株価推移 6,887前日比+82(+1.20%)
1株利益431.31 配当140
日東電工はがんなどの治療に使うバイオ医薬品の分野で米国2社を合計50億円程度で買収した。新たに最終加工や瓶詰めまで一貫生産できる体制を整え、供給までのスピードや効率を高める。自社の生産ラインも2017年6月までに米国で増強する。主力の電子部品事業が苦戦するなか、成長の柱に掲げる医薬品事業への投資を拡大する。
生産するのはバイオ医薬品の中でも新しいタイプの「核酸医薬品」。世界で開発競争が激化している。人工的に合成したDNAなどを使うのが特長だ。病気の原因となる遺伝子の働きを直接抑えることができ、高い薬効が期待されている。
日東電工は臨床試験を進める製薬大手などからDNAの合成を受託しており、同分野の世界シェアは約6割。11年に素材の供給先だった米企業を買収し、核酸医薬品の合成事業に参入していた。
今回買収した1社、アーバイン(カリフォルニア州)は、日東電工が合成した粉状の「原薬」などの分析や使用期限の試験をする。もう1社がアブリオ(同)で、液体状に加工し、瓶詰めする。
一方、日東電工は米マサチューセッツ州にある自社の合成工場を拡大する。新ラインを設置することで能力を数倍に高める。投資額は数十億円とみられる。
同社の医薬品を含むメディカル・メンブレン事業の営業利益は16年3月期に111億円と、前の期比4.6倍に急拡大した。17年3月期は5割増の170億円を見込む。スマホの販売減で液晶部材などの電子部品事業が苦戦する中で、医薬品事業を成長の柱に掲げている。