なんでもぐも = (なんでも-も)+(も+ぐ)+もぐ

専門のマシン知能に限らず、身辺で感じたこと、なんでも、なぜ、という観点から
もぐもぐ(深堀り)を試みるブログです.

免疫系の破壊と調和:NKT細胞は救世主!?

2010-01-30 22:26:31 | 日記
今回は、まだ未知数の多い免疫系の救世主かもしれない
NKT細胞について書いてみようと思います.

免疫系は、病原体成分をパターン認識し即座に対応する
自然免疫系と、詳細に病原体を分析し時間をかけて個々
に対応する獲得免疫系の二つからなりたっていると考え
られています.

自然免疫系に代表されるのは、白血球、マクロファージ、
NK細胞で、一方、獲得免疫系に相当するのは、リンパ球
が主体で、リンパに発現している幾多にも及ぶ、抗原
受容体によって異物を識別し、抗原と特異的に結合でき
る抗原受容体をもつリンパ球の増殖で反応が始まります.

いったん、リンパ球が増殖すると、免疫記憶細胞は異物
を記憶し、次に、侵入した場合はその記憶を手がかりに
反応を試みます.

免疫系が知能的であることは、知能の定義である、流動
性知能(即決対応)と、記憶を基にした、結晶性知能
(データベース対応)にあてはまることからわかります.

流動性や結晶性知能は、以前にもブログで紹介しました.
脳も免疫も、こうした点から繋がっているようですね.

ところで、自然免疫系と獲得免疫系とを結合してそれら
の機能を増幅させる仕組みが徐々にわかりつつあります.

その一つとして注目されているのが'NKT細胞’です.

この細胞は、NK細胞とT細胞の両方のマーカー分子を
もつことから命名されたようです.

NKT細胞の特徴は、同一のアミノ酸から配列からなる
ただ一種類の抗原受容体(Vα14遺伝子)しか発現して
いない点のようです.

実際、NKT細胞を欠損するラットでは、ウイルス、細菌、
寄生虫、カビなどの病原体を排除できない上にガンに
対するCD8キラーT細胞、CD4ヘルパーT細胞の増殖が
できないので、ワクチン効果は期待できません.

NKT細胞はTh1、Th2両タイプのサイトカインであるIFNγ
およびIL-4を大量に産生するほか、パーフォリン/
グランザイムやFasリガンド、TNFによるアポトーシス
誘導リガンドといったさまざまな殺細胞誘導因子を
発現することで標的細胞に対して直接細胞傷害活性
によって抗腫瘍効果があります.

また、NK細胞やT細胞といった他のエフェクター細胞の
標的細胞傷害活性の増強を行う点で非常にユニークな
細胞でもあり、こういった細胞をマウスや人の体内で
持つに至った経緯を知りたいところであります.

Th1とTh2との融合や調和は、免疫系がもつ外敵に対し、
最もパワフルに振舞える最適な姿であり、それゆえ、
生態系がもつ最高の知能系とも思えると、やはり、
その系を生むための歴史(戦い)があるはずですね.

ところで、本来、Th1とTh2は、互いに拮抗し合う関係
のようですが、Th1は、Th2を刺激し、Th2はTh1を刺激
し合うのが望ましいと考えられているようです.

Th1は、IFNγによって優位となります.これはCD4+
ヘルパーT細胞を活性させることになり、これに基き
Th2優位に分化し、IL-4、IL-13がIgEクラススイッチ
を誘導し、IgE産生を促進します.

この流れがうまくいくと、結果的にTh1とTh2とのバラ
ンスが取れる、という考えです.

逆に、上記の流れ、Th1からTh2への分化がうまくいか
ないのが免疫系の破綻、といえるのでは、、

ところで、以前、紹介した人や牛の初乳に含まれる
免疫情報を伝達するトランスファーファクターは、
Th1とTh2のバランスをとる作用も示唆されており、
、またNK活性にも貢献することからNKT細胞そのもの
ではないか、とも思えますがどうなのでしょうか.

免疫系増進の救世主であるNKT細胞とトランスファー
ファクターの関係がとても興味深いです.

因みに、Th1優位(TH1-dominant)、Th2優位と
トランスファーファクターとの相関について述べられた
論文が以下により参照できます:

Transfer Factor and It's Clinical Applications
by Steven J. Bock, MD

TH1-dominant states are generally not helped by transfer factor,
and could be exacerbated. Many of them, such as rheumatoid arthritis,
multiple sclerosis, and Crohn’s disease, are thought to be possibly
caused by an infection or reaction to a pathogen.

If the TH1 response is an inadequate attempt of the immune system
to fight off a microbe, then transfer factor would augment that process
and be effective in certain cases.
Clinically, this is seen in certain cases, e.g., Crohn’s disease,
mutiple sclerosis, and chronic Lyme disease, where transfer factor
helps a TH1-dominant condition.

