世界一面白いミュージカルの作り方

早稲田発小劇場系ミュージカルプロデュースユニットTipTapのブログです。
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お金はなくても

2012-10-25 01:04:12 | tiptap
そろそろNY生活も2ヶ月目に突入です。
今学期の学校も半分が過ぎた事になるようです。
まあ学校の方はなんとなく勝手もわかり
顔見知りもできてそれなりにやってます。

先週はHipHop音楽劇の舞台稽古の見学にはじまり
ゲネまでみせてもらったものの
なかなか自分の好みと合わない作品だったために
見せてもらったのに終わってからうまく話せなかったなあ。

小さな小さな劇場でしたが昨日のnew york timesには
しっかり劇評が載ってました。
東京だと「劇」小劇場ぐらいの感じかな。
小さな劇場でもきちんと劇評が載るんだから
やっぱりこっちの人の演劇に対する感心は凄い。
内容は・・・まあ多くは語れません。

さてこの一週間は6本も観れました。
観劇費がかさんで大変ですが
6本中正価で観たのは1本だけ。
その一本は売り切れ作品でキャンセル待ちで仕方なく
全額払うことに。

それでも6本観て191ドル。
日本円だと1万7000円ぐらいでしょうか。

OFFの作品だと学割がきいてかなり安くなります。
ONの作品でも運が良ければラッシュが買えるので
本気で並べばかなり格安で観れちゃうわけです。

てなわけで大体一月の出費がわかりあまりの恐ろしさで
財布の紐をかなり閉めつつもなんとか劇場に足を運んでおります。



「DETROIT」
この作品にキャセル待ちで並びました。
なぜかというとなんと
「FRIENDS」の「ロス」こと
「David Schwimmer」が出てるのです。
かなりフレンズにはお世話になった私なので
これは観るしかないと劇場に向かったのですが
まあ人気作品らしく全日SOLDOUT。
来たついでにキャンセル待ちで並んでみる事に。
運良く奥さんと来る予定が奥さんが来れなくなったらしい人から
チケットを買う事が出来て観る事が出来ました!
作品はコメディータッチのドラマでした。
いやいやコメディーのストレートはなかなか言葉が難しい。
基本的なことはわかるのだが細かい所が聞き取れないし
笑い声にかき消されて聞こえない聞こえない。
それでも「ロス」が出て来た時にはちょっとこみ上げて来るものが・・・
目の前にあの「ロス」がいるんですからね。

脚本はピューリッツア賞ノミネート作品。
怪しいお隣さんとの交流によって現代アメリカ社会を描く社会派コメディー。
盆舞台の表と裏を使って飾り変えをしていく見せ方。
なんだか日本的。
もっと言葉がわかれば面白かっただろうに。
シットコムを観てるようで楽しい時間でした。
でもちょっと途中からだれた感。


「CLOSER THAN EVER」
80年代の終わりに上演されてかなりのロングランを行った
OFFのミュージカル作品。今回はリヴァイバル上演。
全編歌で「bookless musical」というジャンルを確立させた作品らしい。
出演者は四人でそれぞれナンバーごとに違うキャラクターとして登場する。
ただどのキャラクターもどこか中年の哀愁を帯びており
中年に入りかけ、まっただ中、そろそろ老人・・・
まあ今で言うアラフォーな人たちがそれぞれの中年あるあるを歌う。
歌唱力が半端なくて感動しました。
歌い手はマイクをつけずにピアノとウッドベースのみ。
曲後とにささやかなステージングがついてますが
小洒落てて好感がもてる。音楽も基本的にはよかったなあ。
途中いきなりピアノの人が歌い出したりベースの人が芝居したりと
プレイヤーのレベルの高さにもびっくり。
とりあえずキャストの歌のうまさとキャラクターであっという間に時が過ぎます。
この形式で二幕構成だから大変だよなあ。
二幕になるとやはりやや声に疲れが。
もう少し詰めて1幕ものにしたほうが本当はいいんだろうなあ。
でもとても上品な(内容は下品ですが)良い時間でした。



