフリンジで賞をとった音楽劇。
劇評では詰め込み過ぎとのご指摘でそこまで良い評価ではなかったのだが
詰め込み好きとしては気になって観に行った。
当然エディンバラの劇団なので訛はきつい。
ずーと喋りっぱなしでたまに歌う2人劇なのだが
とにかくテンポがとてもいい。
脚本もとても子気味よく次から次へと展開していき
物語としては単純なボーイミーツガール物のラブロマンスコメディなのだが
次の展開を予測する前に進んでしまうので飽きる事はない。
さらにこれでもかという程全てを台詞でわざと説明する手法が
なかなかはまっていた。
小道具をふんだんに使ってベッドと壁と木箱だけのセットを一連のシーンに
みせて行くのはなかなか面白い。
挿入される歌も俳優達自らギターを弾きなかなか味わい深い。
緩急がとてもよくついたよくできた作品という印象だ。
このノンストップな二人芝居、当然俳優の力量が物を言う。
こういう子気味よくかつ魅力的でコミカルで内面が
垣間見せられる俳優達に感心する。
この作品も日本人がでてくる。
名前は「Kazuo」どうやら亀甲縛りの専門家らしい。
劇中主人公の男が「Kazuo?」「Kazuo?」「Kazu~o?」「Kazu~o!」
と連呼するシーンがありかなり面白かった。
イギリスの作品らしい綿密に作り込まれた感じが心地よかった。



とりあえず今年は今の所こんな感じで16本。芝居じゃないのもはいってますが
まあこんな感じです。ということで現状96本。
あと4本で100本達成!

100本目はなんでしょう。

とは言えここ2週間あまりは書類を作る作業がかなり必要でしてなかなか忙しそう。
2月に入ると少しずつ大型ミュージカルも開き始めるので楽しみです。

最後になりましたが今年もどうぞ宜しくお願いします!
コメント
この記事をはてなブックマークに追加