Transfer factor augments cell-mediated immunity or pushes a TH2 to a TH1 state.
This is useful in TH2-dominated conditions.
Normally, on exposure to gut-related microbes and childhood infections,
a child’s TH2-dominated immune system is subject to TH1 stimulation
and TH1/TH2 balance ensues. If TH2 dominance remains, this can lead
to atopic, or allergic states. We see this in the increased incidence
of allergic symptoms, postnasal drip, asthma, etc., in clinical practice.

要は、トランスファーファクターが有効なのは、Th1優位の
ときというよりも、Th2優位からTh1優位に移行(分化)
するときで、Th2優位が続くと、アトピーなどのアレルギー
が進むのですが、分化を促進し、Th1優位に戻すことで
アレルギーが軽減できるかも、という感じのようですね、、

このあたりもう少しもぐもぐしたいところです.
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遺伝変異:HIVとアルツハイマーの接点

2010-01-22 20:13:24 | 日記
最近、米国の人気ドラマHeroesなどをみています.

巷でも、よくあんな能力がもてればいいね、など
と声がきこえてきたりしますが、自身にとって、
一番興味があるのは、遺伝変異の部分です.

彼らは超能力を持つのは、来たるべく危険な未来
でも生き残れるよう、特別な能力が備わっている
人たちが数名いて、つまるところ、未来を変えよう
ということのようです.

ところで、自身が持つ興味である遺伝変異は、
免疫に関するもので、とくに、HIVに感染しない
人たちにの遺伝変異メカニズムについてです.

2005年に著名な科学雑誌「ネーチャー」で発表
された論文の中で、HIVに感染されない人種に
ついての知見が発表されました.

このことから、CCR5レセプターへのと突然変異
があった場合は、そういうことも起こりうるこ
ことがわかり、近年、ファイザー製薬は、
セルゼントリー Selzentry (一般名:マラビ
ロック maraviroc )錠剤を世の中に出すに
いたりしました.

セルゼントリーは、白血球へのHIV侵入経路で
あるCCR5受容体(レセプター)を遮断する初の
抗HIV薬というわけです.

因みに、CCR5受容体は、ケモカインという体の
炎症部位や特定の細胞から分泌されるタンパク
質で、特定の白血球細胞表面Gタンパク連結型
受容体に結合し、特定部位への誘因や体内での
移動を引き起こします.

なぜ、その新薬が効果的なのか、に関しては
次のように考えられています.

ヒト免疫不全ウイルス (HIV) や、成人T細胞
白血病 (ATL) の病原ウイルスであるヒトT細胞
白血病ウイルス (HTLV-1) が感染する細胞は
CD4陽性T細胞です.このT細胞は、ヘルパー
T細胞なので、ウイルスや異物の認識に欠かせ
ないのですが、自分たちが生き残るためにHIV
はこれを狙ってくるわけです.

CCR5受容体は、ウイルスがCD4陽性T細胞への侵入
を誘導するのですね.

さらに、Nature Medicineで2001年で発刊された
論文においては:

CCR5を介するウイルス(CCR5 指向性HIV-1)は、
HIV-1の伝搬を担い、このウイルスが HIV-1感染症
の初期に優位である.これとは対照的に、CXCR4
を介するウイルス(CXCR4指向性ウイルス)は
感染後期に優位となり、CD4陽性T細胞数の急減に
伴うAIDSの進行に結びついている.

CXCR4が優位となる前にCCR5のアンタゴニスト
が必要となり、上述のようなファイザーによる
新薬の開発に結びついた、という経緯があるよう
です.

つまり、CXCR4によるアポトーシス(CD4細胞の
細胞死)が起こる前に手を打つ、ですね.


ところで、

アンタゴニストとは一種のブロッカーのことで、
特定のタンパク質をもつウイルスや神経伝達
物質、ホルモンなどが受容体に結合するリガンド
に拮抗する作用を持ちます.

遺伝変異の特徴を分析することで、HIVの新薬が
できるのはとても興味深いことと思います.

また、遺伝変異が原因となって、病気が発症する
事例は、HIVに限らないことでしょう.要は、
遺伝変異によって生ずるなんらかのタンパク質が
リガンドとなって本来、レセプトしてはならない
ものと結合してしまうわけですから、これを
食い止めることはある意味で、知能的な活動だと
考えられます.

たとえば、アルツハイマー認知症は認知機能低下、
人格の変化を主な症状とする認知症の一種でよく
知られています.記憶、学習、注意などの障害に
加え、問題解決能力の顕著な低下、および、
意思疎通にも問題がでてくるので、社会的に深刻
な病理の一つと考えられています.