「FALLING」
自閉症の18歳になる息子を抱えた家族の物語。
家族物には弱いのでかなりやられました。
わけあって心に傷を持つ人と接する機会が多いので
この手の話には本当に心をつかまれてしまいます。
個人的なベストミュージカルは「next to normal」という作品で
これも精神疾患を持つ母親を持った家族の話でして。
このジャンルに弱いのです。
芝居がとてもよかった。
自閉症の息子を演じる俳優は恐ろしほどリアルに感じられて
家族に暴力をふるうシーンなどは恐ろしさと悲しみと色んな
感情がこみあげてきた。母親の愛情と立ちはだかる現実。
孫の病状を理解して祖母が母親に神様に祈ればなんとかなると本気で語るところなど
とてもアメリカ的なアイロニーを感じた。
悲劇ではなくあくまでハートウォーミングストーリーなのだが
現実の厳しさ、苦しさ、葛藤がきちんと描かれていて
脚本、俳優ともに素晴らしかった。
セットもとても写実的に家の中を表現していて本当にありのままの
家族を傍観している様な気になる。答えはでないが涙がでた。


「FUN HOME」
同名ヴィジュアルノベル(マンガ小説)のミュージカル化作品。
この本かなり売れたらしく日本でも翻訳版が売られてるそうです。
読んでみたいなあ。
この作品はPublicTheaterの製作で実験作品の上演というシリーズ。
いわゆるまだトライアウト状態だそうで
開演前に演出家が出て来てその旨を伝えてました。
因にこのPublicTheaterは由緒ある団体であの「コーラスライン」を製作したとこです。
内容はレズビアンのマンガ作家が自分の家族についてのビジュアルノベルを書くという筋。
父親はカミングアウトしなかったゲイで結局自殺してしまっている。
幼少期の主人公、大学生に主人公、今の主人公の三人が
同時に舞台上に存在してそれぞれの時間を過ごして行く。
なかなか面白かった。音楽も心地よくていい。
映像の使い方がとても上手でよかった。
マンガ作家である主人公が描くイラストを上手く使えていた。
セットはまだなんだか作りかけのような感じで
俳優達は客席のよこの椅子に座って出番を待っている。
なんだか不思議な感じである。
それでも舞台の上にはきちんと演劇的空間が見える。
感心したのは主人公の幼少期を演じる子役だ。
本当に自然でコミカルでかわいらしい。
日本の子役はこの自然さがなかなか出せない。
きっとあの子自身が楽しんで演じてるからいいのだろう。
こんな実験的に作品を上演できる環境が
日本にもあればいいなと心から思う。
これも家族物。やっぱり心にくる。


「THE OTHER JOSH COHEN」
OFFのコメディーミュージカル作品。
とても面白かった。
出演者6人で主人公と主人公のナレーター以外は
それぞれ楽器を担当していて入れ替わり立ち代わり
キャラクターを演じて行く。
ほとんどがロックナンバーで演奏もキャストだけで
行われるのだから本当に俳優達は素晴らしい。
経歴を観るとミュージシャンもいれば俳優もいる。
垣根がないのがまたNYらしい。
「ONCE」も俳優が全編演奏するがこのような形式での上演は本当に難しいと思う。
音楽的クオリティーを劣化させない程俳優達が演奏できることはなかなかない。
みんな芸達者だなあ。
内容は泥棒に入られてニールダイヤモンドのCDだけしか手元に残らなかった主人公に
高額小切手が同じ名前の宛先と間違って届いてしまう。
全てが実話ではないらしいが小切手のくだりは実話を元に書かれたらし。
ナレーターがスタンダップコメディーのように語りとても面白かった。
このナレーターが本と音楽を書いて出演までしているのだから素晴らしい。
直前まで「PETER AND THE STARCATCHER」に出演していたらしい。
本当に才能豊かである。馬鹿馬鹿しくもどこか哀愁漂ういい塩梅のコメディー。
このぐらいのさじ加減なら日本でもなんとかなるのかな。

