ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

白きたおやかな峰(北杜夫)

2017年05月13日 | 山はミステリー

山岳文学永遠の古典ともいわれる北杜夫の”白きたおやかな峰”を
読んだ。

1965年に行われたカラコルム(ディラン登頂)遠征隊に
ドクターとして加わった北杜夫氏の作品だ。

小説であり、登場人物も、すべて仮名ではあるが、非常に忠実に
書かれており、面白く読めた。

登山家の方の愛読書の一つのようだ。

読んでみて、まず、その情景描写の美しさに驚いた。格調高いのである。

一方、会話は、非常にフランクであり、現地のポーターの片言の
日本語や英語が機関銃のように出てくる。

ドクターであるから、ベースキャンプでの待機が多く、実際の登頂アタック
のような場面は、あとから話を聞いて書いているのだろうが、その危険に
面した場面が目に浮かび、名作と言われる理由がわかる。

さて、この作品は、登頂の成否を告げずに終わっている。

最後のアタックした二人のうち、一人は、体調も悪くなっており、一人だけで、
危険を冒してアタックしている。天候は悪くなりつつある。体力の消耗は極限に
達している。トランシーバーは風で飛ばされ、ベースキャンプとの交信は途絶えた。

上記状況の中、不幸な結末を予測するのだが、何も書かれてないのだ。

ただ、最後の解説の最後に撤退したことが追記として書かれている。

遭難者は出なかったのだろうか?全員無事だったのか?と考えたのは私だけでは
なかったようだ。

この遠征に参加した登山家の一人が自身のブログで、全員死なずにすんだと書いて
おり、私同様、ホットした読者がいたようだ。

 


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