発症原因はさまざまですが、症状が悪化と脳血管
壁へのアミロイドβ沈着が指摘されています.
実は、これにおいても遺伝変異があって、アミロ
イドβによって誘導されるNMDAレセプターを介し
たグルタミン酸興奮属性がアルツハイマーの脳
細胞の細胞死を発現させる可能性があるようです.

なので、HIVのケース同様、遺伝変異を起こす
原因となるNMDAのアンタゴニストとして、
”メマンチン”があります.

実際、NMDAアンタゴニストは、アミロイドβの
形成を阻止するわけではないようですが、神経
変性の進行を回避する効果が期待されています.

また、赤ワインに含まれるレスベラトロールは
アミロイドβの細胞死を大幅に低下される
ようです.

因みに、赤ワインには、動脈硬化や血栓症を予防
するといった効果があることも周知ですね.
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(続)免疫知能:サイトカインの呪い、、

2010-01-13 21:13:47 | 日記
免疫系でたびたび出てくる白血球のT細胞は、
「自己」/「非自己」を見分けて、サイトカイン
という物質を産生し、異物やウイルスを排除
する仕組みがあることは以前述べた通りです.

つまり、サイトカインは、ウイルス撃退には、
欠かせないものなのですが万能なのでしょうか.

また、サイトカインが有効であるとすれば、
どういった事柄に関してそれが可能となるのか.

いろいろと疑問がわいてきます.

サイトカインがわれわれ人類を襲った脅威と
して、スペイン風邪で多数、若年者の命が犠牲
された事例がよく引き合いに出されます.

若年層ほど免疫が活発化しやすく、過剰反応を
引き起こしやすい、ということを示す事例が
いくつかありますが、良い意味でのサイトカイン
の効果に反した、逆説的な意味もあるようですね、、

結論からいいますと免疫が活発化しやすいほど、
サイトカインカスケードもしくはサイトカイン
ストームと呼ばれる現象が起こりやすいと考え
られているようです.

つまり、免疫系による感染症への防御反応とし
て産生されるのですが、それが過剰なレベルに
なると気道閉塞や多臓器不全を引き起こします.
(アレルギー反応と似ている、、)

要は、サイトカインの過剰産生ということなの
で、免疫が活発な若年者に多い現象だといえ
そうです.一方で、スペインインフルエンザで
死亡したロシア兵士の遺体をシベリアの永久
凍土から掘り出し、RNAを用いて当時のままの
ウイルスを複製して行った結果では、上述の
ロジック(仮説)は否定されています.

新型インフルエンザにおいてワクチンを投与
したら、アナフィラキシー症状が発生した事例
もあります.とくにこれは、IgE(免疫グロブ
リンE)との強相関があるので、アレルギー
症状そのもののだと思われます.


(以下、毎日新聞の記事10/01/08から抜粋)
新型インフルエンザ:ワクチンで46件のアナフィラキシー

厚生労働省は8日、新型インフルエンザワクチンの接種後に、
呼吸困難や血圧低下に陥る「アナフィラキシー」を起こした
例が46件報告されていることを、専門家会議で明らかにした.

~~

アナフィラキシーはアレルギー症状の一種で、注射で起こる
代表的な副作用.厚労省によると、ワクチンは昨年12月末
までに約830万回接種され、医療機関からアナフィラキシー
の報告が102件あった.専門家が検討した結果、このうち
46件は接種との因果関係があると判断された.意識を失う
など入院相当のケースも20件含まれていたが、いずれも
回復しているという.【清水健二】


自身がサイトカインカスケードに興味がある
点は、このカスケードに含まれるサイトカイン
とそれを産生する細胞が相互作用することで
複雑なサイトカインネットワークを作る、
という点です.

このカスケードに関わるインターロイキンや
TNF(腫瘍壊死因子)を結集して、ウイルスや
異物などに対し、より殺傷・阻害作用の強い
免疫系を作る仕組みは、まさに知能的です.

一方で、諸刃の剣で毒に薬にもなる、、

少し気になるのが、サイトカインカスケード、
もしくはサイトカインストームとも呼ばれる
ようなんですが、『血栓を作る原因となる』
という点です.

血栓とは、血管内で血液が固まって詰まること
をいうのですが、カスケードと血栓がどう繋が
れるか、が興味深いです.

これに関連した病状として、敗血症があるよう
ですね.

敗血症では、エンドトキシンにより単球が活性
化されて、サイトカインストームが惹起され、
好中球が活性化されて血管内皮に結合すること
で、エラスターゼなどを含む顆粒を放出します.
顆粒内酵素がフィブリンを分解し、白血球
エラスターゼによるフィブリン分解産物が血中
に多量出現し、自己の組織傷害や血管内凝固
作用が促進し、血栓が作られるようです.