「THE PERFORMERS」
ONのストレートコメディー。
プレビューの初回に観劇。
ラッシュが買えたのでかなり格安で観劇。
ポルノアウォードの授賞式に再開する高校の同級生。
一人はポルノスター、一人は新聞記者。
まったく違う二人だがそれぞれのパートナーと
それぞれの方法で愛を確かめ合って行くロマンチックコメディー。
まさ豪華なシットコム。
客席は最初から最後まで割れんばかりの爆笑。
笑えば笑う程こちらは言葉が聞き取れず悔しい所ですが
とても楽しい作品でした。
作品全体のトーンがとてもポップでセットや衣裳が小洒落ててなかなか楽しめる。
想像するにかなりお下劣なシーンが多々あったが
子供は観れないけど大人がこぞって観に来そうである。
日本だとこういうテーマは扱ってもどこか暗くどろどろとした
雰囲気になりがちだがこのあっけらかんとしたポップさには
本当に元気をもらえる。上品さにはかけるがとても面白い作品になると思う。
脚本家は現役の大学院生。
カナダ出身で去年OFFBROADWAYデビュー。
異例の早さでONにデビューとのこと。
同じ学生VISAホルダーとしては本当に凄いなあと思う。
言葉の壁がなければこうやって実力ある人がチャンスをつかめるのがNY。
早く壁を取っ払っていつの日か勝負してみたいものです。


先週はOFFを中心に観たんですがなかなか良作にあたった気がします。
作品選びも結構難しくて事前のリサーチがかなり物をいいます。

さて今週はどうなることやら。
気になる作品もあくことだし楽しみ楽しみ。

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すっかり秋

2012-10-16 01:56:49 | tiptap
朝は息が白むようになってきました。
夜はなんだか暖房が作動しているようです。
暖房といってもエアコン的なものではなくて
物凄く熱いお湯がパイプを通過していくやつ。
なんか一定の温度より外気が下がると作動するらしく
勝手に操作する事はできません。

さてさて一週間はあっという間ですね。
週末は色々と疲れてしまってブログ書けず。
いかんいかん。

前回はエビータまででしたかね。
それ以降の観劇は

SILENCE!
HOLD THESE TRUTHS
Dispatches from (A)MENDED AMERICA
ONCE
SCANDALOUS
GRACE

結構観ましたね。
とりあえずざーっとですが感想を書きます。


SILENCE!

「羊達の沈黙」の完全なるパロディーミュージカル。
OFFの作品ですが本当に小劇場感満載でした。
まさにナンセンスコメディーミュージカルですね。
とても面白かったです。
演出がNEWSIESの振り付けの人なんですが
くだらないことが本当によくできていて
映画を知ってる人は本当に何から何まで面白いし
知らない人でもあまりにも滑稽なので笑ってしまうでしょう。
NEWSIESよりも良い仕事してるなと心から思いました。
ただこのノリが難しいところでして
ともすればくだらなすぎて下品でやや引いてしまう可能性もあります。
こんなパロディーが作りたくて「ゴン・ヴァルジャン」をやったのですが
さじ加減が難しいですね。
こっちのお客さんは基本的に楽しんだもん勝ち感大ですから
ちょっとあれって思っても気にしない大雑把さがあります。
いいんだか悪いんだか。
でもとにかくこの作品は一つの成功型ですね。
フリンジで賞を取って世界各国で上演してますが
やはり日本だと受入れられるか・・・とのことで上演にはいたっておりません。
日曜マチネでキャストがアンダーだったためもう一度観たいなあ。


HOLD THESE TRUTHS

この作品はゲネを観劇。
これもOFFの作品でストレート。
戦時下の強制収容された日系人のお話。
実在の人物をモデルにした一人芝居でした。
このモデルの方はオバマ大統領から功績がみとめられて勲章をもらったそうですが
今年の始めのほうにお亡くなりになってしまったそうです。
こちらで紹介して頂いた舞台美術家さんのご厚意で舞台稽古から見学させて頂いていたので
色々と発見もありました。
テーマがテーマなだけに一人の日本人としてアメリカのNYでこの作品を観るという
なんだか不思議な経験に感慨深いなあと。
とてもシンプルで繊細に作られていて何より俳優が素晴らしい。
ある意味全てモノローグですが要所要所で違うキャラクターになったりして
なんだか落語を観てるみたい。90分でしたが本当に内容の濃い作品でした。
舞台が本当に客席に近いもんでとても空気が感じられてよかったです。


