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生涯未婚率上昇の背景にあるもの

2017-04-24 00:10:33 | 社会
2017年4月10日に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「2017年版 人口統計資料集」に依れば、生涯未婚率が男性で23.37%、女性で14.06%であるそうだ。
男性・女性共に過去最高の数値であり、一般庶民から結婚が遠のいてゆく過程を見ているようである。

男性の数値が女性比で高いのは、少数のモテる男性は何度も(初婚の女性と)結婚するが、モテない男性は一度も結婚することがないまま生涯を終えるからである。

生涯未婚率上昇の理由についてはいくつかあるが、男性側の理由として「1.そもそもモテない」「2.経済的な理由」あたりが主要なところとして語られることが多い。


1.そもそもモテない

以前の拙稿でも指摘したように、現代は男女共に自分の無意識内にある理想の異性像を追い求める傾向が非常に強くなっているので、マッチングすること自体が難しくなってきているようだ。
一般に見た目が芳しくない人は異性からの引き合いが乏しく、お付き合いの入口にすら立てない事が多い。しかも勇気を出して恋愛や婚活に果敢に挑んだとしても彼らは非イケメン故に「セクハラ」だの「ストーカー」だのといったレッテルを貼られてしまい、酷い場合には警察に通報されてしまう。その結果、精神的に疲弊して諦めざるを得なくなってしまうのである。
もちろんイケメンの場合はこのような事態にはならない。
人間の真の評価は見た目ではなく人間性にあるのだが、きっかけとしての見た目の必要性は如何ともしがたいものがあるようである。

「※ただしイケメンに限る」という注釈が半分冗談・半分真面目に語られることがあり、この文言が意味するところをしたり顔で否定する人たちもいる。繰り返すが、人間の真の価値は決して顔の良し悪しではなく、その人間性にある。しかし、美貌に遠い男性たちの多くは女性とのコミュニケーションのスタートラインにすら立てない現実に常に直面しており、日々の生活の中で正に非イケメンの悲哀を誰よりも痛感しているのも厳然たる事実なのである。

また、異性とのコミュニケーションの機会が無いまま年齢を重ねてきた人にとっては、その分野の能力が磨かれないままなので益々ハードルが上がってしまい、辛い事になってしまうようだ。

この「そもそもモテない」という理由はTV等のマスコミではあまり触れられる事はない。それはテレビ屋にとって「どう扱ったらよいか判らない」からである。
テレビ番組では「モテない」は「適当な相手にめぐり逢わない」に置き換えられる事が多い。

2.経済的な理由

これも切実な問題である。
簡単に言うならば、収入が充分ではなく結婚に踏み切れない、というものだ。
テレビ屋がこれを報じる時にはしばしば「経済力を理由にするのはおかしい」と問題提起する。なぜなら「一人口は食えぬが二人口なら食える」と、稼ぎが少なくても夫婦共稼ぎならやっていける、従って低収入だからこそ結婚するのが正解である、と宣うのだ。
昭和の昔ならそれも「あり」だったであろうが、現代ではこれは通用しない。
現代の女性は上方婚志向であり、高収入の男性との結婚・専業主婦希望が圧倒的に多い。夫の稼ぎで充分に豊かな暮らしをして自分は働く気は無い、というのが一般的な女性の目論むところなのである。
そしてこれも多くの女性が望む年収600万以上の未婚男性は極めて少数であり、この希望自体がもはや現実的ではない。これを年収400万に下げても実態はさほど変わらない。

さらに現政権が推進している政策も未婚者・非婚者増加の大きな背景となっている。
現政権は労働者の給料をできるだけ下げるように導いている。さらに正規社員を少なくする一方で多くを非正規社員にしてクビを切りやすい形に持っていこうとしている。

収入が少なく不安定で、しかもいつクビになるか判らないとなれば、明るい結婚生活像は持てないのが当然であり、従って結婚に踏み切れないのは必然なのである。
結局非婚化・少子化を強力に推進しているのは我が国の政府だった、というオチである。

3.その他の理由

いわゆる婚活サービスが繁盛している昨今だが、婚活サービスで定番なのが「条件に依るマッチング」である。「収入」「趣味」「年齢」「身長」「学歴」等々の各項目毎に希望データで男女のマッチングを図るのである。
前述のように多くの男性は非正規だったり低収入に喘いでおり、まして見た目の問題も含めれば、こうした条件に依るマッチングが成立する方が稀であることは言うまでもない。
そして条件によって成立した結婚はやがて離婚に至る可能性が高いという統計データもある。条件という意識的な理屈で夫婦になっても、無意識の中にある理想の異性像とのギャップが結婚生活を続ける事を阻害するのである。
男女が惹かれ合う理由の最たるものは「条件」ではない。もっと深層心理に関わる領域で起こる作用に依るものだ。なので、始めに「条件」で人を選別してしまうと出会うべき人をむしろ切り捨てている事になるかもしれないのだ。
婚活サービスというのはそれを運営して利益を得る人に都合の良いシステムとなっており、決して人間的な結びつきを利用者にもたらすものではない事を知っておく必要はありそうだ。

また、高齢の親の介護の為に結婚を諦めるケースも少なくない。
多くの場合、親を24時間見守るためにいわゆる介護離職をして親の年金だけで生活しながら介護を行うケースが多く、生活は楽ではないし、当然結婚どころではないのである。
親を特別養護老人ホームなどの施設に預けられればまだ良いのだが、特養は需要に対する供給数が極端に少なく、あぶれた市民は自宅で介護せざるを得ない。ヘルパーやデイサービス等の介護サービスを利用したとしても自宅で介護するのは並大抵のことではない。認知症が加わればその困難は何倍にもなって介護者に降り掛かってくるのだ。時折ニュースで介護殺人の事件が報じられるが、介護とはそんな悲劇が起こりうるほど厳しく辛いものなのである。
そしてここでも現政権は介護施設に使われる税金を減らすべく「介護は各家庭でやってほしい」という方向で介護政策を進めている。これでは親の介護でエネルギーも経済力も使い切ってしまい、とても結婚を考える余裕はない。ここでも政府によって結婚が遠ざけられているという現実がある。
介護作業の地獄のような辛さを政治家も官僚も知らないし知ろうともしない。従って家族を介護する独身者達に結婚の福音はもたらされることがない。

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生涯未婚率が上昇する原因はこれらだけではないが、政府はここで述べた諸問題すら真剣に解決する気は無いようである。
現政権が目指す改憲内容や国家が国民より優先される体制のあり方を考えればむしろ当然かもしれない。
日本はますます衰退していくであろうことは想像に難くない。


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<2017年6月4日追記>
このような記事が出た。
「出生数の低下 政府に危機感」
官房長官が「結婚や子育てに関する希望の実現を阻害する要因を、1つ1つ取り除いて、一億総活躍社会の実現や、その最大の鍵である働き方改革の実現に全力で取り組み、希望出生率1.8を実現できる社会を目指したい」と宣うのだが、上述の本編で記したように、その一方で「少子化をどんどん推進する方向」に舵を切っているのが現政権である。
言っていることとやっていることが完全に矛盾しているのだ。
国民が結婚できない状況を作っておきながら「どんどん結婚して、どんどん出産してくれ」と言っているのが政府の現状であり、これが紛れもない現実なのである。
























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