美術館学芸員のノートから

西洋近代絵画や日本の絵画について主に書いています。作品に関する小さな考察や読んだ本のメモ、日常の雑感などもあります。

中島誠之助著『ニセモノ師たち』からの読書メモ(2)

2016-10-09 19:57:09 | 真贋問題
・以下、中島さんに売りに来た海揚がりの古備前などを「預けるわけにはいかない」と言っていったん持ち帰った男の話。



「(そのとき買わなかったことが)ちょっと惜しいような」と若い骨董商の中島さんに思わせたその男。

・その時たまたま店に来ていた、とても羽振りのいい防衛関係の評論家が小切手を切って中島さんに渡してくれた。金額記入欄は空欄だった。そんな時代。

・だが、これは中島さんの「腹に入らない」作品だった。「腹に入らない」作品とは?

「ウブ気がない」作品とは?p179

・同業者に「小向で売る」とは?

・中島さん曰く。「やはりそれを手に入れて嬉しかった私がどこかで(自分にはこんな珍品の古備前があるよと)もらしたのでしょうね。」

・中島さん、古備前の目利きの日置陽久さんを訪ね、真贋を訊く。

「実は正直に告白するとその瞬間まではI君をはめこんでやろうと思っていました。」

・中島さんは、自分が手に入れ、自分でうわさを流したあの海揚がりの古備前が、日置さんから教えてもらい、偽ものと知ったので、100万円で売ってくれと懇願した同業のIさんには売らずに、裕福な大店の息子に150万円で売った。これが中島さんが、その息子さんに何十年来、「心の責め」として負っているものだ。

・1960~70年代は、地方の骨董商を回って掘り出し物を手に入れることは可能だった。

・そんなある日、中島さんが広島の骨董屋に入ったら、そこにいたのは、なんと美術品を「預けるわけにはいかない」と言って気を引くようにいったん仕掛けて帰り、再び中島さんのところに海揚がりの古備前を売りに現れた男だった。


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