Dispatches from (A)MENDED AMERICA

この作品は上記のHOLD THESE TRUTHSと同じ劇場で日替わり上演される作品。
これも舞台稽古をみてゲネを観劇。
同じ劇場ですから同じセットを使う訳で客席などを組み替えて使ってました。
内容は「黒人大統領の実現があなたにどう影響を与えたか?」という
実際に行ったアンケートを元にこの作品の上演に至る過程をドキュメンタリー的に
みせて行くものでした。俳優達自身が実際にアンケートやインタビューを重ねてそれを元に
脚本を書き上げたとのこと。凄いですね。
人種問題。
なかなか日本にいると知らないふりしてることですが
こっちは日々感じる問題。
とても難しい問題ですが現実にある問題。
目をそむけちゃいけないなあ。
この2つの政治色の強い作品を上演しているカンパニーは
政治色が強いカンパニーなんだそうです。
学校やなんかと提携してこういった社会派の作品を上演してるとか。
なかなか面白いですね。文化の違いを感じます。
まだゲネだったのでこれからプレビューを経て色々変わって行くのでしょう。

大学の卒論で劇場のメディアとしての力を論じたんですが
小さなメディアとして劇場を捉えて体験させることで情報を伝達する事が可能ではないか。
ブレヒト的発想ですが未だに海外では根付いてますね。
最近は日本ではあまり社会派作品がうけなくなりました。
昔は演劇って左とか赤って言われた時代ありましたけどね。
近頃は心の闇とか人間の醜さとかなんだか個人の内面が取り上げられる事が多いです。
これも文化の差ですね。社会的な問題に苦しむ人が少ない幸せな国という捉え方も出来ます。
それはそれであながち間違いではないかも。



ONCE

2012年のベストミュージカル賞を取った作品。
ずっと観たかったのですがなかなか納得できるチケットが取れずに
高額だったしずるずると観れなくてやっと観劇。
「ONCE ダブリンの街角で」という映画のミュージカル化作品。
映画はアカデミーの歌曲賞を取ってるそうです。
実は映画もずーっと気になってましてね。
昔からアイルランドには縁を感じてまして
Tipの旗揚げ公演はアイルランドが舞台だったし。
なんか気軽に観る気になれなかったんですよね。
そうこうしてる間にミュージカル化ということです。

う~ん。

素晴らしかった。こっちにきて一番感動した気がする。
最後は久しぶりにきちんと泣いた。

ただミュージカルを観たというより芝居を観たという気になった。
作品を通してそこにあるのは芝居の空気でしかない。
歌う事自体がドラマの中に組み込まれて出来事になってるからだと思う。
意味のある歌である。これならタモリさんも文句が言えない。
実際にキャラクターが歌っている時間でしかないから。
厳密に言えばこれは音楽劇なのではないかと思う程だ。
音楽劇とミュージカルの定義は僕なりにそれぞれありますが
それについてはまたいつか書きます。
音楽は全て出演者が演奏してそれぞれの楽器を持ったキャストが
ステージの両脇に座っている。
セットはいわゆるアイリッシュパブを模したようながらんとした空間で
とくに大掛かりなセットもない。あるのはカウンターとテーブル、椅子ぐらいである。
前から5列目ぐらいだったため本当に空気を感じられてよかった。
このような作品は変に拡張されて欲しくないなと思う。
この作品実はPeter And The Star catcherと同じでNewYorkTheatreWorkshopで生まれた作品。
同じところからBestPlay(ノミネート)とBestMusicalを出すなんて凄いなあ。
ステージングは同じ人でした。
本当に楽器をあんなに上手に演奏できる俳優達に感服する。
まさに生の空気がそこに生まれる瞬間を共有できるのがすばらしい。
これが演劇だと思う。設計図にのっとってただ作業をするんじゃない。
瞬間を生み出して行くんだ!!
開演前には舞台上は解放されてて観客は舞台上でお酒を交わしながら俳優達のセッションに耳を傾ける。
なんて素敵な時間だろうか。
こんなに素晴らしい作品でも気になる所をみつけてしまうのは嫌な事である。
ちょっとだけ腑に落ちないのは何カ所かのステージング。
これだけ演劇的に作ってるのに何故かステージングだけやや抽象的に感じてします。
転換諸々の動きはいいのだが少しショーアプした感がある部分が惜しい気がしてしまう。
割り切って削ぎ落としても絶対に空気が物を言うのにと思った。
でも二階席から観た人には効果的だったかもしれないからまあなんとも。
それにしても本当によく出来た作品だった。さすがトニー賞。
俳優も素晴らしい。残念ながらヒロインがアンダーだった。
オリジナルキャストで観たいがお財布的に難しいだろうな。