これに対し、カスケードによる病状が進行しな
いように、ある種のインターロイキンが関与
する原理もあるようですが、これについては
また別の機会で.
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湯たんぽを使おう!-自律神経/免疫の関係から

2010-01-10 21:32:30 | 日記
新年明けましておめでとうございます

今年もブログを書き続けてまいります.


前回は、NK細胞の活動を中心に体温と免疫の関係
について執筆しました.

それに関連してお正月休みで:

免疫力アップ!「湯たんぽ」で「冷え症」が治る
低体温が万病のもと
班目健夫著、大和書房

を興味深く読ませていただきました.


班目氏とは、直接お会いしたことはありませんが、
お医者様のようです.消火器内科などの西洋医学
がご専門のようですが、患者の感性面も考慮した
東洋医学も取り入れられています.

この本の論旨は、低体温は、循環障害を招くので
組織破壊が起こったり、炎症の治癒がさまたげら
れて、病気を招く原因となりうる、ということを
いくつかの臨床知見に基き述べられていています.

また、以前、自身のブログにおいても述べました
自律神経系活動は、低体温のメカニズムの本質を
形成することがこの本の中で描かれています.

以前ブログでも感情の本質は、自律神経活動のか
かわりによるものですが、人のそれは、進化の過
程で、人脳が爬虫類の時代に遡るものです.

脳的な観点では、自律神経活動は、危険察知のた
めの機能、および、すばやく危険回避を起こすた
めの行動を生成する機能でした.

一方、免疫における自律神経活動とは、体温の温
度調節機能、組織破壊を防ぐための’白血球’に
よる自律神経支配の法則があることに関し、班目
氏の本で触れられています.

つまり、自律神経の乱れは、血流の悪化を助長し、
さまざまな病気の原因となる、というものです.

このロジックの背景には、血流がよいと、栄養分
も白血球も体中に円滑に運ばれる.結果として
これは、免疫力の鍵をにぎる白血球中のリンパ球
の数や質を向上させて免疫力が高まるから、病気
になりにくい、があります.

具体的に事例として、ガン患者は、リンパ球が
少ないことをあげて、白血球の35パーセント超、
1マイクロリットル中2200-2800個が
理想的といわれているようです.

実際、免疫細胞療法をした結果、リンパ球が
1400個から670個に減少した患者に言及し
例による湯たんぽ療法を2日施したところ、
リンパが2432個に増えたということでした.

一見すると、少々、手品のようなお話しにも感じ
えたのですが、患者側が、ある程度の栄養を摂取
でき、血流がよくなることで、その栄養をリンパ
球の増殖に使えるならば、リンパ数の増加は可能
かとも思えます.

たしか、リンパ球のT細胞は、胸腺において育成
されて、成熟されるということだった思います.

したがって、胸腺と自律神経の間になんらかの
関係があれば、自律神経をコントロールして、
免疫を高められるのではないでしょうか.

実は、自律神経は、白血球を支配しているなの
です.白血球 には、マクロファージ 5%、
顆粒球 60%、リンパ球 35%で、体調に
よりリンパ球は、30~45%の間で変動します.

赤ちゃんから20才頃までは、リンパ球優位な
状態で、その程度がひどい場合には、いわゆる
「アトピー体質」に対応します.20才を過ぎる
と顆粒球の比率が徐々に高まり、老人になると
細胞の分子の酸化が進み、その刺激で交感神経
優位が進み顆粒球が増加し、白血球におけるリ
ンパ球の比重が徐々に少なくなり、ガンになり
やすくなる、というわけですね.

胸腺と自律神経を結ぶ点は、白血球にあるよう
です.

顆粒球は、覚醒が高くなると優位性をもち、逆に、
睡眠は、リンパ球を増やす仕組みがあります.

つまり、自律神経のバランスが崩れると、覚醒
が高くなり、リンパ球が相対的に減る傾向があり、
すると、リンパ球の主機能である、ウイルスなど
の異物や敵を見分ける能力が低下するため、
アレルギーなど、無差別に自己を攻撃することが
ありうるのは納得できます.

本書では、覚醒が高くなる顆粒球主導型は、結局、
血流を悪くする、だから、自律神経系のバランス
をうまくコントロールすることが重要であると
説いています.

また、脳の観点では、自律神経は、感情を司る
ものだから、憂鬱になるよりも、笑いのある楽しい
生活の方が、血流もよくなって、健康的である、
というのも頷けます.

まだまだ、この冬寒さが厳しいそうで夜はつらい
ので、ぜひ、湯たんぽを試してみたいと思います.

湯たんぽでいろいろな病気が未然に防げるのであれ
ば、本当に経済的(エコ)ですからね!









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