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アマゾンの金融事業2,膨大な納入企業数、新しく誕生する成長企業、豊穣な水源をもつ増殖する湖!

2017年07月10日 18時17分33秒 | thinklive

実際、アマゾンでは、マーケットプレイス(アマゾンのサイト内にある、同社以外の「出品者」が参加する市場)の取引実績がある法人向けに、「Amazonレンディング」という短期の運転資金のローンを提供してきた。こうした取り組みをさらに拡大する余地はあるということだ。

 取引業者に融資するうえでのアマゾンの強みは何か。やはり最大の強みは「商品の流れ(商流)を押さえ、取引実績のデータを持ち、どんな条件でどこまで貸していいかという与信判断に活用できる」ということだろう。アマゾンは、いつ、どれだけの数量が販売でき、またどの程度の期間で資金回収できるかといったデータを手元に大量に持っているからだ。

 現在、ネット通販の普及により、配送業者での人手不足や配送効率などが問題になっているが、アマゾンの物流機能は、消費者にとってはすでに「インフラ」になりつつある。

 アマゾンの強みは、現在は物流倉庫の効率的なオペレーションだが、仮に自社配送を強化して、その比率が高まってくるようになると、メーカーや卸のような納入業者までもが「自分の会社で物流を抱えるより、アマゾンを使ったほうが効率的だ」と判断するようなレベルに達するかもしれない。

アマゾンが銀行より優位に立てるポイントとは

 先に述べたように、「Amazon Go」で決済に新たな利便性を持ち込むことで、アマゾンは次世代のコンビニの形を提示しつつあるが、これも表面的に「決済機能の改善」だけで片づけることはできない。

 コンビニのように生鮮食品や加工食品を取り扱うということになれば、取引の規模や頻度はこれまでの本やアパレルの比ではなくなる。消費者がほとんど毎日のように何かしら購入する商品を手掛けるだけに、「いつ、誰が、何を買ったか」といった関連データは膨大なものになる。

 食品などを扱うには、いま以上の物流強化は前提だが、取引業者がこれまでとは異なるため、アマゾンからすれば「新しい接点」ができる。また商品の回転も速いため、取引業者の資金需要もさらに強いものが見込まれる。

 ここでもう一度、視点を銀行に戻してみよう。銀行の役割としては、「貸出先企業の資金繰りの手当て」も重要だが、実際問題として、貸出先の日々の資金の出入りをリアルタイムで把握するのは難しい。その一方で、アマゾンは商品の流れを押さえ、それとITを掛け合わせることで、金融機関よりも優位に立つことができる。

 銀行での企業向けの貸し出しは、これまで「人」がその中心的な役割を果たしてきた。しかし、シンプルに資金の不足分を貸し出すだけであれば、商流を押さえ、大量のデータを押さえるプレーヤーのほうが競争優位に立てる状況が迫りつつある。資金調達の方法に工夫が必要ない案件であれば、「機械に判断させるほうが効率的だ」という時代がくるかもしれない。

人間が機械に勝てる領域はどこか?

 一方、金融機関で、機械と比べて人間が圧倒的な優位にありそうなポジションとしては、「プライベートバンキング」がある。これは資産をすでに持っている富裕層の運用をサポートする業務である。

 資産運用そのものも、最近はロボットアドバイザーなどのようにコンピュータが運用の助言をするサービスも登場してきてはいる。しかし「プライベートバンキングは違う」というのが多くの意見だろう。

 プライベートバンキングは、そもそも個人個人で資産の内容が異なる。また、その多くは相続や節税といった極めてプライベートな内容であるし、顧客ごとにカスタマイズが必要な領域でもある。

 そして、顧客側にとっても、誰にでも相談したい内容ではない。話をする「人」ですら選ぶ領域というわけだ。したがって、プライベートバンキングは、機械が人に取って代わることが想像しにくい領域の1つだといえる。

 ところが、前述の「Amazon Echo」のような技術が発展し、将来、機械と他愛もないおしゃべりができるようになったとする。そう、見た目は違うが、「ドラえもん」のような存在になったとしよう。そうすると、のび太が困ったときにドラえもんに頼るように、「親や友達には話さない内容」を相談するようになるかもしれない。

 もちろん、のび太が相談するのは、ドラえもんが解決策を持っているからこそだが、部屋の押し入れに住んでいるので「接点が近い」ということも大きい。AIが人間の言葉を分析し、処理するスピードや精度もさらに向上していくことで、こうした「近い位置にいる機械」に、人間が誰よりも早く相談するようになる可能性は高い。

 こうして、極めて秘密性が高い内容でも、機械がその最初の接点となりうる可能性もある。具体的な金融商品やソリューションの提供まで機械がやるかどうかは議論の余地があるが、そもそも「接点づくり」と「リレーションシップの維持」で苦労をしているプライベートバンキングの分野で、テクノロジーが秘めている可能性は大きい。

 このように、すでに機械に優位性があるとみられている貸し出し領域も、また、そうでないと思われているプライベートバンキングの一部の領域も、機械によって侵食されようとしている。その領域を狙えるのが、アマゾンのような異業種かもしれない。

 

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