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私立大の学部のみ譲渡容認へ

2017-11-15 04:00:00 | 気になる 教育行政

 ようやく制度化される。
 ・・・ニュースに対する感想である。引用、コメントしたい。

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〔共同通信11/8〕
 18歳人口の減少で大学の経営環境の厳しさが懸念される中、文部科学省が、私立大の学部のみを別の大学に譲渡できる制度の導入に向けた検討に入ったことが8日、同省への取材で分かった。現状では大学全体を別の学校法人に譲渡することは可能だが、学部単位での譲渡も認めることで、経営の効率化や大学間の再編、統合を促す狙いがある。
 8日の中教審の部会で案を示した。学校教育法は、大学の設置者の変更手続きについては規定しているが、学部単位では認めていない。現在、学部だけを譲渡しようとすれば、一度学部を廃止した上で、別の大学で新設認可を得る手続きが必要となる。


〔読売11/8〕
 学部の譲渡が可能になれば、経営が行き詰まった大学が学部の一部を他大学に売却し、当面の運転資金を確保できる。また、経営の効率化を図りたい大学の場合は、不人気学部を切り離し、研究成果が顕著な学部や人気学部を強化できるようになる。

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 過去自分のブログでは「大学の設置者変更について」でプール学院大学の設置者変更と、「桃山学院教育大学」への名称変更を取り上げた。プール学院大学は、「教育学部教育学科」「国際文化学部教養学科」(募集停止済)という「複数学部」が存在しているが、実質的には単科大学、つまり学部に近い状態である。ニュースに出ていた制度があれば、大学の設置者変更ではなく、学部の設置者変更ですんだことになる。なお、同学院の運営法人は短期大学部、中高を運営しているが、こちらはこれからも運営を続けることになっている。

 今回の制度変更は「設置者変更」('15-09-06)で取り上げた、神戸夙川学院大学のような単科大学のケースに対応しやすくするものかもしれない。

 今回の記事、読売の書き方はきちんと読まなくてはならないと感じる。
 『 経営が行き詰まった大学が学部の一部を他大学に売却し、当面の運転資金を確保できる。また、 経営の効率化を図りたい大学の場合は、不人気学部を切り離し、、、』についてはどうだろう。

 ①が売却するのは、運転資金を確保に資する売りものになる学部である。
 残りは経営が行き詰まった大学(の学部学科)である。残りは運転資金を得て、在籍学生を卒業させるまで延命、大学としての使命を終えることになるのではないか。延命策だが、それ以上にはなり得ない。穏やかに大学という業界からご退場願う。そんな気がする。

 ②が売却するのは、不人気学部である。買い手がつくのだろうか。購入側の動機として、何があるのだろう。あくまでも関東地方限定の考え方だが、こんなことを考えた。
 学部学科定員増が困難になりそうな場所(東京23区内)に存在する大学の学部学科で、不人気なものを購入して都心進出をもくろむ。でも、そんなにたくさんあるのだろうか。そのような学部を購入する学校法人があるのだろうか。ちょっと考えて思いつくのは、こんなことだ。
 当たり前のことだが、購入するのは学部経営権だけではない。学部そのものである。大学は学校施設を持つ。購入しても、その学部学科は購入者のところに移動してはこない。現在の場所にそのまま存在する。学生が学ぶキャンパスについても、変更するのはなかなか大変である。
 学部単位でキャンパスが存在するのならば、「A大学がB大学から〇〇学部を購入、A大学〇〇学部とする」でいい。学校施設(土地、校舎)の継承・管理もわかりやすい。でも、②の大学が単一キャンパスに複数学部を持ち、その一部を売却する場合、話しは込み入ってくる。「A大学がB大学〇〇学部のみ購入する」と、学校施設のあつかいはどうなるのだろう。区分所有だろうか。正門に看板が二つ(?)付くのだろうか。管理費もかかりそうだ。

 制度設計案がでてくれば、また情報が流れてくるだろう。
 このニュースは注目である。

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