*一般の運転者に収入取得の機会を提供するウーバーやリフトが、問題は多いながら現実にビジネスとして展開され、その事業が世界化していることも事実である、自動車メーカーとしては自動運転車のタクシー化事業を自社の傘下におくことは不可欠な選択とせざるを得ないであろう、可能性としての市場の蚕食をdefenceしないわけにはゆかない、
WSJ、By HOLMAN W. JENKINS, JR.16/1/14/13
*わかりにくい部分は削除した、
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米ゼネラル・モーターズ(GM)は先週、スマホを利用した相乗りサービスを手掛ける米リフトに5億ドル(約590億円)出資すると発表した。この発表はGM自身にしかできない分かりにくいPRの最たるものだ。GMが言うには、ドライバー不要の相乗り車の「ネットワーク」を作るために手を組むというのだ。
考えてみてほしい。相乗りは主に都市部の現象だ。だが、混雑した都市は、自動運転車をすぐに受け入れられる環境にはない。自動運転車の実用化は郊外、特に高速道路のほうが早いだろうが、そうした環境は相乗りのビジネスモデルには適さない。要するに、GMとリフトはベイパーウエア(訳注:宣伝ばかりで一向に発売されないソフトウエア)を、だまされやすいITオタクに発売すると言っているようなものだ。
ビッグスリーと呼ばれる米自動車大手3社が最も多くの売り上げと利益を得ているのはピックアップトラックであり、この車は都会向きでも相乗り向きでもないことは言うまでもない、それに、この自動運転車は市場に出回るまでにまだ道のりは遠いうえ、雪や雨、ラインがない道路、それに歩行者への対応が万全であるとはとうてい言えない。韓国の現代自動車がスポンサーとなり、同国で最近行われた大会では、12台の自動運転車のうち8台が2日目に故障した。「妙な液体が空から降ってきた」のが原因だと、あるブログには書かれていた。つまり、雨のことだ。
気候変動との戦いに電気自動車を兵士として参加させることも、あまり理にかなっていない。米国で消費される電気の3分の2は化石燃料を燃やして作られている。一方、米国の自家用車の排出ガスが世界の温室効果ガス排出量に占める割合は2%足らずだ。よって、電気自動車に変えたところで何も問題は解決しない。
米国の自動車業界は長きにわたり、国民や政治家からの異常に細かい視線に耐えてきた。そして、意志決定と社内の動機を包括的に煙幕で覆うという慣習を発展させてきた。これは特に、本音を語らないということを意味する。GMのメアリー・バーラCEOが点火スイッチの不具合について証言した14年の米議会の公聴会で、まさにこれをやって見せた。バーラCEOは連邦政府が求める燃費性能を満たすためだけに、問題を起こした小型車「シボレー・コバルト」を製造したことを認めようとしなかったのだ。
電気自動車メーカー、テスラのイーロン・マスクCEOからも業界は多くを学んできた。マスク氏はひと月と間を置かずにあっと驚くような発表を続けてきた人物だ。本当のことでないのなら、ウソでもいいからハイパーループとか何かの計画だとでも言っておけばいい、という具合だ。(訳注:ハイパーループとは同社が2013年に打ち出した超高速列車の構想)
相乗りサービスで業界2位のリフトの足腰を強化するためにカネを使うというのが、GMがリフトへ投資する本当の理由だ。業界1位のウーバーがGMにとって好ましくない方向に相乗りサービスの舵を切った場合に備えてのことだ。ウーバーが自動車業界と打ち解けていないことは歴然としている。しかも、これまでに投資家から集めた資金は100億ドルに達している。テク関連メディアが「アー」だの「ウー」だのと感嘆の声を上げているのはあまりに軽率だが、ブロガーの中にはリフトのドライバーを失業させるために、自動運転車の開発を急いでいるとしてGMを非難する向きもある。
実際、このリフトへの投資は1970年代終盤にビッグスリーがレンタカー会社を競って買収した事例を思い起こさせる(ただし、後には手放している)。ナショナル・カー・レンタルとエイビスに出資したGMは採算に合わないセダンの捨て場を確保するのが狙いだった。GMは労働契約による固定の人件費と政府による燃費性能のしばりのもと、セダンを大量生産しなければならなかったのだ。GMのリフトへの出資は、1980年代に同社が実施したエレクトロニック・データ・システムズや大手電子メーカー、ヒューズ・エアクラフトへの大型投資とあまり共通点はない。これらの投資は進歩した技術をGMに取り込むことを本当に狙っていたものだ。
これは、あることに気付くには絶好の機会だ。完全な自動運転車に関する実現不可能のような話が喧しいにもかかわらず、ロボット工学を駆使したこの技術が自動車セクターに根付くまでの歩みは著しく遅かった。GM傘下のヒューズ・エレクトロニクスが自動車向けの実用的な衝突回避システムを披露してみせたのは20年余り前のことだ。だが、ようやく今になってこうしたシステムが消費者の手の届くものになりつつある。
大きな要因は――経済学が勘違いしていなければの話だが――自動