SCANDALOUS

これは人生初めてのミュージカルプレビューのオープンを観劇。
開演前に演出家が出て来て挨拶してました。
なんだかBroadwayってこんな感じなんだって感心。
はっきりいってお祭りみたいなもんですね。
きっとお客さんの半分以上は作品が良い悪い関係なく楽しんだ事でしょう。
いちいち拍手でとまるとまる。
さすがプレビュー初回とのこともあり照明は色々問題有りでした。
ステージハンドの漏れ明かりも多々ありましたがなんとか最後までいきました。
主演女優が凄いなあ。Carolee Carmelloという人なんですがトニーに二度ノミネートされてるみたい。
主人公の高校時代から30代後半までを演じるんだけど
まあ最初から最後まで声を張り上げて歌う歌う。
こんなに押して押して押しまくって2時間半は本当に大変だと思う。
内容は今では世界中に信者のいる実在する女性宗教家の話。
初めてラジオを布教に使った人らしくアメリカ大陸を10回以上布教て横断したり
ロスに礼拝レビューショウのためにスタジアム寺院を作ったりとまあ凄い人なんです。
あげくには既婚者との情事のために誘拐に巻き込まれたと狂言を起こしたり。
そんな人生を描く訳です。
まあ内容も演出もそこまで魅力的ではなかったですが
音楽がゴスペルを基本にしてるのでとてもパワフルで元気が出ます。
まあ似たような曲が多くなってしまいますが
元気が出るのはいいことです。これからプレビューを経てどう変わって行くのか楽しみです。
オープンしたらまた観たいですね。



GRACE

こちらは宗教をテーマにしたストレート。
話の内容自体ははっきり言えばよくあるはなし。
宗教に熱い主人公が色々あって目先の利益を優先するようになり結局全てを失い人を殺してしまう。
まあその間に妻を隣人にとられたり夢に破れたりだなんだってあるわけですが
内容はよくあるある。
でもこれをとても面白くしてるのは脚本と演出がうまく絡み合ってるからなんだろうなあ。
物語は最後のシーンから始まる。
倒れている出演者達。
それが巻き戻されそれぞれが死ぬ瞬間が次々に見えて来る。
とても面白くショッキングな瞬間である。この巻き戻す演出もなかなか面白い。
少しだけ滑稽にも見えるがとても印象的だ。
それから舞台は物語の最初に戻る。主人公が妻と幸せに暮らす最初に。
何が面白いってセットが有機的に常に芝居に絡んでいる所だ。
セットは夫婦と隣人の部屋を兼用して使えるように家具が配置された盆。
その外にとても細い外盆がありそこにドアと窓がある。これも兼用。
そしてそれぞれの生活が同じ盆の上ではあるが別々の空間に見えてくる。
別に決まった家具を使う訳でもなく兼用であるにも関わらず
それぞれの生活が見えて来るのだ。とても想像力を使わせで面白い。
舞台奥には大きな楕円の額縁があり中のスクリーンには空がある。
常に雲が流れ星がみえたりとささやかながら変化がある。
このささやかというのがみそでシーンの中で内盆が気づくか気づかないかのスピードで
ゆっくり回転していく。時間の経過とともに。そして気づけば空間が変わっている。
とても面白い体験である。俳優の横顔をみていたはずが気づくと反対側の横顔をみている。
常に有機的にセットが動いている。
それが嫌らしくもなく主張もせず控えめなのがいい。
色んなことを想像させる。
全体的にとてもスタイリッシュで面白かった。
ただシーンの最中はいいのだがシーンとシーンの間にある転換がちともったいなかった。
なぜか転換はあんまりまとまってなくて明かりと音で誤摩化してるだけの様な感じ。
もうちょっとみせる転換にしてもいいのになあというのが感想。
90分で休憩なし。面白かった。ストレートの空気感はやぱりいいなあ。


