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コバルトはEV向け廼需要拡大で、供給不足懸念が拡大、価格が高騰している、

2018年02月23日 11時02分26秒 | thinklive

リチウムイオン電池に使うレアメタル(希少金属)のコバルトを巡って争奪戦が過熱しそうだ。米アップルが長期の安定調達に向け、鉱山会社と直接購入の交渉をしていることが判明。コバルトは電気自動車(EV)向けの需要拡大で供給不足懸念が強まっている。国際相場はこの2年で3倍以上に高騰しており、一段と値上がりする可能性が高い。

 米ブルームバーグ通信が関係者の話として伝えた。報道によればアップルは、電池に使う年間数千トン規模のコバルトを5年以上にわたって調達できる事業者を探しているという。最初の交渉は1年以上前で、最終的な契約先は確定していない。

  アップルは2017年に約2億1600万台のiPhoneと、約4400万台のiPadを販売した。アップルは現状、スマートフォン首位の韓国サムスン電子などと並ぶ世界有数のコバルトの最終ユーザー企業といえる。

 ただ、リチウムイオン電池とコバルトを取り巻く環境は大きく変化している。排ガス規制などを背景に今後、EV市場の急速な拡大が見込まれるためだ。

 自動車メーカーもコバルト獲得に動いている。独BMWやフォルクスワーゲンは採掘会社と長期供給の確保に向けた協議をしているもよう。トヨタ自動車パナソニックは昨年12月、EVなどに使う車載用電池で開発を含めた協議の検討を発表した。

 国別でみると、伸びが目立つのが中国だ。商社のコバルト調達担当者は「中国政府はEV普及に力を入れており、今後も中国の調達は増えるだろう」と話す。

 スマホやEV向け電池だけではない。コバルトは航空機のエンジンに使うスーパーアロイ(耐熱用超合金)向けの引き合いも強い。ある市場関係者の試算によると、スーパーアロイ向けの需要は16年から20年にかけて3割ほど伸びる見込みだ。

 現在のコバルトの世界需要(地金換算ベース)は年間10万トン前後とされる。供給量は年9万7000トン前後。在庫は3万トン前後あるとみられる。

 調査会社ダートン・コモディティーズによると、世界のコバルト供給の半分以上がリチウムイオン電池をはじめとする2次電池向け。調査会社の富士経済(東京・中央)は、リチウムイオン電池向けのコバルト需要量は16年の4万5900トンから21年には7万5000トンまで増加すると試算している。

 コバルトの価格は上昇が続く。国際指標となるロンドン市場のスポット(随時契約)価格は2月下旬時点で1ポンドあたり38ドル前後。EV向けの伸びで、2年前の3倍以上となっている。

 金属調査会社、アイアールユニバース(東京・中央)の棚町裕次社長は「50ドル前後まで上がってもおかしくない状況」と指摘する。EV市場の拡大で、アップルは安定調達を続けるためには電池メーカー任せでない直接購買の必要性を感じているとみられる。

 コバルトは生産地が偏在するなど供給面でも不安がある。世界供給の半分以上を占めるのがコンゴ民主共和国。中国やカナダといった他の生産国のシェアは1割未満だ。コンゴでは大統領の退陣を求めるデモが頻発するなど政情不安が続く。

鉱石の選定作業にも多くの子供が携わる=アムネスティ・インターナショナル提供

加えてコンゴの鉱山では児童労働問題が指摘されている。16年1月には国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルがアップルやサムスンのスマホに使われているコバルトが「児童労働によって生み出された可能性がある」との懸念を表明。その後、アップルはコバルトの調達先を公表している。直接調達はサプライチェーンの透明性を高める意味でも重要と言える、*日経

 


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