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韓国、2位のクムホタイヤ、中国青島双星の傘下に、1000億円、4割出資

2017年01月20日 10時28分25秒 | thinklive

 *15年12月期の連結決算は売上高が3兆ウォン(約2900億円)、最終損益は674億ウォンの赤字。16年同期も赤字だったようだ。株式の長期保有が難しい債権団の事情もあり、双星のもとで再建を目指すことに決めた。

韓国2位のタイヤメーカー、クムホタイヤが中国同業大手の青島双星の傘下に入る。 
双星は18日、約4割のクムホ株を約1000億円で取得する方向でクムホの大株主と基本合意した。 
クムホのブランドや技術力を取り込み、両社の合計シェアでは世界10位に浮上する。 
資金力の豊富な中国企業のM&A(合併・買収)が加速するなか、技術流出の懸念も広がりそうだ。

韓国の産業銀行やウリ銀行などで構成するクムホの債権銀行団は18日、保有する約4割のクムホ株譲渡に関する優先交渉権を双星に与えることを決めた。クムホタイヤが発表した。出資完了後は双星がクムホの筆頭株主となる。

 クムホ株の譲渡先を巡っては、双星のほかインドのタイヤ大手アポロタイヤなどが関心を寄せていたほか、技術提携する横浜ゴムの名前を挙げる韓国メディアもあった。債権団は今月、譲渡先を決める入札を実施。最も高い1000億円程度で応札した双星に優先交渉権を付与したもようだ。

中国で首位に、2015年の世界のタイヤ市場のシェア(売上高ベース)はクムホが1.7%で14位、双星が0.5%で34位。出資が実現すれば合計シェアは2.2%となり、10位の中国・中策ゴムをわずかに抜く。中国では最大手に躍り出ることになる。 クムホは中堅財閥、錦湖(クムホ)アシアナグループの主力企業だ。00年代以降は技術力を向上させて世界シェアをじわりと高めてきたが、過剰投資などで資金繰りが悪化。世界金融危機後の09年にグループと共に債権銀行団の傘下に入った。

 その後も販売は低迷し、15年12月期の連結決算は売上高が3兆ウォン(約2900億円、最終損益は674億ウォンの赤字。16年同期も赤字だったようだ。株式の長期保有が難しい債権団の事情もあり、双星のもとで再建を目指すことに決めた。

資を決めた双星は、山東省青島市の国有企業、双星集団傘下のタイヤメーカー。深圳証券取引所の上場企業だ。1921年に設立された老舗メーカーで、運動靴ブランド「双星」で知られる。02年にタイヤメーカーを買収して同分野に進出し、買収を繰り返して中国大手に浮上した。

 13年には中国の家電大手、海爾集団(ハイアール)の副総裁だった柴永森氏を董事長に迎えた。敏腕で知られる柴氏の指揮のもとで利益重視をしながら、不採算事業を縮小。世界的なタイヤメーカーを目指す「第2の創業」を掲げている。

 工場移転などの影響で15年12月期は売上高が29億元(約480億円)まで減ったが、16年1~9月期の売上高は前年同期比70.3%増の36億元。純利益も同92.4%増の8100万元まで回復した。

 双星が過半に満たない4割の株式に1000億円も投資するのは、「クムホが中国で運営する3つのタイヤ工場を手に入れるため」との見方が多い。クムホは15年に世界で4777万本のタイヤを生産し、うち45%は韓国国外が占める。米国とベトナムを含む国別の生産実績は非公表だが、中国が主力とされる。

 中国は環境規制の問題などで工場の新規設立が難しくなっている。双星はクムホを取り込み、大手自動車メーカーを顧客に持つ優良工場を増やす意向とみられる。クムホブランドを活用して海外展開も強化できると判断したもようだ。

 中韓関係は韓国が昨年7月に北朝鮮の武力挑発に対応したミサイル配備を正式に決めて以来、中国で韓流スターの活動が制限されたり、韓国人のビザ取得ルールの厳格化などで悪化している。中国には韓国企業の支援につながる行為は望ましくないとの見方もある。

 しかし「世界を代表するタイヤメーカーになる千載一遇のチャンスであるとともに、韓国政府に対して強気の交渉に出ることができる新たなカードを手にする面もある」(中国政府幹部)ことから、政府は出資にゴーサインを出したもようだ。

 タイヤ市場では15年、化学大手の中国化工集団が世界5位の伊ピレリの買収を発表して激震が走った。今回の出資劇は中国企業の資金力を再び見せつけることになる。

横浜ゴムに余波

 一方、韓国は経済が厳しい。自動車生産は16年に423万台と前年比7%減った。資金力のある中国企業が触手を伸ばしてくれば、韓国企業も経済原理を優先して前向きに検討せざるを得ないのが現実だ。ただ中国への技術流出を懸念し、「売却先に中国企業を選ぶことは望ましくない」(経済団体関係者)との反対意見もくすぶる。

 余波は日本にも及びそうだ。横浜ゴムは14年にクムホと技術提携。軽量タイヤや低燃費タイヤの技術を共同研究しているほか、両社はタイヤのOEM(相手先ブランドによる生産)供給も検討するなど友好関係にある。

 横浜ゴムは今後の提携関係について18日、「現段階で決まっているものはない」(広報部)としている。ただクムホの双星への傘下入り後は技術流出リスクなどを考慮し、提携を解消する可能性も浮上しそうだ。

*提携は取り消しはできないだろう、むしろ強化へ向かうハズ、

*日経(ソウル=山田健一、重慶=多部田俊輔、東京=杜師康佑)

 

 

 
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