まあ今回はこんな感じでした。
なんだかストレートプレイの方が多くなってきましたね。
新作がそろそろ増えて来るので楽しみです。
顎が痛い毎日ですがめげずに頑張らねば。
今週はオフのミュージカルの現場を見学中です。
また色々と発見できて面白いですね。

ではまたそのうち書きます。





















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一ヶ月が過ぎて

2012-10-06 23:45:13 | tiptap
とうとう10月に入りまして
こちらはなんとなくハロウィンムードが高まっております。
日中は暖かくても夜はとても冷え込むようになりました。
冬は恐ろしい程冷え込むとのことなので怯えております。

さてあっとういまに一月が過ぎて
だいぶやれる事がふえてきました。

学校に授業はまあどうでもいい感じなんですが
色んな方々の協力のおかげでお稽古を見学させて頂いたり
こちらで活躍されてる舞台関係の方にお会いできたり。
それなりに充実した生活を送っております。

今週は4本観ました。

まあ観たら観たぶんだけ自分で脚本をかきたくなります。
演出家になりたいのか脚本家になりたいのかわからなくなりますが
自分には世界をひっくり返すような本が書ける自身がないので
きっと演出家の方が向いている気がします。
世界をひっくり返すような脚本を選ぶ事はできそうなんです。

さてさてつらつらと今週観た物を書き留めておきます。

FIORELLO!

これはNYUの学生の発表会のような公演です。
歌唱コースの学生たちの公演でした。
劇場はけっこう立派でしてNYUの構内にあるサイズ的にはオフの劇場。
この劇場で日本の売れっ子コメディー作家と日本のトップアイドルが
ミュージカルを上演したそうです。

このミュージカルはトニー賞作品賞、ピューリッツアー賞を獲得した作品です。
フィオレロ・H・ラガーディアという実在したニューヨークの市長の半生を描いた作品。

俳優たちは学生さんなんでみんな一生懸命で好感が持てました。
お芝居はおいといてみんな歌唱コースなだけあってそれなりに歌えるようでした。
若々しい学生達の頑張りに比べて演出やらセットがちょいとお粗末でして
それらのスタッフはどうもプロ方々がやっているようで残念。

NYUにはTISCHという芸術学部がありましてそちらの学生たちは本当に
ハイレベルなんですが今回のはまたちょっと違ったSteinhartdという学校の生徒さんでした。
お金と時間があればTISCHに行きたかったんです。

一生手に入れる事はないでしょう。


NEWSIES

TonnyのBest ScoreとBest Choreographyを獲得したディズニー作品。
あのアラン・メンケン作曲とのことでさぞかし
音楽がいいのだろうと思っていましたがちょいと期待はずれ。
少し古くさい感じがしました。まあ時代背景てきにそれも狙いなのかもしれませんが。
とにかく踊り狂う若者という感じですね。
話の内容は映画と似たようなもんですがきちんと恋愛と絡めて
よりミュージカルらしくなっておりました。

僕の耳が悪いからかもしれませんがニューヨークなまりという感じが強く
出ていてちと聞き取りにくい感じでした。きっと時代考証てきにわざとだと思いますが
イギリス英語の方が得意なので苦戦でした。
ああもっと聞き取れるようになりたい。

セットが好みじゃなくてディズニーなのにとちょっとがっかり。
お金がかかっているんだろうけどなんかチープな感じがしちゃいました。
でっかい鉄骨の引き枠が三つ前後に動いて回転する構成舞台。
踊ることを前提にこうなったんだと思うんだけど
もっと作り込んでもらいたかったなあ。

転換やら細かいあらも少しきになるところがありましたが
良い意味で大雑把でアメリカンなエンターテイメントって感じでした。



Peter And The StarCatcher

トニー賞5部門獲得のストレートプレイ。
とは言っても歌あり踊りありの音楽劇。
勝手な感想は井上ひさしと新感線を足して2で割った感じ。
要するに面白かったんです。

実はこの作品OFFの時代から目をつけておりました。
NewYorkTheatreWorkShopで製作されたこの作品。
去年NYに来た時に寸での差でOFFのがCLOSEしてしまい
見逃してしまっていたのです。

モチーフがとってもいいし夢が沢山詰まっていて
ほろりとできて何より最初から最後まで大爆笑。
おもちゃ箱をひっくり返したようにごちゃごちゃしてて
くだらなくて馬鹿馬鹿しい。

セットも音楽も脚本もとっても好みの作品。

いわゆる小劇場ののりなんだけど
細かい演出が行き届いていてかつ俳優それぞれの個性がしっかりでてる。
ふれこみ通り一人何役もこなしてそれぞれのキャラクターでしっかり
笑いをとっていく。俳優のレベルもまあ高い事。
本当にあっという間に終わってしまいました。

ああこんな作品が書きたいなあ。久しぶりにそう思う作品に出会いましたね。

僕の場合はこんな脚本は書けないから結局稽古場で作って行くしかないんでしょうけど
もしこの脚本を稽古する前にこの上演状態で書き上げていたのなら
本当に書いた人は天才だと思います。
Jersey Boys と The Addams Family の共同脚本家らしいです。

演出もやりたい事が沢山詰まってて羨ましいし嬉しいしで・・・
日本でもやってくれないかなあ。

音楽劇が書きたい!初めて思いました。
その前に今書いてる本を書き上げないとね。



EVITA

この作品を日本で観た事があったかどうかもう定かではないのですが
なんか観た気になってたけどもしかしたら初めてなのかもしれない。
世界のリッキー・マーティンですからお客さんは沢山。
観た回のEVITAは残念ながらELENA ROGERさんではなかったのですが
個人的には充分素敵な女優さんだなと思ってみてました。
SISTER ACTでSister Mary Robert を演ってた方だそうで
通りで観た事あるなあと思った訳です。

なんかこうやってしみじみと観るとなんか
最初から最後までエリザベートとだぶってみえてしまいました。
全然違うんですけどね、なんか作品の構成とか音楽の選び方盛り上がる箇所とか・・・
国も違えば立場も違うんですけどなんか似てるなあと。

作品的には演出には無駄はなく、豪華なセットががっちり世界を作り上げておりました。
本当にでっかい建物を具体的に作り込んだ引き枠がしっかり上下センターと設置されて
それがそれぞれ舞台センターに向かって多少前後するぐらい。
あとは吊りものでみせて行く。家具はほとんど使わない。

セットに関してはなぜかレベッカを思い出しながら観てました。
でっかい建物の引き枠が前後する。
同じ構造でもこうも違うんだなあと。

Rob Ashford の振り付けも隙がなくだるだるさせずに済んでおりました。

作品としてしっかり成立してるんですが
やっぱり音楽がやや古いきがしてしまいますね。
それぞれの曲のキャッチーな部分はいいんですが
ブリッジ部分の台詞レシタティーボ部分などがちょとちぐはぐに聞こえてしまう。
最近のミュージカルはこの台詞レシタティーボ部分が物凄く自然にかつ綿密に書かれているか
割り切って台詞にするかはっきりしているので
それに慣れて来るとちょっと違和感を覚える。

ただ面白いのはこの台詞レシタティーボ部分違和感問題ですが
イギリス系ミュージカルに多いんですね。
レミゼとかサイゴンとかまあ色々ですが
でもどの作品もずーっと聞き込んで行くとこの違和感部分が心地よくなってくる。
なんか癖のある感じがたまらないんです。
ロイドウェーバーの場合はちょっと唐突感があり過ぎて慣れるまで時間がかかりますが
シェーンベルグの場合は流れるように以降するのであんまり気にならない。
この路線が現在の自然に語り歌う方向に近いのかもしれません。
トリッキー音階のロイドウェバーと同音連打のシェーンベルグ。

手前味噌で申し訳ないのですが
CDMLの青年が歌う脚本家を褒める歌(一番の理解者)と
男が歌う結婚式の歌(レースは第三コーナー)は
まあ喋ることをわざと誇張して作ってもらった曲なんです。
作曲家自らお経ソングというようにとにかく言葉を無理矢理詰め込んで作ったので
これらの曲も聞き込んで行くと中毒性があるようで稽古場にいると口ずさんでしまいます。

話を元に戻しますがやっぱり名作と言われるだけあって
素晴らしい作品には違いなと。
そんでもってお金をかけて豪華な俳優を出せばそりゃしっかりとした作品になるなと。


さて長々と書いてきましたが
こんな一週間でした。
明日もお稽古見学。その前に何か観れるかなあ。



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